序章
名前変換 Who save his life is...
主人公について記憶喪失からスタートするので、
Lに突然呼ばれる名前です。
平凡な人物
これといった特技はない
Lと同じく甘いものが好き
本名は番外編等で登場する予定です
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◆名前
_当分、私の監視の下にいてもらいます。
Lの傍にいられる。一人になることなく、監視下でも居場所があるということ。
それは、願ってもいないことだった。
「私は・・・・・・もう少し此処にいていいのなら・・・御迷惑でなければ・・・お願いします。」
なんと返したらいいのか迷った結果、わたしはぺこりと頭を下げた。
「でも、金銭面とか、ちょっと心配です。・・・私、なにも持ってないし頼りきりになっちゃいます。・・・なにか、私にできるはありませんか?」
卑屈すぎる自分の発言を自覚しつつも、私はそう言わずにはいられなかった。
Lという立場を知っているから、何もできない自分がふらふらと傍にいることで迷惑をかけたくなかった。力にもなりたかった。
それでも、監視される身分なのは確かだから・・・と、判断はLに任せることにした。
かさかさ、とチョコの包装紙だろうか、紙を丸める音がした。私はおそるおそる、ちょっとだけ頭を上げてみた。
「そうですねぇ」と、Lは親指を口元に、宙を見て呑気そうな顔をしていた。
「では、スイーツを、私に運んでください。」
・・・今までに見たことのないような表情をした。それは、頭の上に電球でも灯したような、無邪気な子供のような。
名探偵なのにそんな「あっいいことおもいついた!」みたいな表情するかなぁ。
「言っておきますが、糖分の補給は私の仕事の生命線です。」
でも、これで私にもちゃんと仕事ができた。
「了解しました。」
私は納得しきった様子のLに対して、すこしだけ拍子抜けした気分になりながらも、笑ってそれを承諾した。
「いつでもお持ちしますね!お茶でもなんでも言ってください!」
勢い余って、ガッツポーズをした。しかし、
「・・・・」
・・・あれ。私へんなこと言っちゃったかな。
Lはそんな私の様子をみて、親指をくわえたまま静止した。
「あ、えっと・・・」
「・・・・・・」
何か気になることがあるのだろうか、それとも、別の事件のことでなにか思い出したことがあったのかな。
私は頭に無数のクエスチョンマークを浮かべた。もし考え事が始まったのならば、こういう場合は一旦この場を去ったほうがいいのだろうか。
邪魔・・・だもんね、多分。
そろそろと後ずさりを始めた私がドアに向かって振り返ろうとした瞬間、Lはぴしゃりと「何処へ行くんですか」と言い放った。
「部屋にもどろうかと・・」
「ちょっと待ってください」
そう言って、Lは傍にあったボールペンで、小さな紙切れに何か文字を書きだした。
器用に、ペン先だけ三本の指で持って書いている。
私は、何だろう?と不思議に思いながら近くの椅子に腰かけた。
「できました。あなたにこれを。」
そういって、Lは書き終わった紙切れを四つに折り、私に差し出してきた。
わざわざ折りたたんで・・・これは・・・なんだろう・・・?
その紙を開いた。そこには
____”夕陽”____
ただそう小さく書かれていた。
「夕陽。これ・・私に・って・・・名前・・・?」
「はい。あなたをみてパッと浮かんだものを書いただけですが。」
私はまたその紙を見た。"夕陽"。
なぜだろう、しっくりと自分になじむ名前のような気がした。
「ありがとう・・嬉しい。」
素直にそう伝えると、Lはまた口角を少しだけ引き上げた。なんとなく、なんとなくだが優しい表情に見えた。
「あの、わたしも、Lって呼んでいいですか?」
「そうですね。・・・日本にいる間は竜崎とよんでください。」
「竜崎?」
「はい」
あぁ、この呼称も知ってる。と私は思った。同時に、竜崎、という響きが、なぜだかちくんと胸に突っかかった。彼が数人の人間から竜崎、と呼ばれる場面がおぼろげながら脳裏に浮かぶ。
彼の過去だろうか。それとも未来?それは深く考えると胸騒ぎにつながりそうだった。
しかし同時にに、竜崎が自分に対して名前を付けてくれたという事実が今になってすごく嬉しかった。
空っぽの私に、居場所と役目と名前をくれた。
そして、私も彼の名前を呼ぶことを許される。
頬がさっきにもまして緩んで、気付いた時にはわたしはけらけらと笑ってしまっていた。
「なにがおかしいんですか」
「すいません。」
あはは、笑い終えてまっすぐLを見た。
まだ、監視下ということで私は怪しい人物には変わりない。でも、昨晩よりは明らかにちゃんと会話できてる。
もう少し、もう少し時間はかかるかもしれないが、いつかは私も彼の力になってこの大きな恩を返そう、とその大きな眼をみて思った。
そして相変わらず、「この人を守らなきゃ」と心の声が告げていた。
_いいよ。それも、やってみせる。
「はいでは夕陽さん、呼ばれたらすぐに来てください。できればスイーツと一緒に。」
考えてたこととは裏腹に、最後にに背中にかけられた竜崎の言葉はとても平調子なもので、「結局スイーツ目当てかい!」と突っ込みをいれたくなった。
・・・むくれるほどじゃないけど。むくれるほどじゃないけど。そう言い聞かせながらわたしはぐっとこらえ、部屋を後にした。
「・・・あ。」
「えっ・・・・・そもそもどこから?いつ?作るの?買うの?」
「あっワタリさん!!!!」
直後、承諾したものの「スイーツを持ってくる」役目なるものの方法が分からないことに気付いた私は、廊下で見かけたワタリさんに泣きついたのであった。情けない話である。