第一章
名前変換 Who save his life is...
主人公について記憶喪失からスタートするので、
Lに突然呼ばれる名前です。
平凡な人物
これといった特技はない
Lと同じく甘いものが好き
本名は番外編等で登場する予定です
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◆一歩前進
・・・そういえば。あの死神のリューク、リンゴが好きだということを私は知っていた。
その記憶は竜崎_L=ローライト_と関係のある事柄だろうか?
私の知っていることは、本当に彼を起点としたものなのだろうか?
そして気付く。
___私は「L=ローライト」を知っているんじゃなく、「キラ事件」を知っている・・・・・?
___わたしは、「キラ事件」を「見てきた」・・・・・?
___「L=ローライト」は、その一部にすぎない・・・・・・?
その結論にたどりつき、私は竜崎を見たまま目を見開いた。
「あ・・・わたし・・・」
_言えない。
そう心の中で誰かが全力で警告した。
自分の中で大きな一つがひっくり返り、私は気を抜いたらまためまいを起こしそうだった。竜崎も見ている。動揺を見せてはいけない。少なくとも、なにか隠しているようにはみせちゃだめだ。
私はくっと、下を向くと歯を食いしばった。こらえろ、と自らに言い聞かせた。
「わたし、もしかして超能力者?なんてね!・・あはは」
顔を上げて、笑いながらそうごまかした。でも、嘘はついていない。未来が見えるなんて普通ではありえない話なのだから。
竜崎は、その目を半分にしてこちらを睨んできた。
言葉にあきれたのか、その態度にあきれたのか、どちらかは分からないが。
「・・・あなたは笑って誤魔化してばかりです」
静かに述べられた予想外の言葉に、私は思わずその場で動きを止めた。
「ですが、超能力者、という線もあり得ます。そうしたら、私やワタリ以外の人と会った時どうなるかですね。」
しかし、次の瞬間には何事もなかったかのようにあっけらかんとそう返ってきた。
私はすこし焦って「はい」とそれに同意した。
「ともあれ、私のプロフィールの範囲は把握できました。ご協力ありがとうございます。夕陽さんの記憶喪失や、これらの真相についてはこれからも一緒に考えていくこととしましょう。」
ただし、と再び厳しい表情になる。
「気付いたこと、思うことがある場合は我慢せずすぐに言うことを約束してください。」
また、半分のじとっとした目だった。あぁそっか、あれはあきれたわけじゃなかったんだ、と私は思った。
「すみません・・はい、約束します。」
全部を言うことはできない。少しだけ、欺くことになる。ごめんなさい。そのことに深く心の中で謝りながら、わたしは竜崎の気持ちがすごく嬉しかった。言えないことは言えないままでも、心の中のよくない塊を、平気な顔で一つ持って行ってくれたような気がした。
やっぱり、このひとは私の中の正義だ。そしてすごく、優しい。そして、変わらずこの人を守ろう、と決意を改めた。
「ちなみに余談ですが・・・私個人としては、あなたのことがなんとなく気になります。というよりも、放っておけません。」
「・・・えっ」
「ワタリはもっとです。あなたに話しかける様子は祖父と孫娘さながらですね。」
「そ、そうですか・・」
つまり私は竜崎にとって危なっかしい娘という立ち位置ということか、と私はため息をついた。
「いまのは冗談です」
「えっ」
「ひとつ言っておきますが・・・夕陽さんは非常にからかいがいのある女性です。」
「・・・」
「言い返さないということは、やっぱり惚れてますか?」
「・・・私も一つ言うけど、わたしは竜崎のこと、わりとふざけすぎだと思ってます!」
思わず立ち上がった私に、座ったままの竜崎が向かい合う。
「そういうところです。」
にやり、と笑い、竜崎はまっすぐ私を見上げる。
目が合い、時間がとまったように思えた。憧れ、尊敬した竜崎と言う人物の視線は、前後の冗談を問わず私をうろたえさせた。この数日間幾度もその目を見たが、今回だけはなぜかそらしてしまった。
行ったり来たりと巧みにテンションを振り回され、私はもうそれ以上言い返せなかった。むぐ・・といったように両手を握る。
「じ、じゃあ、そろそろ邪魔になりますよね。失礼します。」
「夕陽さん」
いかつい動きで部屋を去ろうとすると、背後から呼びとめられた。
「邪魔にならないと言ったはずです。そこです。居てください。」
しぶしぶと引き返し、その日は、わたしはその位置から部屋に戻ることを許されなかった。予定にあったレシピの仕入れも、その場で竜崎にあれやこれやと注文されながら行う羽目になった。羽目になったと言いつつも、そんなに悪い気はしなかった。というか、隣に誰かにいてほしいという意図こそ謎のままだったが、もしかしたらいくらか竜崎と打ち解けられたのかもしれないと思い、一歩前進したように思えたのだった。