中編
フェニックスは、ラリイの申し出を受け入れ、人間界で、
もう少しだけ過ごすことにしていた。
それから、1か月はあっという間に過ぎた。
ラリイと山登りしたり、川に釣りに行ったり、海水浴にも行った。
ただ、フェニックスは火の鳥と言う事もあって、泳ぐのは
苦手だったので、ラリイを見守る方だったが。
フェニックスは、ラリイから紹介された、数人の人間とも
顔馴染みになった。
そこで、ラリイの主に当たる、姫とも会った。
フェニックスは、エナが姫とまで知らないが。
「フェニさんって面白い方ね♪」
「そうでしょうか。私はただ思った事を言っただけですが?」
ラリイは、冷や冷やしながら、フェニとエナをやり取りを見つつ、
会話を聞いていたが、フェニが気を使ってくれているのか、
悪い雰囲気でなかったので安心した。
エナもラリイに最初に注意されたことには、話題に出さなかった。
変にフェニの事を詮索しないで下さいと言う事を。
「では、私はこれで失礼しますね。また、もし良ければ、
会って下さいますか?」
「はい。私なんぞで良ければ。」
「じゃ、フェニ、ちょっと彼女を送ってくるから。」
「わかった。」
フェニは家で留守番をし、ラリイはエナを城にしっかり送り届けてから、帰りの途中で
雑貨屋に寄って、フェニが好きなカレー粉と、ジンジャーシロップを
買って家に帰って来た。
最近、フェニはやたらとカレーにハマっていた。
あの初めてカレーを食べた時のあの驚いた顔は、可愛いとさえ、
ラリイも思ってしまった。
「フェニ、ただいま。」
「おかえり。うん?もしかして?!」
「おう!今日は彼女の我が儘に付き合って貰ったからな!
お礼にフェニにお土産買ってきた!」
フェニは目を輝かせて、ラリイが買ってきた土産を愛しそうに見ている。
が、ラリイがニヤニヤした顔で自分を見ているのに気づき、
顔を少し赤くして、冷静になる。
「こほん。その・・・感謝する。」
「どう致しまして。俺の方こそ、今日は有り難うな♪」
ラリイは、いつもの元気な笑顔でフェニを見る。
フェニックスは自分だけ恥ずかしい思いをさせられたのが、
少し悔しくなり、ラリイをからかう。
「にしても、今日の彼女は、ラリイの好きな娘かい?」
「ごほ!な、なんで、そうなるんだよ?!最初に言っただろう!
お、幼馴染みだって!!!」
露骨に動揺し、顔を真っ赤にしているラリイに、フェニックスは、
ここまで、態度に出ていたら、バレバレだろうと内心思った。
ラリイは、本当に馬鹿が付くほど素直な男だ。
「ラリイは、性格も優しいし、城勤めなら、彼女に告白すれば
いいのに。あの感じでは、友達止まりじゃないのか?
どうして、告白しない?私が手伝おうか?」
フェニックスは、ラリイの動揺する姿が、楽しくて、ついまた、
ラリイをからかってしまう。
ラリイの方は、顔を真っ赤にしたまま、フェニを軽く睨む。
「フェニ・・・お前・・・楽しんでるな?」
「うふふ、バレたか。」
「そういう事するなら、今日の夕食はカレーなしにするからな!」
「な!それは、困る!今日は海鮮カレーにしてくれると言う約束のはずだ!」
フェニは、一気に真顔になり、ラリイをからかいすぎたことを詫びる。
どうやら、最近は本当にカレーが大好きなようだ。
「ふん。わかればいいんだ。」
ラリイはニヤリと笑って、フェニに言ってやる。
フェニは今日のカレーが死守出来たのを知り、安堵した顔になり、でも話を続ける。
「けど、私は本気で、ラリイと彼女はお似合いだと思うんだがな。」
「そう、言ってくれるのは嬉しいけどさ、彼女とは身分違いと言うか、
彼女は来年には・・・結婚するんだ。」
「そうだったのか・・・事情を知らなかったとは言え、無礼だった。すまない。」
「あ、いや、気にしないでくれよ!俺も言わなかったんだから!」
詫びるフェニに、ラリイは苦笑いして答えた。知らなかったのだから、
悪意があってからかったわけではない。
「さ!そんな話は止めて!カレー作りでもしよう!フェニも一緒に作るか?」
「ああ、ぜひ作り方を知りたい!なので、手伝う!」
「あはは、わかった!じゃー今からやろう!」
1匹と1人は、小さいキッチンで、ワイワイ言いながら、海鮮カレーを作る。
ラリイが想像していた通り、フェニは喜んで食べていた。
魚などが、好きそうだったから、喜ぶのではないかと思ったのだ。
「食後に、紅茶飲もう。」
食後にラリイは、紅茶を用意して、ジンジャーシロップを
紅茶に入れてフェニに渡す。
フェニは不思議そうな顔をして、ラリイから渡された紅茶を受け取る。
「これで飲んでみ?」
「ん?うん・・・・?!」
「どうだ?」
「この味、私は嫌いじゃない。」
ラリイから貰った紅茶を飲み、フェニは嬉しそうにして言う。
紅茶の香りと、甘いのに、少しピリッとする、ジンジャーの味が、また面白い。
こんな味もあるのかと、フェニックスは感心した。
「気に入ったみたいなら、良かったよ。」
ラリイもフェニが嬉しそうにしてたので、微笑んでいた。
こんな日々の小さな驚きや発見を、ラリイを通じて知る、
フェニックスは、この生活が、すっかり気に入ってしまっていた。
過去のまま、人間が大嫌いなままなら、知ることのなかった経験。
人間など、愚かだと馬鹿にしたままだったら、きっと後悔してたかもしれない。
この調子だと、もう少し長居してしまいそうだなと、
フェニックスは、困りながらも、今はいいかと悪く考えるのはやめた。
どうせ、異空間では、バハムートが、未だに自分を部下に
しようとしてくるかもしれない。
それを考えると、フェニは表に出さないが気分が暗くなる。
そんな嫌な思いをするのなら、ラリイが死ぬまで、ラリイが、
どんな人生を歩むのか、陰ながら見守っている方が、
楽しそうだと、最近は特に思うようになっていた。
今は、このラリイの居る国は平和のようだが、これで戦争にでも
なったら、ラリイはすぐに死んでしまうのでないかと、
フェニックスは、少し心配している所もあった。
が、フェニックスは、ラリイのある過去をまだ知らない。
このラリイが、実は魔剣を使い、自国、他国問わずに、魔物も人間も容赦なく、
殺害していた少年時代があったことを。
もう少しだけ過ごすことにしていた。
それから、1か月はあっという間に過ぎた。
ラリイと山登りしたり、川に釣りに行ったり、海水浴にも行った。
ただ、フェニックスは火の鳥と言う事もあって、泳ぐのは
苦手だったので、ラリイを見守る方だったが。
フェニックスは、ラリイから紹介された、数人の人間とも
顔馴染みになった。
そこで、ラリイの主に当たる、姫とも会った。
フェニックスは、エナが姫とまで知らないが。
「フェニさんって面白い方ね♪」
「そうでしょうか。私はただ思った事を言っただけですが?」
ラリイは、冷や冷やしながら、フェニとエナをやり取りを見つつ、
会話を聞いていたが、フェニが気を使ってくれているのか、
悪い雰囲気でなかったので安心した。
エナもラリイに最初に注意されたことには、話題に出さなかった。
変にフェニの事を詮索しないで下さいと言う事を。
「では、私はこれで失礼しますね。また、もし良ければ、
会って下さいますか?」
「はい。私なんぞで良ければ。」
「じゃ、フェニ、ちょっと彼女を送ってくるから。」
「わかった。」
フェニは家で留守番をし、ラリイはエナを城にしっかり送り届けてから、帰りの途中で
雑貨屋に寄って、フェニが好きなカレー粉と、ジンジャーシロップを
買って家に帰って来た。
最近、フェニはやたらとカレーにハマっていた。
あの初めてカレーを食べた時のあの驚いた顔は、可愛いとさえ、
ラリイも思ってしまった。
「フェニ、ただいま。」
「おかえり。うん?もしかして?!」
「おう!今日は彼女の我が儘に付き合って貰ったからな!
お礼にフェニにお土産買ってきた!」
フェニは目を輝かせて、ラリイが買ってきた土産を愛しそうに見ている。
が、ラリイがニヤニヤした顔で自分を見ているのに気づき、
顔を少し赤くして、冷静になる。
「こほん。その・・・感謝する。」
「どう致しまして。俺の方こそ、今日は有り難うな♪」
ラリイは、いつもの元気な笑顔でフェニを見る。
フェニックスは自分だけ恥ずかしい思いをさせられたのが、
少し悔しくなり、ラリイをからかう。
「にしても、今日の彼女は、ラリイの好きな娘かい?」
「ごほ!な、なんで、そうなるんだよ?!最初に言っただろう!
お、幼馴染みだって!!!」
露骨に動揺し、顔を真っ赤にしているラリイに、フェニックスは、
ここまで、態度に出ていたら、バレバレだろうと内心思った。
ラリイは、本当に馬鹿が付くほど素直な男だ。
「ラリイは、性格も優しいし、城勤めなら、彼女に告白すれば
いいのに。あの感じでは、友達止まりじゃないのか?
どうして、告白しない?私が手伝おうか?」
フェニックスは、ラリイの動揺する姿が、楽しくて、ついまた、
ラリイをからかってしまう。
ラリイの方は、顔を真っ赤にしたまま、フェニを軽く睨む。
「フェニ・・・お前・・・楽しんでるな?」
「うふふ、バレたか。」
「そういう事するなら、今日の夕食はカレーなしにするからな!」
「な!それは、困る!今日は海鮮カレーにしてくれると言う約束のはずだ!」
フェニは、一気に真顔になり、ラリイをからかいすぎたことを詫びる。
どうやら、最近は本当にカレーが大好きなようだ。
「ふん。わかればいいんだ。」
ラリイはニヤリと笑って、フェニに言ってやる。
フェニは今日のカレーが死守出来たのを知り、安堵した顔になり、でも話を続ける。
「けど、私は本気で、ラリイと彼女はお似合いだと思うんだがな。」
「そう、言ってくれるのは嬉しいけどさ、彼女とは身分違いと言うか、
彼女は来年には・・・結婚するんだ。」
「そうだったのか・・・事情を知らなかったとは言え、無礼だった。すまない。」
「あ、いや、気にしないでくれよ!俺も言わなかったんだから!」
詫びるフェニに、ラリイは苦笑いして答えた。知らなかったのだから、
悪意があってからかったわけではない。
「さ!そんな話は止めて!カレー作りでもしよう!フェニも一緒に作るか?」
「ああ、ぜひ作り方を知りたい!なので、手伝う!」
「あはは、わかった!じゃー今からやろう!」
1匹と1人は、小さいキッチンで、ワイワイ言いながら、海鮮カレーを作る。
ラリイが想像していた通り、フェニは喜んで食べていた。
魚などが、好きそうだったから、喜ぶのではないかと思ったのだ。
「食後に、紅茶飲もう。」
食後にラリイは、紅茶を用意して、ジンジャーシロップを
紅茶に入れてフェニに渡す。
フェニは不思議そうな顔をして、ラリイから渡された紅茶を受け取る。
「これで飲んでみ?」
「ん?うん・・・・?!」
「どうだ?」
「この味、私は嫌いじゃない。」
ラリイから貰った紅茶を飲み、フェニは嬉しそうにして言う。
紅茶の香りと、甘いのに、少しピリッとする、ジンジャーの味が、また面白い。
こんな味もあるのかと、フェニックスは感心した。
「気に入ったみたいなら、良かったよ。」
ラリイもフェニが嬉しそうにしてたので、微笑んでいた。
こんな日々の小さな驚きや発見を、ラリイを通じて知る、
フェニックスは、この生活が、すっかり気に入ってしまっていた。
過去のまま、人間が大嫌いなままなら、知ることのなかった経験。
人間など、愚かだと馬鹿にしたままだったら、きっと後悔してたかもしれない。
この調子だと、もう少し長居してしまいそうだなと、
フェニックスは、困りながらも、今はいいかと悪く考えるのはやめた。
どうせ、異空間では、バハムートが、未だに自分を部下に
しようとしてくるかもしれない。
それを考えると、フェニは表に出さないが気分が暗くなる。
そんな嫌な思いをするのなら、ラリイが死ぬまで、ラリイが、
どんな人生を歩むのか、陰ながら見守っている方が、
楽しそうだと、最近は特に思うようになっていた。
今は、このラリイの居る国は平和のようだが、これで戦争にでも
なったら、ラリイはすぐに死んでしまうのでないかと、
フェニックスは、少し心配している所もあった。
が、フェニックスは、ラリイのある過去をまだ知らない。
このラリイが、実は魔剣を使い、自国、他国問わずに、魔物も人間も容赦なく、
殺害していた少年時代があったことを。