プロローグ
「冗談じゃないわ!私は王室なんて行かないわ!」
セミロングの薄い色の金髪の鳥人の少女が、ある部屋で同じ鳥人の
城の使いの者に、はっきりとした意志で、ある話を拒んでいた。
「しかし・・・フェニ様。貴女が拒否しようと、貴女には
フェニキアの王族の血が入っている真実は変わりません。
このまま、無理に拒み続ければ、ここに迷惑が掛かるのは、
おわかりになりますよね?」
「それは・・・脅しですか?」
フェニと呼ばれた少女は、城の使いの者を睨んでいた。
だが、城の使いの者が言うのは間違いではない。
自分が城に行くことを拒み続ければ、自分をここまで育ててくれた
教会や、その関係者達に迷惑が掛かるだろう。
それだけ、何か王室にあったようで、どうあっても、自分を
王室に迎えたいらしい。
今まで、自分を見捨てて、孤児として教会に押し付けたまま
だったくせに、何とも調子のいい話ではないか。
フェニは王室に憎しみしかなかった。
「フェニ、行きなさい。これは運命でしょう。逃げては行けません。」
「ディープシスター・・・」
拒み続けるフェニの側に、そっと年配の鳥人のシスターが近寄り、諭した。
「貴女の気持ちはわかります。今は怒りしかないかもしれない。
でもね、フェニ?親に逢えるかもしれないのなら、このチャンスを
一時的感情で無駄にするのは良くないと思うの。
ちゃんと向き合えるかもしれないなら、逢ってくるべきだわ。
それで、嫌なら、いつでも教会に帰って来なさい。ね?」
「ディープシスター・・・ううぅ・・・」
フェニは泣きながら、ディープシスターにしがみつく。
自分の育ての親である、ディープシスターに、こう諭されたのでは、
流石のフェニも言う事を聞くしかなかった。
「では、明日に正式にお迎えに上がりますので。」
「ええ、そうして下さい。それまでには、この子に準備させて
おきますから。」
「では。」
城の使いの者は安堵した顔をして帰って行った。
「そんなに泣かないの。城に行ったからと言っても、もう二度と
逢えないわけじゃないんだから。フェニキアは大教会と
深い繋がりがあるのは、フェニも知っているでしょ?」
「うん・・・」
「大丈夫。神はフェニはしっかり導いて下さるわ。
さ、明日の用意をなさい。教会に恥をかかせては駄目よ?」
「はい・・・」
ディープシスターは、いつもの笑顔とお説教口調でフェニを
元気づけた。フェニも涙を拭いて、答えた。
「フェニお姉ちゃん、お城に行くの?!」
「すげぇーいいなー俺も行ってみたい!」
「私も行ってみたい!」
「私もお城でドレスとか着てみたい!」
同じ孤児達の幼い弟や妹達がフェニに集まり、わいわいと騒ぎだす。
フェニは苦笑いをしつつ、小さい兄弟達に言う。
「こら!私は遊びに行くんじゃないの!お城で大事な用事が
あるみたいだから行くだけ!終わったら、とっとと帰って
来るからね!だから、また悪戯してたら、怒るからね!」
「きゃーーー逃げろーーー」
「あれじゃーお姫様なんて無理だーーー」
「フェニお姉ちゃん怖い―♪」
怒った振りをするフェニに、幼い兄弟達は笑って逃げていく。
「全く、相変わらずなんだから・・・」
フェニは、クスクス笑った。あの子達のおかげで、フェニは
孤児で教会で育っていても、寂しい気持ちはなかった。
本当の姉の様に慕ってくれる存在がいるのは、心の大きな支えだ。
そして、育ての親のディープシスターに他の、シスターや神父も、
皆がそれぞれに優しくて暖かい存在だった。
だから、フェニは、自分もこのままシスターになるのだと、そう
思って育って来たのに・・・
「王室が今更、私に何の用なんだろう・・・
また、ここに帰って来れるよね?」
不安そうにフェニは呟くことしか出来なかった。
セミロングの薄い色の金髪の鳥人の少女が、ある部屋で同じ鳥人の
城の使いの者に、はっきりとした意志で、ある話を拒んでいた。
「しかし・・・フェニ様。貴女が拒否しようと、貴女には
フェニキアの王族の血が入っている真実は変わりません。
このまま、無理に拒み続ければ、ここに迷惑が掛かるのは、
おわかりになりますよね?」
「それは・・・脅しですか?」
フェニと呼ばれた少女は、城の使いの者を睨んでいた。
だが、城の使いの者が言うのは間違いではない。
自分が城に行くことを拒み続ければ、自分をここまで育ててくれた
教会や、その関係者達に迷惑が掛かるだろう。
それだけ、何か王室にあったようで、どうあっても、自分を
王室に迎えたいらしい。
今まで、自分を見捨てて、孤児として教会に押し付けたまま
だったくせに、何とも調子のいい話ではないか。
フェニは王室に憎しみしかなかった。
「フェニ、行きなさい。これは運命でしょう。逃げては行けません。」
「ディープシスター・・・」
拒み続けるフェニの側に、そっと年配の鳥人のシスターが近寄り、諭した。
「貴女の気持ちはわかります。今は怒りしかないかもしれない。
でもね、フェニ?親に逢えるかもしれないのなら、このチャンスを
一時的感情で無駄にするのは良くないと思うの。
ちゃんと向き合えるかもしれないなら、逢ってくるべきだわ。
それで、嫌なら、いつでも教会に帰って来なさい。ね?」
「ディープシスター・・・ううぅ・・・」
フェニは泣きながら、ディープシスターにしがみつく。
自分の育ての親である、ディープシスターに、こう諭されたのでは、
流石のフェニも言う事を聞くしかなかった。
「では、明日に正式にお迎えに上がりますので。」
「ええ、そうして下さい。それまでには、この子に準備させて
おきますから。」
「では。」
城の使いの者は安堵した顔をして帰って行った。
「そんなに泣かないの。城に行ったからと言っても、もう二度と
逢えないわけじゃないんだから。フェニキアは大教会と
深い繋がりがあるのは、フェニも知っているでしょ?」
「うん・・・」
「大丈夫。神はフェニはしっかり導いて下さるわ。
さ、明日の用意をなさい。教会に恥をかかせては駄目よ?」
「はい・・・」
ディープシスターは、いつもの笑顔とお説教口調でフェニを
元気づけた。フェニも涙を拭いて、答えた。
「フェニお姉ちゃん、お城に行くの?!」
「すげぇーいいなー俺も行ってみたい!」
「私も行ってみたい!」
「私もお城でドレスとか着てみたい!」
同じ孤児達の幼い弟や妹達がフェニに集まり、わいわいと騒ぎだす。
フェニは苦笑いをしつつ、小さい兄弟達に言う。
「こら!私は遊びに行くんじゃないの!お城で大事な用事が
あるみたいだから行くだけ!終わったら、とっとと帰って
来るからね!だから、また悪戯してたら、怒るからね!」
「きゃーーー逃げろーーー」
「あれじゃーお姫様なんて無理だーーー」
「フェニお姉ちゃん怖い―♪」
怒った振りをするフェニに、幼い兄弟達は笑って逃げていく。
「全く、相変わらずなんだから・・・」
フェニは、クスクス笑った。あの子達のおかげで、フェニは
孤児で教会で育っていても、寂しい気持ちはなかった。
本当の姉の様に慕ってくれる存在がいるのは、心の大きな支えだ。
そして、育ての親のディープシスターに他の、シスターや神父も、
皆がそれぞれに優しくて暖かい存在だった。
だから、フェニは、自分もこのままシスターになるのだと、そう
思って育って来たのに・・・
「王室が今更、私に何の用なんだろう・・・
また、ここに帰って来れるよね?」
不安そうにフェニは呟くことしか出来なかった。
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