終章 -Last note-
名前変換 Who save his life is...
主人公について記憶喪失からスタートするので、
Lに突然呼ばれる名前です。
平凡な人物
これといった特技はない
Lと同じく甘いものが好き
本名は番外編等で登場する予定です
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Guardian -Last note-
◆正義 -2-
「……月君、このノート、返します。」
いつも柔らかく笑っていた夕陽は、見る影もない。何故、彼女がいま機械のように冷たい声でそのノートをこちらに差し出してきているのか、まったく理解できない。
もしもいま目の前にいる夕陽に理性があるのだとしたら、Lとの間にどんなやり取りがあったにせよ、受け入れがたいことだ。
「夕陽?何言ってるんだ、僕はキラじゃない」
__返すだと?
__キラに戻るなら自分と竜崎で止めると、あれほど君は言ったはずだ。
「……キラじゃなかったら、そうと分かるだけ。」
しかし、今更気づくのは、ここに居る少女は、自分の知る夕陽ではないということ。Lの隣にいるだけの、別の誰かだ。
__L。.
__「夜神くんのおかげで光が見えてきました。」
そう言ったが、大丈夫なのか。お前まで、この夕陽のように、死神やノートに操つられているんじゃないのか?
「どうしたんだ夕陽、おい、やめろよ……。」
だが、それなら尚更、どうして。
ノートに操られていて心がないと言うのなら、どうして夕陽は泣きそうになるまで顔をゆがめ、感情を押し込めている?
「受け取って。月君__」
あまりに悲痛なその姿に、受け取るとは言わないまでも、少しだけ手を伸べてみる。
そして夕陽が両手で力いっぱいこちらにノートを差し出す勢いで、触れた。
指先だけ、触れた。
「っ__あ、__」
___痛い。
___頭が、痛みだす。
こじ開け、ねじ込まれ、改めて。空虚だ。繋がる。解ける。剥落する。これは。映像だ。音だ。愉快だ。悔しい、殺意だ。嘘だ。恨みだ。信念だ。正義だ。矜持だ。
世界と。
犯罪と。
殺人と。
強盗と。
被害者と。
遺族、釈放、警視庁、憧れ、失望、味方は、縋るべきは。
__あぁ、そうだ、僕が所有者だった。
__あの日拾った、誰かの悪戯のようなノートは。
正義は、警察は、法は、Lは、世界の切り札は、第二のキラと、死神は、リューク……レム……ノーとは、デスノートは本物だ。弥海砂。ミサ、僕しかいない。精神力だ。バスジャックを、レイ・ペンバーを、寿命の半分と、死神の目と、キラは、新世界の神だ。
__世界が輝いて見えた。
__僕は、信じていた。
__捨てると言ったノートはいま、この手に戻ってきた。だが、僕の負けか。
__L。
__夕陽。いや、空
__どうやら、僕の負けのようだ。
簡単なことだ。全部を理解するのに1秒も必要ない。Lは腕時計からノートの紙片を見つけたと言った。そして南空ナオミによる拘束で、僕はノートに触れることすらできなかった。火口が生きている限り、13日ルールも偽だとすぐに判明するだろう。
「お願い、「受け取る」と言って!」
__なるほど。君が泣きそうになっていたのはそういう訳か。
空はノートに偽のルールを記し、自らLに拘束されるように仕向け、いままでずっと狂気を演じていたという訳か。自ら手を噛みちぎって、Lに背を向けるほどにまで偽ろうとしたノートの偽証は、こうして僕に所有権が戻ることで、崩れかけているのだろう。
"Notwithstanding of its intention, the owner of this note must keep writing someone’s name"
『本人の意思に関わらず、このノートの所有者は必ず誰かの名前を書き続けなければならない。』
夕陽が僕に協力を申し出てまでリュークに書き込ませた偽のルール。それを見た時から、その狙いは夜神月の逮捕だと分かっていた。しかし、「Lの命さえ守れればいい」と言って憚らなかった彼女は、故に、キラそのものを憎んではおらず、死刑までは望まない__その為にルールをノートに仕込んだのだと。そう思っていた。
しかし、あの10月28日の空の行動は、それだけで説明できることか?
「守る」と言った大切な存在であるLに背を向け、失望され、二度とその隣に戻れないリスクを冒し、自ら血を流してまで望むのが、今でもそれだとは思えない。
本当の目的は何なんだ?まさか、僕を心配してのことではないだろう。
__いいだろう。空、君の計画が台無しになることを恐れているというのなら、心配しなくてもいい。どうせ、夜神月が逮捕されるのは時間の問題だ。なら、君に少し付き合おう。
__「月君なら、キラにならなくても世界を変えられる!」
__「信頼ですか。相棒ですか。思ってますよ。」
空の言葉を受け入れかけていたことは事実だ。Lとももう少し捜査をしてみたいという気持ちがあったことは否定しない。「信頼していた」という言葉は、本当であってほしいと思ってしまった。
__キラの居ない世界でも正義が存在すると、少しだけ考え始めていた。だが、だからと言って全てを擲って守り通すと決めたキラという正義を、ここで簡単に捨てるわけにもいかない。最後まで、逃げるわけにはいかない。
だから、たとえ最期の悪あがきでも。
一度は信じた正義を、試させてほしい。
__何より空、君が変わっていなくて安心した。ノートに操られている演技をしている間も、君はずっと空だった。また話がしたい。でも少しだけ時間をくれ。君がやったように、思う存分キラを演じてやろう。
不安げに瞳を揺らす夕陽に、うっすらと笑って見せた。Lからは見えないだろう。記憶が戻るのは触れた瞬間、所有権の移動とは関係ないという事も、知らないのだろう。
ならば、今、この瞬間から、キラを始めよう。
L、教えてほしい。
正義はどこにあるのか。
「___分かった。受け取るよ。」