第一二章「和解」
「まさか・・・あのお父上が、ネイルに憑依するとはのぉ。
死んでまで尚、フェニ様に固執するとは。我が父ながら、恐ろしい男よ。」
ネフィリートは泣いているラリイから、さっきの出来事を詳しく
聴き、すぐに理解した。
自分をドラゴスと名乗る男など一人しかいない。
ネイルの曾祖父にして、自分の実の父である、あの男しか。
「最近、ネイルがやけに疲れているような顔をしていたから、少しは心配しておったが・・・まさか、お父上に憑りつかれておったとは、わしも驚きじゃ。」
「ネフィリート様・・・ネイルは大丈夫なんでしょうか?」
ネフィリートの部屋でラリイはネフィリートと2人で話をしていた。
事が事なだけに、最初は大勢よりも、2人でまず話した方が
良いとネフィリートが判断したのだ。
ラリイもネイルに襲われた話を大勢の前でする勇気はなかった。
「ふむ、憑りつかれたのであれば、祓えばよいだけじゃが、
何せ、あのお父上の執念よ。普通に祓っただけでは意味がないかもしれぬ。」
「そ、そんな・・・」
「じゃが、何も悲観することはない、成仏させるきっかけさえ
見つけられれば、なんとかなるやもしれぬ。」
「うう・・・ネイルが起きなかったどうしましょう・・・?
ネフィリート様・・・」
ラリイは不安過ぎて、我慢できずにまた泣いてしまった。
「おお、ラリイ、怖い思いをしたな。じゃが今は泣くでない。
王妃である、お前しか、ネイルを救えないのじゃぞ?」
「ぐす・・・はい。」
ラリイはネフィリートに慰められ、なんとか泣くのを止めた。
「とにかく、ネイルには早急に悪霊祓いの魔法陣に移動させ、わしも出来る限りのことはする。ラリイも、強い心を持って、この事に立ち向かわなければならぬ。わかったな?」
「はい!ネフィリート様!」
ラリイも覚悟を決め、涙をしっかり拭って、ネフィリートに答えた。
泣いてる場合ではない。愛するネイルをその曾祖父のドラゴスから
救い出さなければならないのだから。
ネフィリートと話が終わり、ラリイも自分の出来ることをやらなければと思った。
ドラゴスが自分をフェニだと、勘違いしているなら、どうにか、
それを利用出来ないか、でなければ、それを成仏させる
きっかけに出来ないだろうか?と考えた。
「今度は私がネイルを助けなくちゃ!」
ラリイはどうしてだか、フェニから貰った、あのぬいぐるみをすぐに取りに行こうと思った。
何故だか、自分の勘があのぬいぐるみが大きな手掛かりに
なると囁いていたからだ。
ラリイは急いで、ネイルの部屋のあの隠し部屋に向かって走った。
「何故、余の周りには何もない・・・?」
ネイルは闇の中である男の声を聞いていた。
「愛した妻達も愛人も息子達も、余の代わりに殺された。
貴族も民も、余を恐れるだけ。国の為に必死に頑張ったのは、
何だったのだ?」
これは・・・?
ネイルは徐々に闇がひらけて、ある少女を愛しそうに見ていた。
いや、これは自分が見ているのではない。
誰かの目から見ている光景だとわかった。
「ラリイ・・・?いや違う、別人だ・・・誰だ?」
薄い金髪のセミロングでラリイと同じピンクの瞳の鳥人の少女は、
楽しそうに庭に居た。
そして、薄緑色の髪の竜人の男が現れると、嬉しそうに近寄り、
キスを交わす。どうやら、2人は恋人の様だ。
その光景が目に入った瞬間に、自分の中に抑えきれない嫉妬の炎が
湧きあがり、どす黒い殺意が沸いてることに、ネイルは気づいた。
この光景を見ている人物は、かなり嫉妬しているようだ。
こんなにも殺意を沸かすほどに。
「フェニ・・・あの娘を嫁に出来れば、ドラゴネス国は
もっと繁栄出来るだろう。そうすれば、余がしてきたことも
無駄でなくなるはず・・・欲しい・・・あの娘が欲しい・・・」
また聞こえてくる人物の声で、ネイルはわかった。
「まさか、俺の曾祖父のドラゴス王なのか?じゃあ、あのラリイに
似ている少女が・・・フェニ様なのか?」
フェニと呼ばれた少女をネイルは再度確認する。
ラリイに似てると思ったが、よく見れば外見はそんなに似てはいない。
強いて言うなら雰囲気が似ているのだろう。
「カミーラが言っていた事は本当みたいだな。
自分のモノにしようとしてたって言うのは・・・」
ネイルは、どうして今こんな状況になっているのか、思い出そうとした。
ラリイに耳をマッサージして貰い、気持ち良くなって
寝てしまったのまでは覚えていた。
「その後・・・俺は・・・?!」
薄っすらとだけ、ラリイが泣きながら自分を拒否してるのを思い出す。
そうだ、自分は曾祖父に身体を乗っ取られ、あやうくラリイを
無理矢理抱こうとしていたのだ。
「クソ!まさか、曾祖父にラリイを奪われそうになるとか、
そんなの有りかよ!」
ネイルは悔しさでぼやいては見たが、自分の身体をどうにかすることは出来なかった。
「まだ、身体は曾祖父に奪われたままなのか?クソ・・・
早く取り戻さないと・・・ラリイが・・・」
ネイルは必死になって、闇の中で、もがいた。
俺の身体を返せ!と曾祖父に叫びながら。
死んでまで尚、フェニ様に固執するとは。我が父ながら、恐ろしい男よ。」
ネフィリートは泣いているラリイから、さっきの出来事を詳しく
聴き、すぐに理解した。
自分をドラゴスと名乗る男など一人しかいない。
ネイルの曾祖父にして、自分の実の父である、あの男しか。
「最近、ネイルがやけに疲れているような顔をしていたから、少しは心配しておったが・・・まさか、お父上に憑りつかれておったとは、わしも驚きじゃ。」
「ネフィリート様・・・ネイルは大丈夫なんでしょうか?」
ネフィリートの部屋でラリイはネフィリートと2人で話をしていた。
事が事なだけに、最初は大勢よりも、2人でまず話した方が
良いとネフィリートが判断したのだ。
ラリイもネイルに襲われた話を大勢の前でする勇気はなかった。
「ふむ、憑りつかれたのであれば、祓えばよいだけじゃが、
何せ、あのお父上の執念よ。普通に祓っただけでは意味がないかもしれぬ。」
「そ、そんな・・・」
「じゃが、何も悲観することはない、成仏させるきっかけさえ
見つけられれば、なんとかなるやもしれぬ。」
「うう・・・ネイルが起きなかったどうしましょう・・・?
ネフィリート様・・・」
ラリイは不安過ぎて、我慢できずにまた泣いてしまった。
「おお、ラリイ、怖い思いをしたな。じゃが今は泣くでない。
王妃である、お前しか、ネイルを救えないのじゃぞ?」
「ぐす・・・はい。」
ラリイはネフィリートに慰められ、なんとか泣くのを止めた。
「とにかく、ネイルには早急に悪霊祓いの魔法陣に移動させ、わしも出来る限りのことはする。ラリイも、強い心を持って、この事に立ち向かわなければならぬ。わかったな?」
「はい!ネフィリート様!」
ラリイも覚悟を決め、涙をしっかり拭って、ネフィリートに答えた。
泣いてる場合ではない。愛するネイルをその曾祖父のドラゴスから
救い出さなければならないのだから。
ネフィリートと話が終わり、ラリイも自分の出来ることをやらなければと思った。
ドラゴスが自分をフェニだと、勘違いしているなら、どうにか、
それを利用出来ないか、でなければ、それを成仏させる
きっかけに出来ないだろうか?と考えた。
「今度は私がネイルを助けなくちゃ!」
ラリイはどうしてだか、フェニから貰った、あのぬいぐるみをすぐに取りに行こうと思った。
何故だか、自分の勘があのぬいぐるみが大きな手掛かりに
なると囁いていたからだ。
ラリイは急いで、ネイルの部屋のあの隠し部屋に向かって走った。
「何故、余の周りには何もない・・・?」
ネイルは闇の中である男の声を聞いていた。
「愛した妻達も愛人も息子達も、余の代わりに殺された。
貴族も民も、余を恐れるだけ。国の為に必死に頑張ったのは、
何だったのだ?」
これは・・・?
ネイルは徐々に闇がひらけて、ある少女を愛しそうに見ていた。
いや、これは自分が見ているのではない。
誰かの目から見ている光景だとわかった。
「ラリイ・・・?いや違う、別人だ・・・誰だ?」
薄い金髪のセミロングでラリイと同じピンクの瞳の鳥人の少女は、
楽しそうに庭に居た。
そして、薄緑色の髪の竜人の男が現れると、嬉しそうに近寄り、
キスを交わす。どうやら、2人は恋人の様だ。
その光景が目に入った瞬間に、自分の中に抑えきれない嫉妬の炎が
湧きあがり、どす黒い殺意が沸いてることに、ネイルは気づいた。
この光景を見ている人物は、かなり嫉妬しているようだ。
こんなにも殺意を沸かすほどに。
「フェニ・・・あの娘を嫁に出来れば、ドラゴネス国は
もっと繁栄出来るだろう。そうすれば、余がしてきたことも
無駄でなくなるはず・・・欲しい・・・あの娘が欲しい・・・」
また聞こえてくる人物の声で、ネイルはわかった。
「まさか、俺の曾祖父のドラゴス王なのか?じゃあ、あのラリイに
似ている少女が・・・フェニ様なのか?」
フェニと呼ばれた少女をネイルは再度確認する。
ラリイに似てると思ったが、よく見れば外見はそんなに似てはいない。
強いて言うなら雰囲気が似ているのだろう。
「カミーラが言っていた事は本当みたいだな。
自分のモノにしようとしてたって言うのは・・・」
ネイルは、どうして今こんな状況になっているのか、思い出そうとした。
ラリイに耳をマッサージして貰い、気持ち良くなって
寝てしまったのまでは覚えていた。
「その後・・・俺は・・・?!」
薄っすらとだけ、ラリイが泣きながら自分を拒否してるのを思い出す。
そうだ、自分は曾祖父に身体を乗っ取られ、あやうくラリイを
無理矢理抱こうとしていたのだ。
「クソ!まさか、曾祖父にラリイを奪われそうになるとか、
そんなの有りかよ!」
ネイルは悔しさでぼやいては見たが、自分の身体をどうにかすることは出来なかった。
「まだ、身体は曾祖父に奪われたままなのか?クソ・・・
早く取り戻さないと・・・ラリイが・・・」
ネイルは必死になって、闇の中で、もがいた。
俺の身体を返せ!と曾祖父に叫びながら。