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エピローグ

ラリイはミミ達にからかわれながら、午後を過ごしていた。

「にしても、びっくりしたね。私、本当にラリイちゃんには
申し訳ない気持ちでいっぱいだったよ・・・」

ミミは会話の途中から泣きそうになっていた。
自分がラリイに耳のマッサージをさせてしまったから、悪い方向に
なってしまったのじゃないかと、罪悪感を感じていたらしい。

「ミミちゃん!ミミちゃんは何も悪くないよ!ネイルね!
凄いマッサージ喜んでたよ?今回はあんなことになっちゃったけど、
またやって欲しいって、何度も言われたもん!」
「そうなの?」
「うん!耳はしばらくあれだけど、他の所なら、ぜひして欲しいって言われたよ!
私も、ネイルが凄く喜んでたの見たし、今後もするって約束したから、
だから大丈夫だよ♪」
「良かったーラリイちゃんーありがとう♪」

ミミは嬉しさのあまり、少し涙目なまま、ラリイに抱きついて喜んだ。

「もうーちょっとミミ!ラリイちゃんはまだ、病み上がりなんだから!」
「ごめん、ごめん!だって、ラリイちゃんが優しいから。」

リリから、怒られて、ミミはラリイから離れる。
レラも呆れながら、ミミを見ていた。
メイド達と会話を楽しんで、少し後に、ラリイはネフィリートに呼ばれ、いつもの執事と一緒に、ネフィリートの部屋に向かった。

「おお、ラリイ来たかえ?」

ネフィリートの部屋に着き、ラリイはネフィリートに軽く会釈し、挨拶をする。

「ネフィリート様、呼ばれたので来ました♪」
「うむうむ!ネイルには、あの後、何にも違和感などは無いかえ?」
「はい!とっても、元気で、今は仕事もかなり頑張ってるみたいです!」
「そうかそうか。それは良かった。」

ラリイの報告をネフィリートは嬉しそうな顔で聞く。

「しかし、ラリイよ。ネイルだけでなく、我が父も、良く救ってくれた。
本当にお前には感謝が絶えん。ありがとうよ。」
「そんな!私は当然の事をしただけです!」

ネフィリートに深く感謝をされ、ラリイは慌てて、言葉を返した。
それに、無事に解決出来たのはラリイの力だけではない。
ネフィリートだって、魔法陣やらお香やらでネイルを助けたし、
ベアードやカミーラ達の見守りだって、大きな貢献だ。

「後、ネフィリート様。ネイルが言っていたんですが、あの時、
ドラゴス王がネイルの身体から出た時に、フェニおば様と、
ネルシオネ様が2人で迎えに来てたみたいなんです。」
「なんと?それはまことかえ?」
「はい。ネイルがそう感じたと言ってました。
後、ドラゴス王が言ったそうです。
死んでも尚、世話焼きな奴らよ・・・って。
私もフェニおば様が側に居てくれたような感じがしました。」
「おおお・・・・」

ラリイがそう話した瞬間にネフィリートは泣き出した。
ラリイもまさか、突然ネフィリートが泣き出すとは思わず、
驚いて、タジタジになってしまった。

「うう・・・すまぬラリイ。わしもフェニ様に逢いたかった。
あの方がおらんかったら、今のわしもないじゃろうからな・・・」
「ネフィリート様・・・」

ラリイも一緒に貰い泣きしそうになってしまった。

「ラリイ。長い話になってしまうが、聞いてくれるかえ?
これは、王妃であるラリイだからこそ、聞いて欲しいのじゃ。」
「はい!どんなお話でも、お聞きします!ネフィリート様!」
「良い返事じゃ。流石、ラリイじゃ!」

ネフィリートは涙を拭い、冷静に戻り、ラリイに自分の身の上話をし始めた。

「ドラゴス王はわしの実の父でな、あんな性格だったから、世継ぎの王子、
わしの兄上達は全員、色々な理由で殺されてしもうた。
異母兄弟もそれなりに居たが、ほとんどが陰謀に巻き込まれたり、
逃げ出したりして、誰もお父上の跡を継ごうとするものは、
いなかったのじゃ。わしも最初は女の自分が、後に婿を取り、
ドラゴネス国の王位を継ぐことになろうだなんて考えていなかった。」

ネフィリートの話にラリイは驚愕し、何も言えずに黙ったまま、
静かに話の続きを聞いていた。
まさか、ネフィリートの方が直系血族だったのだ。

「じゃが、わしもあの頃はただの娘。ドラゴスの最後の子であり、母は王妃としては
3代目での、それで出来た子で、女なこともあり、お父上は、わしにはあまり関心が
なかった。その事が逆に貴族達には良かったようでのぉ。
無理矢理、跡目に担ぎ上げられてしもうたんじゃ。」
「そんな・・・」
「お父上が死に、わしはすぐに見知らぬ誰かと結婚させられ
そうになった。その時には、わしも心に決めた人がおっての、
その人と結婚出来ないのであれば、王位は継がぬとはっきりと貴族達に言ったのじゃ。」
「そうだったんですね!」

ラリイはネフィリートも昔は貴族達に苦しめられそうになっていたことを知り、また驚いた。

「そこで、フェニ様が裏で助けて下さったのじゃ。ドラゴネス国から、
父の魔の手から逃げた後も、実はわしはフェニ様の居場所を
知っていての、交流を持っていたのだ。
フェニ様は深く同情して下さり、あらゆる手を尽くしてくれた。
自分の居場所がバレるかもしれない危険を承知で。
そして、わしの後に夫となる、リュレシアに喝を入れてくれたのじゃ。
愛しているなら、王になる覚悟を決めて、わしと結婚するようにとな。」
「フェニおば様・・・凄い・・・」

ネフィリートの話を聞いて、ラリイはフェニの凄さを改めて知った。カミーラも言っていたが、フェニ達の味方になってくれた貴族も多かったと聞いたのは、嘘ではなかったようだ。

「おかげで、わしは愛してる夫と結婚し、今に至るのじゃ。
だからの、ラリイ?わしはフェニ様には頭が上がらんのじゃ。」

ネフィリートは、笑顔でラリイを見ていた。
ラリイも、同じように笑顔で返した。

「夫は優しい性格であったから、それまでのドラゴネス国のイメージを
変えようと必死で頑張ってくれた。わしも一緒になって頑張った。
ネイルの父のネイティブと嫁のエルファーナが流行り病で、
思いがけずに早くに亡くなった時は、わしも一時は深く絶望したが、
それでもネビィルが支えてくれたおかげで、ネイルはラリイと
今こうして夫婦になり、わしは今、一番幸せじゃ。」

ネフィリートはやっとすべてが話せたことに安心したのか、
目を閉じて、過去を思い出していたようだった。
ネフィリートから、こんなにも大事な話をされて、
ラリイは緊張してはいたが、嬉しさもあった。
今までも大事にして貰ってはいたが、でも、やっと、この話を
することで、心も開いて貰ったような気がしたからだ。
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