終章 -Last note-
名前変換 Who save his life is...
主人公について記憶喪失からスタートするので、
Lに突然呼ばれる名前です。
平凡な人物
これといった特技はない
Lと同じく甘いものが好き
本名は番外編等で登場する予定です
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10月24日
今日はヨツバグループで面接本番
ヨツバに潜入できるのも、キラを引き付けられるのも、ミサだけ。 頑張らなきゃ。
だって、弥海砂は優しい夜神月が好きで、
私は____弥海砂は、そんなライトをキラから守らなければいけないんです。
◆Guardian -Last note-
夜道の少女
練習した通りの質問と、ちょっとのアドリブでどうにかここまで進められた。隅っこで座っている夕陽ちゃんは、「新人ちゃんの日向」になりきって、一生懸命メモを取っていた。
メイクを直して、蛇口をひねると、 お湯が出てきた。緊張で冷えていた指先が温まって、なんとなく歌を口ずさんでみた。特に意味はない歌。CDも出していないし、誰にも聴かせたこともない、ミサだけの、ミサの唄。
「きをつけて。かみさまはみーてる。」
__見ててよね、神様。ううん、ライト。必ずキラを誘い出して見せるから。
キラ。
家族のこと、それから夜道でのこと。二度も助けてくれたのにごめんなさい。感謝しているのは本当だけれど、私は貴方を逮捕したい。
警察の人が言うには、FBI捜査官や、警察、関係のない一般人まで何人も殺されたらしい。
優しい人間だけの世界を作るためなら、少しの犠牲は仕方ないと思ってたけれど、最近の調査ではお金の為、私利私欲のために人を殺してるらしい。カモフラージュのために犯罪者をさばいているなら、それはもう、ただの悪人じゃない。
だったら神様って、キラって、正義ってなんだったの?
ヨツバ本社に向かう前に、私はライトに聞いてみることにした。
「ライト、聞いてくれる?」
「なんだミサ。」
「ミサは、家族を殺した犯人をキラに裁いてもらったの。」
「……そう、だったな。」
「でも、ヨツバの為に死んだ人にも家族が居たら、きっとミサみたいに悲しんでる。そうでしょ?」
キラがお金のために人を殺していたなら、それは強盗とどう違うの?家族は一体誰に助けを求めればいいの?
事故死や病死なら、キラという犯人がいるのに、涙を流して神様を恨むことしかできないの?あんなに頼りにならなかった法にすら縋ることも許されないの?
言いたいことはたくさんあったけれど、ライトの隣の竜崎さんが第二のキラを観察するみたいに私を見るから、それ以上は我慢した。 ここで私がキラを崇拝してるって判断されて作戦が中止されるのはたぶん、まずいことだから。
「そうだ。だから僕たちは、一日も早くキラを早く逮捕しないといけないんだ。」
ライトの返答は早かった。ずっと心に留めていることじゃなければ、そんなに早く答えられないと思った。ライトは、ミサがうーんと唸って悩むようなことも、当たり前に考えているんだ。
「わかった。ミサがんばる!」
「頑張るのはいいが、そのキラの前に出るんだ、無茶はするなよ。」
ライトは呆れた顔をしながら、いつもみたいにミサのことを心配してくれた。ミサはライトにとっての「当たり前」をこんなにも迷っていた馬鹿だから、呆れちゃうのもしょうがないよね。でもやっぱり、嬉しかった。
__ねぇライト。ミサは分かってるよ。ライトは誰にでも優しいんだよね。ミサのこと、好きで心配してるわけじゃないんだよね。
でも、それだけ誰かを当たり前に心配できるライトのことがやっぱり好きで、いつかライトに言われてしまった「今の僕をみて好きと言って欲しい」、今なら堂々と言えるよ。
弥海砂は誰にでも優しい夜神月が好きで、
私は____弥海砂は、そんなライトをキラから守りたいと思うのです。
だからミサは、キラを逮捕したいと思うのです。
「くらいよみちは てを、つないでくだ、さい」
何も見えない、暗い夜道みたいだった。いつまた、悪夢が襲ってくるか分からない。道がどこに続いているのかも、自分がどこにいるのかもわからない。こんな自分なら終わっちゃっていいと思っていた。本当に夜道で襲われたときは、むしろここで終わってくれてよかったって、安心しかけていたくらい。
やっと抜け出せそうな暗がりで、また失ってしまった光。目隠しを解かれてそこにいたのはライトだけだった。
ライトはたった一つの灯りで、たった一人の優しさだったから、ミサはそれについて行こうと思った。命さえもあげちゃったっていいって思うほど嬉しかった。
でも__夜道で手を引いてくれたのはライト一人じゃなかった。
「お疲れ様、ミサ。もうちょっとだね」
柔らかく笑う。夕陽ちゃん。
会議室を抜けて私の後を追ってきたんだ。
____「ミサ。これからは、誰もいなくならない。私はずっとミサの友達でいたい。」
ぎゅっと抱きしめてそう言ってくれたことを、ミサは絶対に忘れない。
夕陽ちゃんだって記憶喪失で、過去がまるっきりない、ひとりぼっちなのに、そんな悲しさ何も感じさせない。
竜崎さんとはとても仲が良さそうで、最初はちょっと羨ましかった。
でも初めは、とても苦労したそう。
自分ばっかり何故か相手のことを知っているから、怪しまれて、軟禁されて、監視されて。
でもいつの日か、守ると決めたんだって。
ミサと一緒。
「うん、ちょっと息抜きにね。ミサと一緒。」
あ、考えていることと同じことを言われちゃった。
「あはっ、そうだね!」
笑い返すと、夕陽ちゃんも肩の力をぬくように洗面台にもたれた。
ふぅ、と息を吐く姿は、黒いスーツに黒ぶちの眼鏡も合わさって、いつもよりもずっと大人びている。
「でもちょっと時間がないんだ。ミサ、目をつぶって。」
「?」
顔にマスカラでもついちゃってたかな。と目を閉じる。すると全く意識していなかった左手の甲に、なにか乾いたものがさらりと触れる感覚があった。服が擦れただけかな、と思ってそのまま待っていると、鼻歌のように「いいよ」と夕陽ちゃんはいった。
「____あ____」
そこにいたのは夕陽ちゃんじゃなかった。
白い骨、手と足と、顔のある、人間じゃない何か。お化け?
叫ぼうとした口を後ろからその骨の手でおおわれて、息が詰まった。
__……あ、でも覆われてるのは口だけだ。鼻は大丈夫。
それにこの生き物(化け物、って感じはしないかな)は、私をじっと静かに待っているみたい。殺そうとしたり、首を絞めている感じじゃない。なんなんだろう?
「……手を離していいんだな?」
そのごつごつの手をギブアップしました、って感じにばんばんと叩くと、骨は喋った。大人の女性の声だった。
手が解放されて、私は深呼吸をする。すると、大きな白いシルエットの後ろから、また柔らかく笑った夕陽ちゃんがひょっこりと顔を出した。
「夕陽ちゃん!」
「シーっミサ!大声出しちゃだめだって!」
あわわ、と慌てて私に手を伸ばす。私もそうだね、と思ってまた黙った。
「夕陽ちゃん、えーっと、その」
その大きな白い骨のお姉さんが視えてる?と訊こうとして、私は言葉に詰まった。言っていいのかな、これ、内緒の方がいいのかな?
「びっくりさせてごめんね、ミサ。」
すると夕陽ちゃんはどうしてか苦笑交じりに私に何か小さな紙を見せてきた。紙を摘まんだ指以外が開かれていて、なんとなく竜崎さんみたい。
「これをミサに触らせたの。そして、これに触れると、レム__死神が見えるようになる。」
小さな紙をもつ夕陽ちゃんと、それに触れたら見えた……死神の……。
「レム、これ返すね。」
「………あぁ。」
まだちゃんと喋れないミサの後ろで、夕陽ちゃんとレムはとっくにお互いを知っていたようにやり取りをする。夕陽ちゃん、服装のせいだけじゃなくいつもより冷静というか、クールに見えるけれど、一体なんなの?
「貴方、レムっていうの?死神?……ミサは死ぬの?」
死神のレムは驚いたみたいだった。表情が変わったわけじゃないけれど、口を開けたまま私と夕陽ちゃんを見た。
「そうだよ。……驚いた。ノートもなしに受け入れがたいだろうと思ったが、夕陽がいたからか。取り乱さないんだな。」
やっぱりびっくりしてたんだ……。
うーん。確かにミサはこういうの結構平気な方だけれど、それで納得したように言われてもなぁ。隣の夕陽ちゃんもなんだか涼しい顔だし。ミサは置いてけぼりだよ。
「全然言ってることも分からない…ノートって何?」
「……デスノート。人の名前をそこに書き込むと、名前を書かれた人間は死ぬ。さっきミサが触れたのはその紙片だよ。」
夕陽ちゃんの声は冷たかった。どうしてそんなに落ち着いているのだろう。今、かなりものすごいこと言ったよね?人が死ぬとか……いや、そもそも死神がどうして知り合いなの?
「……えっと、あの、レムさん!すみません。基本的な説明をよろしくお願いしていいでしょうかっ。」
落ち着いていると思ったら急に慌ててどうしたんだろう、そっか、これは夕陽ちゃんの演じてるキャラの「新人ちゃん」ね!
それにしても、思い出したようにキャラを演じるなんて、どうしたんだろう?冷静すぎるとだめなのかな。
「………ほらほらレムさん!お願いしますって!」
「………。」
「……………。」
「……………。」
「…………すみませんでした。」
レムはそんなことどうでもよさそう。
たっぷりと時間を空けてから、夕陽ちゃんのおふざけをたしなめさせて、そして言った。
「夜神月はキラだ」
しってることは ぜんぶ おしえてくれる
わたしがおぼえてなくても なんどでも
おしえてくれる
____まるで私の唄みたいに、レムは全部教えてくれた。