第四章
名前変換 Who save his life is...
主人公について記憶喪失からスタートするので、
Lに突然呼ばれる名前です。
平凡な人物
これといった特技はない
Lと同じく甘いものが好き
本名は番外編等で登場する予定です
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「はい、では私と夕陽は今後は同じ部屋で寝るということで。」
そうなった原因を作ったのは、
__普通に私だった。
Guardian -第四章-
◆死神の視線
___詳細を思い出せば思い出すほどに、頭を抱えたくなった。
「夕陽、頭を抱えてどうかしましたか。」
半ば押し切られる形だったとはいえ、きっかけを作ったのは私だった。
とにかく、そんな経緯で私と竜崎の寝室は一緒になったのだった。
「竜崎……夕陽さんとのことは秘密なんじゃなかったのか。彼女、困ってるじゃないか。」
頭をかかえる私の横から月君が助け船を出してくれた。
「夕陽はいつもあんな感じです。それにもう、隠す必要はないかと。」
「………………。」
「………えっ」
「………例えばこんな感じです。」
「あぁ、なるほどな。」
運悪く部屋の隅だったので、竜崎と月君と二人からすごまれるような構図になっていた。見下ろすように私をからかう竜崎の横で、どうでもよさそうに腕を組んでいた月君までもが、私を見ながらため息とともにしみじみと頷いていた。
「夕陽さんのことは分かったが……竜崎、いまの隠す必要がないって本当か?」
「いえ、冗談です。」
竜崎はきょとんと指を咥えた。どういう意味?とパニックになりそうだった私が胸をなでおろしていると、月君が一歩引いて、背筋を正した。モードが切り替わったように見えた。
「竜崎、そろそろ僕と松田さんは出ることにするよ。早めに仲間と合流しておきたいからね。」
「ええ。それがいいと思います。」
「夕陽さんも青山に用事があるんだろ?目的が違うとはいえ、場所が近いんだから気を付けるように。」
「……月君は夕陽に甲斐甲斐しくする必要はありません。」
「彼女なら心配だろ?キラや第二のキラがいるかもしれないんだ。」
「夕陽の周りにも捜査員は配置します。……心配するのは月君の役目ではないと言っているんです。」
「そんな言い方ないだろう?」
二人の会話を聞きながら、私はこのあとの予定を整理した。
青山。
私はあらかじめ「ノートブル―には行けないから近くのカフェから見張る」と月君には伝えてある。そして竜崎には、「粧裕ちゃんから聞いた名物のタルトを買ってみたい」と伝えてある。
反対されるかとも思ったが、むしろ警察官の張っている今日は安全だからオーケーとのことだった。
そう、私は「死神を探しに行く」なんて月君に豪語したはいいけれど。
やはり捜査の中ということ、L側の人間ということで、周囲には捜査員が数人配置される。
実質、今日ここで私にできることはそんなにない。ましてや死神や弥海砂本人に声を掛けるなんて、どう頑張っても無理だ。
__目的は、協力するという姿勢をみせることそれ自体にある。
私はただその場に居合わせてレムを目撃し、「白い死神を見た」と月君に伝えるだけでいい。
……竜崎の言動から、私が今日あまり自由に動けないということが月君に伝わればいいのだけれど。
「じゃ、探してるケーキあったら教えてくれ。粧裕に言っとくよ。」
それは粧裕ちゃんをだしにつかった、しょうもない嘘だったが。
連絡をとる口実はこれでどうにか。というところだ。
「オーケー月君!がんばってね。」
「なんで応援するんですか。」
「竜崎もお土産楽しみにしててね!」
「……ええ。」
頭のいい二人や捜査員たちと生活するうちに嘘をつくことには慣れてはきたけれど、
竜崎と月君、どっちにも嘘をつくのはなかなか大変だ。
でも、どっちも救おうと思うのだから、しょうがない。
◇ ◇ ◇
「ブルーベリーマウンテン…タルト…?」
___これ、青山にかけてるのかな?
ていうか。普通にコーヒーのブルーマウンテンブレンドを名物にすればでいいんじゃないかな、と思う。
私はノートブル―の向かいカフェで、そこの名物らしい、見た目はごく普通のタルトを注文して、のんびりと座っていた。
ブルーベリーをつつきながら、私はただ視線を前に向け続けた。
目的の少女は、死神は、もう目の前にいた。
耳とほとんど同じ高さに切り揃えられた黒髪と、顔の特徴をさらってしまうような黒縁の眼鏡。気崩さないセーラー服という装いはそれなりに目立っていた。
開店からいたんじゃないかと思うくらい、ひとの少ないがらんとした店内で、彼女はずっとガラス越しに道路の向かいを眺めていた。
それはただ空想にふける少女の姿に見えなくもないが……
__彼女の目には、道行く人々の名前と寿命が見えている。
弥海砂は、寿命の半分を引き換えに手に入れた目で、死を見ている。
人間としてそれを視るというのはどういう気持ちなのだろう。それとも、キラに対する気持ち以外は空虚でなにも感じない?
__「ちなみに、私の名前は、寿命は、見える?どう見える?」と聞いてみたい。
黒いセーラー服と対比する様に佇む死神は、骨格標本のように真っ白だった。むしろ、たいていは黄ばんでいる骨なんかよりも、ずっと青白く浮かび上がっていた。
海砂とレムが先に席についていたのは有難かった。
彼女たちは月君を探すために窓際に座る。こっそりと入店すれば、こちらが気づかれる心配もない。
____あ、月君だ。
道路の向かいに、男女数人の集団が見える。そうしてさりげなく、ノートブル―周辺で歩みを止めた。さすが月君だ、松田さんがいじられているように見えるけれど、仲間たちに談笑させながら、自分の注意は周囲に向けている。
「かーえろっ」
窓際の少女が伸びをしながら立ち上がった。
それとなく私は警戒して、持ってきた雑誌に顔を埋めるようにしつつ様子をうかがう。
帰ったら月君に「セーラー服の女の子と白い死神が確かにいたけれど、竜崎からの連絡を受けているうちにいなくなってしまった。そっちはどうだった?」とでも報告しよう。
なんてのんびりと構えていたら。
「……!」
____レム?
会計をする海砂の横で、すっと振り返ったレムは、こちらを見ていた。
はっきりと目が合い、その縦長の赤い瞳が細められるのが分かった。
何故?気づいていた?あえてなにも言わずにいたのか?
「____レ、ム?」
私は口の動きだけでその名を呼んでみた。
頷いたのか、目を閉じたのか、その目が細められた。
つづいて、大きな口が小さく動く。
__「コ コ デ ナ ニ オ シ テ イ ル」
__「ここで何をしている?」
死神のレムが言ったのは、そんな文字列だった。