第一章
名前変換 Who save his life is...
主人公について記憶喪失からスタートするので、
Lに突然呼ばれる名前です。
平凡な人物
これといった特技はない
Lと同じく甘いものが好き
本名は番外編等で登場する予定です
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◆竜崎
「夕陽さん」
「・・・」
「見すぎです。もしかして私に惚れてますか?」
あ、と私は再び我に返った。
ばれていたことにどきっとしたが、記憶の中の竜崎がだれかに向かって「好きになりますよ?」などと言っていたことを思い出した。竜崎の冗談はうけながしちゃえばいいんだ、という結論に至った私は、普通に答えることができた。
「だいじょうぶです、惚れてないです。」
「惚れてるならキスしてもいいですよ?」
「キっ・・・。・・・そんなことばっかり言ってるとワタリさんに言いつけます。」
竜崎は思ったような反応が得られなかったからか、また唇を引っ張った。私は少し勝ち誇った気分でへへ、と小さく笑って見せる。
「ですから冗談です。」
よっぽどワタリさんに言いつけてほしくなかったのか、その背中はより丸く、その目はなぜか一層大きく見開かれていた。
三角座り全体がこころなしか小さくなっていた。
「あはは・・」
「だめです、許しません。」
そんなやり取りをしていると、竜崎の視線がちらっとどこかにそれる。目で追うと、カーテンの隙間からオレンジの光が少し差し込んでいた。早いもので、もう夕刻のようだ。
「・・・すこし、捜査を中断します。」
唐突にそう言うと、竜崎はパソコンのモニターをすべて初期画面に戻した。沢山のウィンドウが一度に閉じ、画面が大きな「L」を表示する。
暗い部屋に、竜崎と1対1。大事な話をするのかな、となんとなく感じた。
「いきなりですが、夕陽さん。あなたは、私のことをどこまで知っていますか?」
それは、近いうちに聞かれるだろうな、と思っていた質問だった。
「私としては、しっかりと把握しておく必要があることです。」
「・・・そうですね、」
言ってから、私は言葉をつぐんだ。どこまでしっているか?に対して、私は「どこまで言うか?」を自らに問いかけた。
会ったこともないのになぜか知っているとはいえ、竜崎という人物の全てを知っているわけではない。だからといって、知っていること全てをいまここで言ってもいいのだろうか。
「まず、竜崎はあの「L」であること・・それから名前を知ってます。」
私は、ごく基本的なことだけ答えることにした。
未来のこと、これから起きる事件のことについてはまだ言えない、と思った。
「竜崎は、L=ローライト。一緒に行動するワタリさんはキルシュ=ワイミー、発明家でワイミーズハウスという場所の創設者。」
ワタリさんのことを口にすると、竜崎はいくらか驚いたようだった。しかし、黙ってその続きを促した。
「あとは、竜崎はコイルであり、ドヌーヴでもあること。それと、容貌やしぐさ、話し方・・・甘いものをよく食べる、かなりの甘党ってことも知ってました。」
彼を起点にして、関わる人のことも多少は分かる。が、説明が煩雑なのでひとまず説明を区切った。
だいぶ簡略化したつもりだが、きっと情報の内容的にはトップシークレットのものばかりだっただろう。私はおそるおそる竜崎の反応をうかがった。
「驚きました。」
あっけらかんと口を開き、ひとことだけ感想が述べられた。
てっきりじとっと睨むような視線が返ってくるかと思った私は拍子抜けになる。
「多少は予想していましたが・・どれも口外してはいけない事実ばかりです。」
そう言うと、竜崎は口に指を持っていき、しばし考えるそぶりを見せる。
「いくつか気になることがあります。」
「?・・・はい」
「私の国籍や年齢はご存知ですか」
「あ・・・いいえ。」
そういえば知らない、と私は思った。しぐさや性格など、いわゆるプロフィール外のことも知っている割に、年齢などはなぜ知らないのだろう。竜崎もその点に不審さを感じたのか、すこしだけ突っかかるところがあるような反応をみせた。
「では、私の声は?」
「知ってました。」
「・・・どこかで聞いたということですか」
「いえ・・無いと思います。」
「では、記憶に私の話した言葉・・・そうですね私の、「音声」のようなモノがあるということは?」
「!・・・」
ある、と言いかけて、わたしは重大なことに気付いた。記憶の中の竜崎の声は、覚えている限りどれも「未来に起きる事柄」についてのものだったのだ。いま「ある」といったら、何を言ったか、その先も答えなくてはならない。
「あったとおもいますが・・いまは思い出すことができません。」
結局私はぼかして答えた。未来に関して竜崎に言える日が来るまでは、思い出せないということにしておこう。
竜崎はそれに関しては「仕方ありません」といい、間をあけずにすぐ次の質問を投げかけてきた。
「では、言語を思い出すことは可能ですか。」
「それは・・・日本語でした」
「すべて日本語でしたか?」
「はい」
「・・・なるほど」
そうして2、3私の返答を得て、さっそく竜崎は彼なりになにか思い当たるようだった。
「あなたの言葉に嘘が含まれていないと仮定しますが・・妙です。」
妙、という言葉に頷く私をみて、竜崎はすこしだけ噛み砕いて言うと、といった。
「夕陽さんのもつ私の情報にはムラがあります。本来同時に知っているであろうデータは欠けている一方、反対に視覚に頼ったものがある。たとえるなら・・・まるで、どこかで見てきたような。それも、かなり限定された地域と時間に限ってです。・・・見てきたことだけを「知っている」として記憶をたどっているように思えてなりません。」
たしかにそうだ・・・と私は思った。
名前を知っているのに、本来ならそれに付随していそうな事柄は知らない。その割に、知人であるかのような事柄を私は知っている。それに・・・竜崎には歪曲して伝えてしまったが・・・過去と未来をしっている、ということについても「竜崎のすべての過去と未来」ではないのだ。
あの事件_キラ事件_に関する時間軸に限定されているのだ。