終章 -Last note-
名前変換 Who save his life is...
主人公について記憶喪失からスタートするので、
Lに突然呼ばれる名前です。
平凡な人物
これといった特技はない
Lと同じく甘いものが好き
本名は番外編等で登場する予定です
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ある日、私は目を覚まして、空っぽで真っ暗な記憶からLという人物に居場所をもらった。
夕陽という名前をもらって、私の世界は闇から光へ、明転した。
ひとりぼっちの探偵と、隣に座るだけのスイーツ係。
わたしは心を知った。正義と、優しさと、好きという気持ち。きっとLもそうだった。
青空みたいに二人だけの世界はどんどん広がって、いつしか友達ができた。Lの守護者であろうと決めた私の守りたいものは増えた。願うのはLの幸せだけではなく、Lの生きる世界そのもの__皆の幸せになっていった。
でも、思い出さなければいけない。
__私がこの世界にいるのは、Lの運命を変えるため。彼を守るため。
どんなに心地よくても、想っていてくれても、名残惜しくとも、やり残したような気がしても、約束を破っても、幸せを見届けたくとも、私は、進まなくてはいけない。
一人で、誰にも気づかれず、進まなくてはいけない。
Guardian -Last note-
◆暗転
「ワタリ、ここに格納されているヘリの搭載可能人数は?」
「小型機ですので5名です。」
顔を隠すようにマスクを用意するワタリさんが答えた。久々にその姿を見た気がする。小脇に置かれたアタッシュケースはまさかスナイパーライフルだろうか。
「それは良かった。ちょうど5名、完璧です。」
にやりと機嫌よく笑みを浮かべる竜崎と一緒に、繋がったまま拘束される月君と、それを監視するナオミさんがついて行く。
「ミサ、ごめんね、すぐ戻るから。」
「うう、ミサもがんばるよ……。あ、寒いからよかったらこれ着て行って!」
がんじがらめに椅子に固定されたミサから、赤と黒のかっこいい厚手のジャンパーを受け取ると、私は竜崎たちの後を慌てて追った。
エレベーターが昇って行く間ひたすらに静かだった。私はばれないように、竜崎の袖の布を少しだけ摘まんだ。やっぱり気づかれなかったけれど、それだけでとてもほっとした。
屋上のヘリポートにつくと、冷たい風が強く吹き付けてきた。竜崎の背から向こう側を見ると、既にヘリコプターが一台表に出ていた。小型機といっても、かなり大きく見える。足場も高いところにあって、そこに乗り込んで空を飛ぶという事が想像しがたかった。
「私が操縦席に座ります。真後ろに月君、その隣に南空さん、ワタリ……」
竜崎は私を振り返った。
「助手席には夕陽が座ってください。大丈夫です。操縦は私がします。」
「はい。」
先に乗り込んだワタリさんの後ろから、私たちは四人で歩いていく。
強い光で照らされたヘリポートと、赤く点滅するランプが視界をちらつく。でも、私の目に映るのは、竜崎の__Lの背中だった。
Lの背中を追って、そこに乗り込めば、きっと終わる。
進んだ先にあるのは終わり__計画の実行__そこへ、飛び降りるのだ。
そこに落ちてしまって、戻ってこられるかは分からない。
ナオミさんがさっき呟いていたように、私も心の中で「終わりにしよう」と言い聞かせた。「終わってしまう」のではなく「終わらせる」のだ。これは、私が望んだことで、なにも悲しい事じゃない。
「夕陽、顔色が悪いですが大丈夫ですか?観覧車でも焦っていましたし、高いところが怖いですか?」
席について、シートベルトと耳当てをし、準備ができてから竜崎が心配してくれる。
「あはは、私……」
本当に大丈夫。隣に竜崎が居れば。いつも通り、いてくれれば。
そう言おうと思って__止めた。
心の中で、窓の向こうの空を望むように、私は自分の声に耳を傾けた。
そうだよね。言っちゃ駄目だよね。
決して、決して口をついて出ることがないように。Lには言わない私の気持ちがひらひらと、いつかみた桜のように散っていく。
__嘘です。
__もっと一緒に居たいです。
__寂しいです。
__心細いです。
__不安です。
__怖いです。
__大好きです。
__だから、最後のお願いです。
__隣にいて、そして、私が離すまで。
「大丈夫です。でも、手を握ってもいいですか?」