第一章
名前変換 Who save his life is...
主人公について記憶喪失からスタートするので、
Lに突然呼ばれる名前です。
平凡な人物
これといった特技はない
Lと同じく甘いものが好き
本名は番外編等で登場する予定です
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◆私の正義
「期が熟すのを待つ・・・か」
そう言って目をあけ、のこりのメモを一気に書き上げた。ぱたん、とそれを閉じ、椅子にもたれかかりさかさまになる。
「さて。座学はおしまい!」
「クケケッお前もライトばりに独り言をいうなぁ」
「うわぁぁぁ!・・・・リューク。」
突然聞こえたがらがら声に、私は悲鳴を上げる。しかも目の前役10cmもないだろうという距離にその顔がある。
「・・・・・・リュークがいるから独り言じゃないでしょ」
空中であぐらをかいた死神がぱっくりと牙でいっぱいの口を開いて笑っていた。
「なーんかやっぱり夕陽ははライトっぽいんだよな・・不気味ィ」
「・・・そういうことはできれば、口に出さないで置いてくれると嬉しいよ!」
そういってバスケットに持ったリンゴを投げつける。夜神月に似てると言われることも、共通点を指摘されたことも、不気味ということも、やっぱり、という点も、全て不快だ。
「リンゴだ!ひょーっ」
そんな私の不快感とは裏腹に、投げられたものがリンゴであるためにリュークははしゃぎだす。
「・・・ええと、で、リュークさん。いつからそこにいたの?」
怒ってもきっと暖簾に手押しであると思い、普通に尋ねた。リュークもぐいんと身体をひねりながら上機嫌で答える。
「んあ、そのノート書き始めた時かなぁ。ケケッ。・・・中身はみてないがデスノートかと思ったぜケケケ・・・」
中身は見てないのか、と私はすこし安心した。まぁ見ていても夜神月にわざわざ報告などしないだろう。デスノートかと思った・・という一言がまた癪に障った。今日の私は心がひどく狭いらしい。
ともあれ、せっかくのリュークのご降臨だ。なにか一つでも得るものがあるはずだ。リンゴがあってもさすがに指図することは不可能だろうが、夜神月についての情報だけなら、いくらか聞き出せるかもしれない。
「ところでリュークさ、さっきの、ライ・・・?ライトって何?ひと?」
私はわざとらしく知らないフリで尋ねてみた。
「ん??なんだ知らないのか・・・?」
「うん、まぁ別にいいんだけど・・・私に似てるっていうから少し気になっちゃって」
「そうだなぁ、企んでそうなあたりはお前に似てるなぁ。あとはモテるらしいぜ・・ケケッ」
またそれか・・と私はげんなりとした。
「で、そのライト君って人がいつも今の私みたいに独り言いいながら、デスノートを使ってるから、このノートもデスノートに見えちゃったってことね!なるほどぉ!」
「ケケケケ・・その通りだ!夕陽は話が早いな!ケケケ!・・ケ・」
上機嫌な高笑いをしかけ、リュークはあからさまに「あ」と空中静止した。綺麗にその大きな口が開かれたままあちゃあ、の表情を作っている。
「あはは、キラだー。」
私はリュークを見上げて指差して言った。みっけー、と言わんばかりに。当の死神はあんぐりと口をあけたままだらだらと冷や汗を流している。
「・・・大丈夫だよ。私のこと黙ってもらっている代わりに、今のことは聞かなかったことにするから。」
・・・まぁ知ってたけどね。と心の中でつぶやく。
知っているのにキラに直結することのできない、非常に歯がゆいものなのだ。
それにしてもこんなに口が滑りやすいのなら、私も「黙っててもらう」なんて過信はすべきじゃないなぁ、と思った。
リュークは汗をかきながら数秒ほど遅れて「おおっ?あ、おう、そうか!」などと言った。
キラをかばう立場でないにしろ、なんとなく「ばれたらまずい」という意識があるのだろうか。それとも、楽しみを取られると思い、焦っているのか。どちらにせよ、ここで初めてリュークから聞いたということにしておかなければ、「なんでも知っている」だなんて、死神をも敵に回しかねない。
「それにしても、人間がノート使うの見てるのって、楽しいでしょう?」
私は椅子の背もたれにほおづえをつき、少し興味を示して見せた。
「あぁ、人間って面白!っていつも思ったりしてるな・・クク・・」
「ええーっ、なにか一つ聞かせてよ。・・・私も普通のニンゲンじゃないから気になるんだよね。分かるでしょリューク?」
心苦しくも、精一杯食いついたようなそぶりでそんな言い訳を付け足してみた。リュークが私のことをどこまで把握しているかは分からないが、これくらいならばボロは出ないはずだ。それに周囲の人間と少しばかり状況が異なっているという点においては、少なくとも嘘ではない。
「私、ノートは人間界にないほうがいいと思ってたけど、面白い話が聞けるならあってもいいかな」
あははっと私は笑って見せる。どの口がそんなこと言う、と私は自分自身に突っ込みを入れていた。それは自分の胸をえぐるような台詞ではあったが、リュークをみやると何か合点したように「クク・・」と含み笑いを浮かべていた。
「あー、一番おもしろかったのはついさっきだな。テレビでLとか言う奴に挑発されてたな。キラにライバル出現ってわけだ。ケケケ・・・」
「テレビでL?」
「なんだっけなーリンドウなんとかて奴を盾にライトがしてやられたんだ。あいつの顔も面白かったな!」
そう言うと、リュークは思い出し笑いか、あひゃひゃひゃ・・・などの奇声を発しながら腹を抱えて空中をごろんと一回転した。私はそれを傍目にゆっくりと目を細めた。
ついさっき?テレビはつけていなかったので分からなかったが・・・テレビ・・リンドウなんとか・・・?
__リンド・L・テイラー・・・!
_「私を殺してみろ!どうした殺せないのか!」
_「L,お前を殺してやる」
渋谷の大型ビジョンに映し出された「L」の文字、ノートに書きなぐられた「リンド・L・テイラー」の文字。互いに敵と認識する瞬間が記憶に浮かんだ。「殺す」という言葉のありふれる未来が、いよいよ現実に来てしまった。
いよいよ始まる・・・一騎討ち。
敵意と殺意のなかに、私も間もなく身を投じなければいけない。三つ巴、上等だ。
「おっそろそろ行かないとライトにばれる。」
つかの間うつむきがちに思考に埋まっていると、リュークがばさっと羽を広げた。部屋いっぱいに風が起き、悪魔のシルエットが西日にくっきりと浮き上がる。私はまだ色々聞きたいことが・・・と焦ってそれを呼びとめようとする。
「あっちょっとまっ・・・」
「じゃあ俺はいくぜ。また来るぜ夕陽!・・・・ククク」
呼びとめも空しく、あっという間にその影は遠い空に飛び立ってしまった。はぁ、と私は力が抜けたようにベッドに身を投じた。それから、ふと思い出したように部屋の隅の小さなテレビがちゃんと付くか確かめてみた。
「ニュース17です。本日、キラに対してLが宣戦布告したことが話題に・・・」
プツン、という音の後にキャスターが映し出された。
「しかし、死刑囚を放送中に・・」
私はそれだけ確認すると、電源を切った。
ニュースはちゃんとテレビ放映されている。キラという言葉も世間に認識され、さっきのリュークの話だと竜崎はもう日本警察に協力を要請している。1の段階にはとっくに到達していたのだ。昨日の今日でなんと事の進展が早いのだろう。
次に来るのは、囚人を利用した実験か、それとも竜崎に対しての挑発だろうか
私はノートの1と2の間に「リンド・L・テイラー事件、Lはキラが関東に潜伏すると推定」と追加で示し、今日の日付を書きいれた。
竜崎はキラが関東に潜伏すること、キラは直接手を下さずとも人を殺せることを警察に証明し、「顔も」「名前も」分からない自分のことは殺せないこと、そしてキラが幼稚で挑発に乗りやすい性格であることを把握した。
キラは・・・リュークの言った通り挑発された。正義と信じた行為を悪と言われ、死ぬべきはLだと。
「気持ちは分かるけど、調子にのりすぎよ」
もしもあそこで竜崎が「リンド・L・テイラーは死刑囚だ」と言わなければどうなっていたと思うのだ。世間一般にもキラは正義なんかじゃなくただの悪人だというだろう。
でも正義にどれが正しいなんてない。そう思う私は
「私は、私の信じる正義を以てあなたの正義を許さない」