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第一二章「和解」

ネイルの叔父が帰ってから、もう1か月が経とうとしていた。
色々とあったゴタゴタは、ほとんど無くなり、
ラリイを快く思わない貴族も大分減り、今ではメディーナの
おかげで、貴族の友達や知り合いもかなり増えて、味方になってくれる存在も増えた。
ネイルも王として、王らしく、貴族や民に接し、決して王妃の言いなりでは無い事を態度で示した。
ラリイも、もう前の様に無理に王妃らしくあろうとはしなかった。
どうしても、ネイルに何か言いたい時は、2人きりのお茶の時間か、ネイルの寝室でと言う事になってる。
今後も変な誤解を貴族達に与えないようにしようとしたのだ。
それでも、中には、ラリイをまだ嫌う貴族も居なくはなかったが、
その貴族達は今は大人しくするしかない状態であった。
ネビィルに睨まれているからだ。

「お前達は、今回の事を大袈裟に言い、王妃を陥れようとしたのか?」
「いいえ!そんなことはありません!!」

ネビィルの城にまで、わざわざ足を運び、ラリイの事を
悪く大袈裟に言った貴族達は、再度、ネビィルに呼ばれ、
悉く、ネビィルに一喝された。それにより、ネビィルからの信頼を
失い、今後も必要以上に言うのなら、反逆の兆しありとして、
制裁するとはっきり言われたのだ。
ネビィルは、娘の墓の件もあってか、ラリイの味方になってくれていた。
それに、母から嫌と言う程、ラリイの存在を教えられたのもあった。
何より、ドラゴネス国の国交が良くなったのは、間違いなく
ラリイの功績でもある。
貴族達が言う様な存在ではなかったのは明らかだった。

「新婚で浮かれたのはあったにせよ、まだネイル達も若い。
すぐに結果を決めるには、何もかも早すぎる。
それに、母上が健在の内は、ドラゴネス国が地に落ちることもあるまい。」

ネビィルはそう考え、何も心配していなかった。

「我が息子にも、あんなラリイの様な娘が嫁に来てくれればいいのだが・・・」

ネビィルの当面の心配はむしろ自分の息子の事であった。
ネイルと大して歳が変わらないと言うのに、息子は自由奔放で、
父の言う事を聞くような息子ではなかった。
誰に似たのか、ネビィルは苦笑いするしかなかった。

「ラリイちゃん!今日は私が面倒見るね♪」
「うん!ミミちゃんお願い♪」

昔の様にラリイは特に大好きで姉の様に思ってる、ミミと
仲良く自室で過ごしていた。
もちろん、こんな風にしているのはラリイの自室で、2人っきりとか、限られた時だけだ。
そこはミミもちゃんと弁えている。
ミミは綺麗な金色の長髪で、深い青色の瞳をした、20代後半の鳥人の女性だ。
メイドの仕事もしっかりこなしているからか、体型も良い。
一部のドラゴネス城にいる兵士にも、実は人気があったりする。
当の本人は何も気にしてはいないが。

「ラリイちゃん、最近どうなの?ネイル様とは?」
「え?どうって?」
「もうーラリイちゃんもわかってるくせに・・・」
「もしかして・・・夜の事?」

ミミが何を話したいのかが、わかりラリイは顔を赤らめる。
ミミはラリイの髪の毛をケアをしながら、話を続ける。

「この前、ララルメイド長から手紙があって、フェルオリア様から
催促されたからって手紙を書かされたみたいなんだけどね?
ラリイちゃんにまだ子供は出来ないのか?って言われてる
みたいよ?」
「ええ?!父上が?!」
「うん。早く、孫の顔が見たいみたいねぇ♪」
「もう!父上は余計なことして!」

ラリイはミミからの報告を聞いて、プンプンした。
ララルメイド長はフェニキアに居る、メイド長で、ラリイとも
馴染みの深い存在だ。
最初は、自分も一緒にラリイの元に行くと聞かなかったらしいが、
兄のアディリスがそれでは、フェニキアの世話が成り立たなくなるから
ダメだと言われ、渋々一緒に行くのを諦めたらしい。

「あ、で、今度ね!休暇が出来たら、ラリイちゃんに会いに来るって!」
「本当!じゃーその時は、ララルメイド長が好きそうなもの、
いっぱい用意しようね♪」
「そうね!きっと大喜びされるわ♪って!そうじゃなくて!」

ラリイの話につい乗せられ、ミミは話の本題を失いそうになり、
ラリイにツッコミを入れる。

「ネイル様とのこと!どうなってるの?」
「どうなってるって言われても・・・」

ラリイは再び顔を真っ赤にして、何をどう言えばいいのか、
わからなくて困ってしまった。
今だって、2人は新婚ラブラブである。
夜だって毎日一緒に寝てるし、一時は、我慢させられた所為もあってか、
毎日とは言わなくても、ネイルはラリイを求め、2人は深く愛し合っている。
後はタイミングと言うか、運としか言いようがない。

「まー周りがガヤガヤ言っても、しょうがないとは思うんだけどね。」
「私もどうしたらいいか、わからないよ?ミミちゃん?」
「じゃあ、今夜はちょっと大胆なことしちゃう?」

ミミはニヤリと笑ってラリイを見た。
ラリイは何やら企んでいるミミに少し不安を覚える。

「こういう時のミミちゃんは、ちょっと怖い・・・」

心の中でラリイはそう思いながらも、ミミにされるがまま、
髪の毛のケアをされていた。
でも、ミミ達が来てくれたことで、気軽に祖国のことや、
父や兄のことなどが知れて、そうした面でもラリイは嬉しかった。
これもメディーナの提案と、メイド達の受け入れを許可してくれた
ネイル達のおかげであった。

「今日、お茶の時にネイルにまたお礼言おう♪」

ラリイはそう心に決めて、またミミと楽しくおしゃべりをした。
ラリイ達は今はすっかり平穏に暮らせていた。
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