第一二章「和解」
いつもの2人きりのお茶会もまた再開となり、あの後、数時間、
見なかっただけなのに、ラリイのあまりの変わりようにネイルは驚いた。
「ラリイ・・・」
「うん?どうしたの?」
「あ、いや、すげぇー可愛くなったと思って・・・」
「え?」
いきなりネイルに可愛いと言われ、ラリイも照れる。
それなりに身支度はいつもされてはいたが、やはり他種族相手には、
自分の城のメイド達も、ラリイの世話は手に余っていたようだ。
それを、今度はちゃんとラリイの事をわかっている者が、少し世話をするだけで、こんなにも変わるのだから。
メディーナの意見を聞いて良かったとネイルは心から思った。
顔も髪も耳の羽も綺麗に艶めいていた。
「ラリイ。」
「うん?」
「やっぱり、メイド達の子が来てくれて、嬉しいか?」
「うん♪とっても♪」
「そうか、なら良かった。」
久しぶりに幸せそうなラリイの笑顔が見れて、ネイルも嬉しくなった。
「男の俺に相談出来ないことも、今後はあのメイド達が居れば、心強いもんな。」
「うん、そうだね。」
「あんなに仲がいいと、少し嫉妬しちゃうな。」
「もう、ネイルってば・・・」
ラリイはいつもの様にネイルに紅茶を渡して、少し困り顔で微笑んだ。
叔父との事があったのに、相変わらずネイルは嫉妬深い。
けど、あの件があったこそ、またネイルの家族の事などを
知ることが出来て、ラリイ的には良かったと思った。
ネイルが自分から、親の事とか、しゃべってくれたのだ。
「俺は父に似てるらしい。父も母には頭が上がらなかったんだってさ。」
「そうなんだ。」
「俺もそのうちにラリイに頭が上がらなくなるかもな。」
「ええ?そんなことないよ!」
ネイルにそうからかわれて、ラリイは必死で否定した。
ラリイは、ネイルを尻に敷こうだなんて全く思ってない。
むしろ男らしく、引っ張って欲しいと思ってるくらいだ。
「ラリイ?どうした?」
何かを考え込んでいると思ったのか、ネイルはラリイに声を掛けた。
ラリイは昨日の事を思い出していたが、我に返って、ネイルに、
「何でもないよ!」
と、安心させる為に笑顔で返事した。
2人は久しぶりにゆったりと穏やかな時間を過ごしていた。
「メイド長に聞いた話ですが、流石、ラリイ王妃に長年仕えていたメイド達だけあって、どんどん順調に王妃にとって良い環境にしてくれているようです。」
「そうか。それは俺もさっきのラリイを見て実感した。」
2人のお茶会が終わり、ネイルは政務室に戻って、カミーラから、
色々な報告を受けていた。
「それに、かなり仕事の面でも、手際も良い様で、なかなか
褒めないメイド長も、あの3人には感心してました。」
「へぇーそりゃー珍しい。俺にだっていつも厳しいのに。」
「まぁ、ネイルからすれば、メイド長は母親みたいな存在ですからね。
本人に言ったら、怒るでしょうけど。」
「だな。」
カミーラの話を聞いて、ネイルはクスっと笑った。
フェニキアは領土が狭い分、人も少ない。その分だけ、お互いに助け合って生きて来たとラリイが言っていたのを思い出し、ネイルはそれもあるからこそ、メイド達との繋がりも深いのだろうと思った。
「ラリイに関しては、ラリイのメイド達に一番の権限を
与えるように、メイド長に言ってくれ。」
「はい、すでにそのように話してはあります。」
「そうか。なら、今後しばらくは安心だろう。」
「これで、やっと安心して世継ぎ問題も解決しましたね。」
「ちょ、カミーラまで気が早いぞ!」
「何を言うんです。若いからって呑気にしないで下さいよ。
他国からも、特にフェリオリア様から、メイドの話をしに行った時に、
どんだけ、その話をされたか・・・私の身にもなって下さい。」
「うう・・・」
カミーラまで、そんな話をしてきて、ネイルは照れてしまった。
だが、環境が良い方向に揃ったのは間違いない。
「で、あの問題を起こしたメイド達なんですが・・・」
「ん?どうした?」
「どう処分しましょうか?彼女達は、ラリイ王妃に無礼を働いたとは言え、
長年ドラゴネス城に仕えてくれていたのは事実ですし、ネイルは
どう考えますか?」
「そうだな・・・結婚を斡旋したらどうだ?」
「結婚ですか?」
「ああ、おばあ様にもちょっと手伝って貰って、彼女らと相性がいい、
貴族の子息との結婚を薦めてやればいい。
王家からの話だから、彼女らの親も喜ぶだろう?」
「うん、ネイルにしては、いい案ですね。
それなら、無下にクビにしたわけでなく、彼女らへの恩義で
ってことになるから、怨みも買いませんし。
早速、それで話を進めますね。」
「うん、頼む。」
ネイルは、これがいい解決に向かうと信じていた。
彼女らにも、幸せになって欲しいのは嘘じゃない。
だって、自分の国の大事な民なのだから。
「俺にはラリイが居るから、彼女らの気持ちに答えることは出来ないが、
彼女らにも運命の相手がいるはずだ。それと出会い、幸せに
なってくれれば、もうラリイに構う事もなくなるだろう。」
ネイルは心の中でそう思った。
ラリイに感化されてなのか、ネイルは前よりも他人の幸せについても、
昔以上にちゃんと考えるようになっていた。
見なかっただけなのに、ラリイのあまりの変わりようにネイルは驚いた。
「ラリイ・・・」
「うん?どうしたの?」
「あ、いや、すげぇー可愛くなったと思って・・・」
「え?」
いきなりネイルに可愛いと言われ、ラリイも照れる。
それなりに身支度はいつもされてはいたが、やはり他種族相手には、
自分の城のメイド達も、ラリイの世話は手に余っていたようだ。
それを、今度はちゃんとラリイの事をわかっている者が、少し世話をするだけで、こんなにも変わるのだから。
メディーナの意見を聞いて良かったとネイルは心から思った。
顔も髪も耳の羽も綺麗に艶めいていた。
「ラリイ。」
「うん?」
「やっぱり、メイド達の子が来てくれて、嬉しいか?」
「うん♪とっても♪」
「そうか、なら良かった。」
久しぶりに幸せそうなラリイの笑顔が見れて、ネイルも嬉しくなった。
「男の俺に相談出来ないことも、今後はあのメイド達が居れば、心強いもんな。」
「うん、そうだね。」
「あんなに仲がいいと、少し嫉妬しちゃうな。」
「もう、ネイルってば・・・」
ラリイはいつもの様にネイルに紅茶を渡して、少し困り顔で微笑んだ。
叔父との事があったのに、相変わらずネイルは嫉妬深い。
けど、あの件があったこそ、またネイルの家族の事などを
知ることが出来て、ラリイ的には良かったと思った。
ネイルが自分から、親の事とか、しゃべってくれたのだ。
「俺は父に似てるらしい。父も母には頭が上がらなかったんだってさ。」
「そうなんだ。」
「俺もそのうちにラリイに頭が上がらなくなるかもな。」
「ええ?そんなことないよ!」
ネイルにそうからかわれて、ラリイは必死で否定した。
ラリイは、ネイルを尻に敷こうだなんて全く思ってない。
むしろ男らしく、引っ張って欲しいと思ってるくらいだ。
「ラリイ?どうした?」
何かを考え込んでいると思ったのか、ネイルはラリイに声を掛けた。
ラリイは昨日の事を思い出していたが、我に返って、ネイルに、
「何でもないよ!」
と、安心させる為に笑顔で返事した。
2人は久しぶりにゆったりと穏やかな時間を過ごしていた。
「メイド長に聞いた話ですが、流石、ラリイ王妃に長年仕えていたメイド達だけあって、どんどん順調に王妃にとって良い環境にしてくれているようです。」
「そうか。それは俺もさっきのラリイを見て実感した。」
2人のお茶会が終わり、ネイルは政務室に戻って、カミーラから、
色々な報告を受けていた。
「それに、かなり仕事の面でも、手際も良い様で、なかなか
褒めないメイド長も、あの3人には感心してました。」
「へぇーそりゃー珍しい。俺にだっていつも厳しいのに。」
「まぁ、ネイルからすれば、メイド長は母親みたいな存在ですからね。
本人に言ったら、怒るでしょうけど。」
「だな。」
カミーラの話を聞いて、ネイルはクスっと笑った。
フェニキアは領土が狭い分、人も少ない。その分だけ、お互いに助け合って生きて来たとラリイが言っていたのを思い出し、ネイルはそれもあるからこそ、メイド達との繋がりも深いのだろうと思った。
「ラリイに関しては、ラリイのメイド達に一番の権限を
与えるように、メイド長に言ってくれ。」
「はい、すでにそのように話してはあります。」
「そうか。なら、今後しばらくは安心だろう。」
「これで、やっと安心して世継ぎ問題も解決しましたね。」
「ちょ、カミーラまで気が早いぞ!」
「何を言うんです。若いからって呑気にしないで下さいよ。
他国からも、特にフェリオリア様から、メイドの話をしに行った時に、
どんだけ、その話をされたか・・・私の身にもなって下さい。」
「うう・・・」
カミーラまで、そんな話をしてきて、ネイルは照れてしまった。
だが、環境が良い方向に揃ったのは間違いない。
「で、あの問題を起こしたメイド達なんですが・・・」
「ん?どうした?」
「どう処分しましょうか?彼女達は、ラリイ王妃に無礼を働いたとは言え、
長年ドラゴネス城に仕えてくれていたのは事実ですし、ネイルは
どう考えますか?」
「そうだな・・・結婚を斡旋したらどうだ?」
「結婚ですか?」
「ああ、おばあ様にもちょっと手伝って貰って、彼女らと相性がいい、
貴族の子息との結婚を薦めてやればいい。
王家からの話だから、彼女らの親も喜ぶだろう?」
「うん、ネイルにしては、いい案ですね。
それなら、無下にクビにしたわけでなく、彼女らへの恩義で
ってことになるから、怨みも買いませんし。
早速、それで話を進めますね。」
「うん、頼む。」
ネイルは、これがいい解決に向かうと信じていた。
彼女らにも、幸せになって欲しいのは嘘じゃない。
だって、自分の国の大事な民なのだから。
「俺にはラリイが居るから、彼女らの気持ちに答えることは出来ないが、
彼女らにも運命の相手がいるはずだ。それと出会い、幸せに
なってくれれば、もうラリイに構う事もなくなるだろう。」
ネイルは心の中でそう思った。
ラリイに感化されてなのか、ネイルは前よりも他人の幸せについても、
昔以上にちゃんと考えるようになっていた。