第一章「ドラゴネスでの日々」
逞しい肉体の男達が、教会に大集合していた。
木材を運んだり、ブロック塀を作ったり、屋根に登っていたりと、
教会の大修理が行われていたのだ。
そして、簡素ではあるものの、住居の為の家と倉庫も教会の横に出来ていた。
「まさか、ラリイ様がご滞在中にこの様なことになるなんて、
奇跡としか言いようがありません。
ラリイ様、心より感謝します。ありがとうございます。」
そう言われ、モア神父に深々と頭を下げられて、ラリイは慌てて、言葉を返す。
「そんな!私のおかげじゃないです!ベアード様を中心とした、ここにいる皆さんのおかげですよ!!」
ラリイは、ベアードを始め、ベアードの部下の皆や、教会に協力的な町の皆の顔を見る。
教会の環境が一気に良くなっていく。
ラリイが最初に見た、あの古びた教会から、わずか2週間も立たないうちの出来事であった。
ベアードの部下の皆から聞いた話なのだが、教会の大修繕などをネイルに申し出たのは、ベアードらしい。
「仮に許してやったとして、お前は俺の国の防衛の要だ。
工事で1週間もかかるようなら、修繕は認めてやれないが?」
と言う、ネイルに対して、ベアードは大笑いし、
「馬鹿にするなよ、ネイル。1週間もいらん!丸3日貰えれば、それでいい!」
と言い張ったらしい。
1週間でもきついだろうと思っていたネイルは、ベアードのこの返事にそれ以上何も言えなかったようだ。
「俺達は基本工事を済ませるだけでいい、細かい調整は、
後は町の大工達がしてくれるように頼んである。
俺達に許された時間はわずか丸3日だ!
それまでには絶対に終わらせるぞ!わかったな!お前達!」
「おお!!」
ベアードは大きな声で部下に喝を入れる。
部下達も嬉しそうに大声でベアードの声に答える。
いつも陽気で優しい感じのベアードだが、この時ばかりは漢気が
あってカッコいいなとラリイは思った。
「どうぞーこれもどうぞー」
教会に協力的な町の人々で、中年の女性陣は、そんなベアード達に
食事やらを作って提供していた。
ラリイもその食事を作ったり、配ったりするのを手伝う。
教会は工事しているだけなのだが、まるでお祭りのような騒ぎだった。
教会を通じて、ラリイは町の人々とも、大分仲良くなっていた。
自国に居た時でも、こんなに楽しくて賑やかな日はそうあったものじゃなかったので、ラリイは仕事がどんな忙しくても、楽しく過ごしていた。
「今日は甘いもの作ろうかなぁー」
工事も後半に差し掛かり、少し時間があると思ったラリイは、
今日はクッキーでも作ろうと考えた。
疲れた時には甘いものも美味しいものだ。
ラリイは同じ年くらいの町の女の子達にも手伝って貰って、
大量のクッキーを作る。
若い女の子達が集まったこともあって、話は恋話になっていく。
「ラリイ様の初恋は?」
「え?私のですか?」
突然、自分に話題を振られて、ラリイは恥ずかしがる。
「12歳くらいに、幼馴染の方に少し・・・」
と、答えるだけで精一杯で、後は顔を真っ赤にして
何も言えなくなってしまった。
町の女の子達が、口を揃えて「可愛い―♥」と言って、ラリイをからかう。
「元気かな・・・クルクス様。」
その話題をされて、ラリイは幼馴染の聖騎士団の次期団長候補の
クルクスの事を思い出す。
同じ鳥人で、大教会の出身の彼は、兄と同じ銀色の髪で、
優しい水色の瞳をした美青年だった。
幼馴染だが、彼の方が2歳年上だ。
いつも、ラリイに優しく接してくれて、ラリイの遊び相手になってくれた。
ラリイがクルクスに好意を抱くのも無理ならぬことだった。
「いつか、クルクス様のお嫁さんになりたいです。」
「ウフフ、そうなって貰えたら、俺も嬉しいです。」
こんな恥ずかしいやり取りを小さい時にした気がする。
もし、今このドラゴネス国に来ることさえなければ、
クルクスと婚姻の話が出ていたかもしれない。
そしたら、ラリイは喜んで、クルクスとの結婚を決めただろう。
クルクスの事を思い出してしまった所為か、
ラリイは軽いホームシックになった。
木材を運んだり、ブロック塀を作ったり、屋根に登っていたりと、
教会の大修理が行われていたのだ。
そして、簡素ではあるものの、住居の為の家と倉庫も教会の横に出来ていた。
「まさか、ラリイ様がご滞在中にこの様なことになるなんて、
奇跡としか言いようがありません。
ラリイ様、心より感謝します。ありがとうございます。」
そう言われ、モア神父に深々と頭を下げられて、ラリイは慌てて、言葉を返す。
「そんな!私のおかげじゃないです!ベアード様を中心とした、ここにいる皆さんのおかげですよ!!」
ラリイは、ベアードを始め、ベアードの部下の皆や、教会に協力的な町の皆の顔を見る。
教会の環境が一気に良くなっていく。
ラリイが最初に見た、あの古びた教会から、わずか2週間も立たないうちの出来事であった。
ベアードの部下の皆から聞いた話なのだが、教会の大修繕などをネイルに申し出たのは、ベアードらしい。
「仮に許してやったとして、お前は俺の国の防衛の要だ。
工事で1週間もかかるようなら、修繕は認めてやれないが?」
と言う、ネイルに対して、ベアードは大笑いし、
「馬鹿にするなよ、ネイル。1週間もいらん!丸3日貰えれば、それでいい!」
と言い張ったらしい。
1週間でもきついだろうと思っていたネイルは、ベアードのこの返事にそれ以上何も言えなかったようだ。
「俺達は基本工事を済ませるだけでいい、細かい調整は、
後は町の大工達がしてくれるように頼んである。
俺達に許された時間はわずか丸3日だ!
それまでには絶対に終わらせるぞ!わかったな!お前達!」
「おお!!」
ベアードは大きな声で部下に喝を入れる。
部下達も嬉しそうに大声でベアードの声に答える。
いつも陽気で優しい感じのベアードだが、この時ばかりは漢気が
あってカッコいいなとラリイは思った。
「どうぞーこれもどうぞー」
教会に協力的な町の人々で、中年の女性陣は、そんなベアード達に
食事やらを作って提供していた。
ラリイもその食事を作ったり、配ったりするのを手伝う。
教会は工事しているだけなのだが、まるでお祭りのような騒ぎだった。
教会を通じて、ラリイは町の人々とも、大分仲良くなっていた。
自国に居た時でも、こんなに楽しくて賑やかな日はそうあったものじゃなかったので、ラリイは仕事がどんな忙しくても、楽しく過ごしていた。
「今日は甘いもの作ろうかなぁー」
工事も後半に差し掛かり、少し時間があると思ったラリイは、
今日はクッキーでも作ろうと考えた。
疲れた時には甘いものも美味しいものだ。
ラリイは同じ年くらいの町の女の子達にも手伝って貰って、
大量のクッキーを作る。
若い女の子達が集まったこともあって、話は恋話になっていく。
「ラリイ様の初恋は?」
「え?私のですか?」
突然、自分に話題を振られて、ラリイは恥ずかしがる。
「12歳くらいに、幼馴染の方に少し・・・」
と、答えるだけで精一杯で、後は顔を真っ赤にして
何も言えなくなってしまった。
町の女の子達が、口を揃えて「可愛い―♥」と言って、ラリイをからかう。
「元気かな・・・クルクス様。」
その話題をされて、ラリイは幼馴染の聖騎士団の次期団長候補の
クルクスの事を思い出す。
同じ鳥人で、大教会の出身の彼は、兄と同じ銀色の髪で、
優しい水色の瞳をした美青年だった。
幼馴染だが、彼の方が2歳年上だ。
いつも、ラリイに優しく接してくれて、ラリイの遊び相手になってくれた。
ラリイがクルクスに好意を抱くのも無理ならぬことだった。
「いつか、クルクス様のお嫁さんになりたいです。」
「ウフフ、そうなって貰えたら、俺も嬉しいです。」
こんな恥ずかしいやり取りを小さい時にした気がする。
もし、今このドラゴネス国に来ることさえなければ、
クルクスと婚姻の話が出ていたかもしれない。
そしたら、ラリイは喜んで、クルクスとの結婚を決めただろう。
クルクスの事を思い出してしまった所為か、
ラリイは軽いホームシックになった。