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エピローグ

「うぎゃあああああーうぎゃあああああ!!!」

元気な男の子の赤ん坊の声が、ある部屋で響く、ラリイを取り巻く一同は、一斉に安堵し、ラリイの側に居たネイルも、初産と言う、大仕事を終えたラリイを気遣い、優しく頭を撫でていた。

「ラリイ・・・有難う・・・本当に有難う・・・」

ネイルは感極まって、薄っすらと泣いていた。
ラリイも、まだ苦しみの中で頭がぼーっとしては居たが、皆の喜ぶ声や、
ネイルの姿を見て、無事に出産出来て良かったと、心の底から
思っていた。
そこへ、ネフィリートは、産まれた赤ん坊を抱きかかえ、
嬉しそうな声で、他の者達に告げた。

「皆の者!この子の耳を見よ!この耳は始祖の証!
我が国は、ますますの発展を約束された!
今代の王妃は、始祖様の生まれ変わりを産んだのじゃ!
さ!呑気にはしておれんぞ!急いで祝福の宴を準備せよ!」
「え?!なんだって?!」
「それは大変だ!!!」
「し、始祖って・・・あの伝説の?!」

ネフィリートの言葉に、ラリイの周りに居た人々は、一気に大騒ぎになる。
ラリイは何がなんだかわからず、ぼーっとしたまま、周りの様子をみていた。
ネイルの方は、ネフィリートに言われた言葉に茫然としてしまっていた。

「お、俺とラリイの子が・・・始祖の生まれ変わり?!
ま、まじなのか?!」
「何をしておる!ネイル!お前は王じゃろうが!
早く、国民にこの子の事を知らせんか!!」
「ですが!ラリイが!」
「ラリイはまだ出産したばかりで動けんわい!
ラリイの事は、メイド達に任せておけば安心じゃ!
それよりも、この子の事を国民に知らせる事が先じゃ!
これは一大事なのじゃぞ!!」
「ラリイ・・・大丈夫か?」

ネフィリートに急かされるネイルは、それでも心配そうにラリイを見る。

「ネイル・・・私は大丈夫。それよりも、その子の事を、どうかお願い。皆に祝福されて欲しい。」

ラリイは弱々しい笑顔でネイルに言う。
ネイルはラリイにキスをし、力強く頷く。

「わかった。ちょっとネラを連れて、挨拶してくる!終わったら
すぐに戻って来るから。ラリイは、まだ安静にな。」
「うん・・・」

ネイルはすでにラリイと一緒に決めてあった、息子の名前を言いながら、
ネフィリートに連れられ、まだ産まれたての息子を連れて、
城のある場所に向かった。

「な、なんか、凄いことになっちゃったみたいね。」
「フェニキア人の私達じゃ、何が何だか・・・」

ミミ達も、この状況がどういう状況なのか、理解出来ていなかった。
ただ、今はとりあえずラリイの世話に専念しようとしていた。
それから、ラリイは、出産の疲れで、ぐっすりと寝てしまった。

「ラリイや・・・起きたかえ?」

ラリイが、今度起きた時には、息子は自分の横で静かに寝ており、
ネフィリートにネイルやベアード達も居た。
皆、ラリイが起きて、安心した顔をする。

「すまぬな、ラリイ。あの時はまだ辛かっただろうに。
じゃが、あの時は、本当にこの国にとって、大事な事だからのぉ、
許しておくれ。」

ネフィリートは申し訳なさそうにラリイに言う。
ラリイは笑顔で顔を横に振り、ネフィリートを気遣う。

「そんな、謝らないで下さい、ネフィリート様。私が産んだ、この子が
皆にそこまで、祝福されるのなら、こんなに嬉しい事はありません。
本当に、無事に産まれてくれて良かったです。」

ラリイは少しだけ涙目になりながら、答えた。
ネフィリートもラリイのこの答えに安堵していた。

「ところで、ネフィリート様。私はフェニキアの者だから、その、
よくわからないのですが、始祖様の生まれ変わりと息子は言われていましたが、
どういうことなのでしょうか?」

ラリイは聞きたかった、疑問をネフィリートに聞く。
ネフィリートは、今度は何よりも嬉しそうな顔になって、
ラリイの質問に答える。

「そうじゃったな。ラリイは知らなかったのぉ。この子の耳を見てごらん?」

ネフィリートに言われ、ラリイは息子ネラの耳を見る。
竜人特有の羽の耳に、薄っすらと産毛の様なものがある。
この産毛の様なものは、普通の竜人達、つまりネイルやカミーラ達
にはない。

「この耳の形はのぉ、ドラゴネス国の始祖様と同じと国の歴史書にあるのじゃ。
つまり、この子は、始祖様の生まれ変わり。
それは、数百年に1度あるかないかと、される奇跡なのじゃ。
そんな子が産まれたとなれば、それは国を挙げての祝い事。
なんせ、始祖様の再来は、国の更なる繁栄の証じゃからな。」

ネフィリートは嬉しそうにラリイに、どんどん説明していく。
ラリイも、自分がそんなにも、凄い子を産んだのだと知り、
自分の子なのに恐縮してしまいそうになった。
ちらりとネイルの方を見ると、ネイルもラリイに見られたのに
気づき、嬉しそうに頷く。

「故に、すぐにネイルに国民に向けて、ネラの存在を知らせるように
言ったのじゃ。ほっほっほ、今じゃー国中でお祭り騒ぎよ。
ラリイの父のフェリオリアもわしが、水晶ですぐに知らせたら、
驚いて腰を抜かしておったぞ?ほっほっほ。」

ネフィリートは、もう楽しくてしょうがないと言った態度だ。
ラリイは、今、国がそんな騒ぎになってるとは夢にも思わず、
ただ唖然とするしかなかった。
ネイルはラリイの側に来て、ラリイの手を握る。

「な?前にも言っただろう?俺とラリイは相性がいいんだから。
子供の事で何にも心配いらないってさ。」

ネイルは、ここぞとばかりに、ラリイに笑って見せた。
ラリイは顔を真っ赤にしつつも、ネイルの言葉の通りだったんだと、
再認識せざるおえなかった。
城の中も、お祝い騒ぎで、何とも賑やかな声が、響て来ていた。

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