後編
ウロヴォロに監禁されていたラリイは、フェニックスのおかげで、
解放されていた。
ラリイが意識を戻した時には、何故か、自分の家のベッドに寝ていた。
ラリイは、何がどうなったのか、さっぱりわからず、混乱していた。
「俺は、あのウロヴォロに気絶させられて・・・それから・・・
あ!フェニ!そうだ!フェニは無事なのか?!」
ラリイはベッドから飛び起き、フェニを探し、自分の家の中を見回る。
だが、フェニはいない。
ラリイはすぐに理解した。フェニは自分を助ける為に自分と入れ替わるようにして、
ウロヴォロの所にいるのではないかと。
ラリイは外を見る、外はもうじき朝を迎えようとしていた。
「いけない。このまま、朝になったら、ウロヴォロは、フェニを
王に報告するはずだ。その前に助け出さないと・・・」
ラリイは、自分の寝室に大事にしまってある、あの剣を手に取った。
フェニックスが正確に教えてくれた、神剣アルゥイント・ガルトを。
「アルゥイント・・・頼む。親友を助ける為に、もう一度お前の力を俺に貸してくれ・・・
今度は誰かを殺す為でなく、大事なものを救う為に。」
ラリイは装備をしっかり確認し、急いでウロヴォロの屋敷に戻る。
フェニックスが服従の輪をつけてから、3,4時間過ぎた頃だった。
「人間に飼われることになって、どんな気分だ?フェニックス?」
「・・・・・」
その頃、ウロヴォロは、フェニックスが服従の輪を着けたことで、
フェニックスへの態度を一変させていた。
服従の輪さえ着けさせてしまえば、フェニックスが自分に危害を
加えることが出来ないと知っていたからだ。
もちろん、服従の輪を外せるのは、ウロヴォロだけ。
フェニックスは大きな檻の中に入れられ、人間の姿から幻獣の姿に戻されていた。
その檻は、魔法の檻で、フェニックスの魔力も抑えていた。
ウロヴォロは、嬉しそうに、偉そうにしながら、フェニックスに、
問うていたが、フェニックスは無言を貫いていた。
「ラリイ以外の人間には、囀りたくもないか?」
ウロヴォロは、フェニックスが、さっきから反応しないので、
つまらなさそうにして、そう言う。
フェニックスは、憐れむようにウロヴォロを見返す。
「醜い人間だ・・・ラリイとは大違いの。とても、同じ種族だとは思えない・・・」
フェニックスは、静かにそれだけ返事した。
ウロヴォロはそれ聞くと、短く呪文を唱えた。
フェニックスの着けた服従の輪が、フェニックスの首を絞め、苦しめる。
フェニックスは、小さい声で呻く。
「もう少し、可愛い囀りをするのだな。お前は俺に飼われることになったんだ。
あんなラリイなんて、くだらない男と俺を比べるな。わかったな?」
ウロヴォロは、自分が優位であることを見せつけ、フェニックスを
監禁している地下室から出て行った。
フェニックスはようやく、あの嫌いなウロヴォロが出て行き、安心した。
フェニックスは、静かに目を閉じて、ラリイとの日々を思い出していた。
「ああ、そう言えば、あのカレーをまた作ってくれると言ってたのに、
食べ損ねたな・・・」
フェニックスは、それを思い出し、静かに心の中で笑った。
ラリイを救う事が出来たのなら、何も文句はなかった。
こんな酷い目に、今後遭っていくのだとしても。
フェニックスが大人しく、ラリイを思っていた時、ラリイは、
ウロヴォロの屋敷に忍び込んでいた。
「ちくしょう・・・何とか入り込んだはいいけど、フェニは
どこだ?アルゥイント・・・どこだと思う?」
ラリイは、アルゥイントを握りしめ、フェニの事を強く願った。
すると、剣が淡く輝き始め、ラリイはある場所に移動していた。
「え・・・フェニ・・・なのか?」
ラリイは突然、フェニックスが閉じ込められている、
檻の前に居たのだ。
フェニックスも、ラリイの声がするので、まさかと思い、顔を向けると、
驚いたラリイがいて、自分も驚く。
「な、何故、ラリイが?と言うか、どうして来たんだ?
すぐに帰れ。ここに居たら、誤解される。」
フェニックスは自分が、もう人の姿ではないのに、ラリイにいつもの様に話かけた。
ラリイも、フェニが幻獣の姿であったことに最初は驚きはしたが、
すぐに、いつもの様に答えた。
「ダメだ!俺はフェニを助けに来たんだ!一緒に帰ろう!」
「それは出来ない。この檻は特殊な檻だ。ラリイに開けることは
出来ない。それに、私は服従の輪を着けてしまった。
これが外れない限り・・・もう私は自由にはなれない。」
フェニックスは、ラリイを諦めさせようと、色々と説明する。
だが、ラリイは涙目になりながらも、決して諦めようとはしない。
自分の所為で、フェニをこんな目に遭わせてしまったのだ。
納得できるわけがないではないか。
必死に何か、いい案はないかと考えるラリイに、アルゥイントが
静かに語る。
「我を使い、檻を破壊せよ。そして、忌まわしき輪を断ち切れ。
お前なら出来る。友と心を通じ合わせろ。」
「アルゥイント・・・お前・・・力を貸してくれるんだな?」
ラリイは自分の心の中に響く、アルゥイントの声を聞いた。
それを聞き、ラリイは再び、過去の自分のような精神状態に戻る。
それを見たフェニックスは息を飲む。
剣の神童と呼ばれていた頃のラリイに、今ラリイは戻ったのだ。
意識を集中して、ラリイはアルゥイントと一体化する。
数年ぶりのことのはずなのに、何にも違和感などない。
ラリイは静かにフェニを見て、薄っすらと微笑んだ。
「フェニ・・・俺は今から、この檻と、お前に着けられた、
その忌まわしい輪を断ち切る。かなり危険な事だと思う。
もし、失敗すれば、俺はフェニを斬ることになるかもしれない。
それでも、俺の事を・・・信じてくれるか?」
「もちろん、信じるとも。私の大事な親友を・・・」
「有り難う・・・フェニ・・・」
フェニの答えを聞いて、ラリイも覚悟を決めた。
昔に構えていた、剣の構えをして、目を閉じ、更に意識を高める。
ラリイの周りだけが、違う空気に包まれる。
フェニックスは、ただ邪魔をしない様に静かに見守る。
ラリイの意識は研ぎ澄まされ切った瞬間であった。
「は!!!」
ラリイは、アルゥイントを振るって、まず檻を斬った。
檻は見事に真っ二つに割れる。
それから、ラリイは更に狙いを定め、フェニックスの首に着いている、
服従の輪だけを正確に狙って、斬った。
少しの沈黙の後、ガチャリと、金属が落ちる音がした。
フェニックスに着いた服従の輪も見事に真っ二つになり、
地面に落ちていた。
ラリイは、すぐにフェニを確認する。
フェニは嬉しそうにして、何も怪我をしてない事をラリイに言った。
ラリイは安堵した顔になり、いつもの穏やかなラリイに戻っていた。
フェニックスとラリイは、ウロヴォロ屋敷から脱出し、
一旦はラリイの家に戻ってきていた。
ウロヴォロが、どう出てくるか、考えなければならない。
フェニックスは、また人の姿に戻り、ラリイと最後の別れを
しなくてはとも考えていた。
解放されていた。
ラリイが意識を戻した時には、何故か、自分の家のベッドに寝ていた。
ラリイは、何がどうなったのか、さっぱりわからず、混乱していた。
「俺は、あのウロヴォロに気絶させられて・・・それから・・・
あ!フェニ!そうだ!フェニは無事なのか?!」
ラリイはベッドから飛び起き、フェニを探し、自分の家の中を見回る。
だが、フェニはいない。
ラリイはすぐに理解した。フェニは自分を助ける為に自分と入れ替わるようにして、
ウロヴォロの所にいるのではないかと。
ラリイは外を見る、外はもうじき朝を迎えようとしていた。
「いけない。このまま、朝になったら、ウロヴォロは、フェニを
王に報告するはずだ。その前に助け出さないと・・・」
ラリイは、自分の寝室に大事にしまってある、あの剣を手に取った。
フェニックスが正確に教えてくれた、神剣アルゥイント・ガルトを。
「アルゥイント・・・頼む。親友を助ける為に、もう一度お前の力を俺に貸してくれ・・・
今度は誰かを殺す為でなく、大事なものを救う為に。」
ラリイは装備をしっかり確認し、急いでウロヴォロの屋敷に戻る。
フェニックスが服従の輪をつけてから、3,4時間過ぎた頃だった。
「人間に飼われることになって、どんな気分だ?フェニックス?」
「・・・・・」
その頃、ウロヴォロは、フェニックスが服従の輪を着けたことで、
フェニックスへの態度を一変させていた。
服従の輪さえ着けさせてしまえば、フェニックスが自分に危害を
加えることが出来ないと知っていたからだ。
もちろん、服従の輪を外せるのは、ウロヴォロだけ。
フェニックスは大きな檻の中に入れられ、人間の姿から幻獣の姿に戻されていた。
その檻は、魔法の檻で、フェニックスの魔力も抑えていた。
ウロヴォロは、嬉しそうに、偉そうにしながら、フェニックスに、
問うていたが、フェニックスは無言を貫いていた。
「ラリイ以外の人間には、囀りたくもないか?」
ウロヴォロは、フェニックスが、さっきから反応しないので、
つまらなさそうにして、そう言う。
フェニックスは、憐れむようにウロヴォロを見返す。
「醜い人間だ・・・ラリイとは大違いの。とても、同じ種族だとは思えない・・・」
フェニックスは、静かにそれだけ返事した。
ウロヴォロはそれ聞くと、短く呪文を唱えた。
フェニックスの着けた服従の輪が、フェニックスの首を絞め、苦しめる。
フェニックスは、小さい声で呻く。
「もう少し、可愛い囀りをするのだな。お前は俺に飼われることになったんだ。
あんなラリイなんて、くだらない男と俺を比べるな。わかったな?」
ウロヴォロは、自分が優位であることを見せつけ、フェニックスを
監禁している地下室から出て行った。
フェニックスはようやく、あの嫌いなウロヴォロが出て行き、安心した。
フェニックスは、静かに目を閉じて、ラリイとの日々を思い出していた。
「ああ、そう言えば、あのカレーをまた作ってくれると言ってたのに、
食べ損ねたな・・・」
フェニックスは、それを思い出し、静かに心の中で笑った。
ラリイを救う事が出来たのなら、何も文句はなかった。
こんな酷い目に、今後遭っていくのだとしても。
フェニックスが大人しく、ラリイを思っていた時、ラリイは、
ウロヴォロの屋敷に忍び込んでいた。
「ちくしょう・・・何とか入り込んだはいいけど、フェニは
どこだ?アルゥイント・・・どこだと思う?」
ラリイは、アルゥイントを握りしめ、フェニの事を強く願った。
すると、剣が淡く輝き始め、ラリイはある場所に移動していた。
「え・・・フェニ・・・なのか?」
ラリイは突然、フェニックスが閉じ込められている、
檻の前に居たのだ。
フェニックスも、ラリイの声がするので、まさかと思い、顔を向けると、
驚いたラリイがいて、自分も驚く。
「な、何故、ラリイが?と言うか、どうして来たんだ?
すぐに帰れ。ここに居たら、誤解される。」
フェニックスは自分が、もう人の姿ではないのに、ラリイにいつもの様に話かけた。
ラリイも、フェニが幻獣の姿であったことに最初は驚きはしたが、
すぐに、いつもの様に答えた。
「ダメだ!俺はフェニを助けに来たんだ!一緒に帰ろう!」
「それは出来ない。この檻は特殊な檻だ。ラリイに開けることは
出来ない。それに、私は服従の輪を着けてしまった。
これが外れない限り・・・もう私は自由にはなれない。」
フェニックスは、ラリイを諦めさせようと、色々と説明する。
だが、ラリイは涙目になりながらも、決して諦めようとはしない。
自分の所為で、フェニをこんな目に遭わせてしまったのだ。
納得できるわけがないではないか。
必死に何か、いい案はないかと考えるラリイに、アルゥイントが
静かに語る。
「我を使い、檻を破壊せよ。そして、忌まわしき輪を断ち切れ。
お前なら出来る。友と心を通じ合わせろ。」
「アルゥイント・・・お前・・・力を貸してくれるんだな?」
ラリイは自分の心の中に響く、アルゥイントの声を聞いた。
それを聞き、ラリイは再び、過去の自分のような精神状態に戻る。
それを見たフェニックスは息を飲む。
剣の神童と呼ばれていた頃のラリイに、今ラリイは戻ったのだ。
意識を集中して、ラリイはアルゥイントと一体化する。
数年ぶりのことのはずなのに、何にも違和感などない。
ラリイは静かにフェニを見て、薄っすらと微笑んだ。
「フェニ・・・俺は今から、この檻と、お前に着けられた、
その忌まわしい輪を断ち切る。かなり危険な事だと思う。
もし、失敗すれば、俺はフェニを斬ることになるかもしれない。
それでも、俺の事を・・・信じてくれるか?」
「もちろん、信じるとも。私の大事な親友を・・・」
「有り難う・・・フェニ・・・」
フェニの答えを聞いて、ラリイも覚悟を決めた。
昔に構えていた、剣の構えをして、目を閉じ、更に意識を高める。
ラリイの周りだけが、違う空気に包まれる。
フェニックスは、ただ邪魔をしない様に静かに見守る。
ラリイの意識は研ぎ澄まされ切った瞬間であった。
「は!!!」
ラリイは、アルゥイントを振るって、まず檻を斬った。
檻は見事に真っ二つに割れる。
それから、ラリイは更に狙いを定め、フェニックスの首に着いている、
服従の輪だけを正確に狙って、斬った。
少しの沈黙の後、ガチャリと、金属が落ちる音がした。
フェニックスに着いた服従の輪も見事に真っ二つになり、
地面に落ちていた。
ラリイは、すぐにフェニを確認する。
フェニは嬉しそうにして、何も怪我をしてない事をラリイに言った。
ラリイは安堵した顔になり、いつもの穏やかなラリイに戻っていた。
フェニックスとラリイは、ウロヴォロ屋敷から脱出し、
一旦はラリイの家に戻ってきていた。
ウロヴォロが、どう出てくるか、考えなければならない。
フェニックスは、また人の姿に戻り、ラリイと最後の別れを
しなくてはとも考えていた。