第一章
名前変換 Who save his life is...
主人公について記憶喪失からスタートするので、
Lに突然呼ばれる名前です。
平凡な人物
これといった特技はない
Lと同じく甘いものが好き
本名は番外編等で登場する予定です
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◆黒いシルエット
「今日は予約したスイーツを取りに行く。それから・・・自作出来そうなものはレシピ本をみて作る練習。」
私は小さなカバンに用意した仕事手帳のメモを反復した。
「たまにいるんですよね、こういう大口の契約。ほんと助かりますよー。」
大型リムジンの車内、そのシャッターごしに呑気そうな女性の声が聞こえてきた。
「なんで助かるかって、私たち半分くらい歩合制なんです。ふふふ」
ちょっと年上くらい?だが歳は近い気がした。
私がはは・・と笑って返すと、快活な声が返ってきた。さっきちらっと姿を見た限りではきりっとした厳しそうな表情が印象的だったのに意外だなぁ、と思った。
「日向様はどのような方にに雇われてるんですかー?」
「ええと・・自営業の人・・・ですかね・・はは」
私は多少返答に困りつつ、ドライバーの質問に2、3答えていた。ホテルのコンシェルジュの運転するリムジンはフロアと一緒に契約しているらしく、自由に使って良いそうだった。
スイーツ運び、なるものの仕事の一部にはその買い出し等も含まれており、結果的にさっそく私はホテルの外の町にでられることになった。
ただし、私の外出そのものには許可がいること、発信機を付けていくこと、などの条件付きだ。スイーツに関連する業務は予想外にタフなものだったらしく、ワタリさんはいろいろと手厚く教えてくれた。こうして手帳なども受け取ったが、それでも「手に負えないときはお手伝いします」とまで言ってくれた。
外出することなど私が予想しているはずもなかったので、いざ準備してみるとなると思った以上に時間がかかった。まず、服だ。簡素なワンピース、と表現した服はどれも高そうな布を一枚使ったような、いわばパーティドレスのような、外出むけの服装と言う感じではなかったからだ。室内用だからか、余分な布を使わない、といった理由づけでもあるのだろうか、それなりに露出も多い。そのまま外には出られない。私は苦し紛れに薄手のジャケットを一枚はおって来た。
さらに、覚えることがそれなりに多くあった。まずはこのリムジン、それからカバンの中身。中にはワタリさんからもらった仕事手帳と、クレジットカード、GPS端末などが入っている。あとは名前の名乗り方だ。スイーツの受け取りなどはワタリさんのように「ワタリ」と書いてしまって問題ないようだが、フルネームのときはどうしても名字が必要だった。そこで私は、てきとうに考えて「日向」と名乗ることにした。
横で偶然会話をきいていた竜崎が「竜崎とかでいいんじゃないですか」と言ったのを、私は丁重にお断りした。
・・・と、まぁ色々あったが、買い出しそのものはとてもすんなりと終えることができた。問題は、私がマスカットケーキの箱を持ってリムジンに戻ろうとデパートをでた時に起こった。
見慣れない店名の多いなぁ、などと視線を看板から看板に移しながら歩いていたせいだろうか。ちょうど後部座席のドアが開いた瞬間、すっと動かした目線の先に、なにか「黒いもの」がひとつ横切った。明るい空を背景に、それはくっきりと人のような形をしていた。
「・・・あ、あれは」
見た瞬間に鳥肌が立つのがはっきりと分かった。もしも誰かが私の瞳孔を覗きこんだら、その光彩が小さくなっていくのが見えたに違いない。不吉なシルエットが、ゆっくりと、空に浮かんで、こっちを見た。