第十一章「家族」
ラリイはメディーナ達の屋敷に来て、あれからも、メディーナの部屋にお世話になっていた。
ラリイはラリイ用のベッドを用意して貰い、そこで寝ていた。
メディーナに全て話せたおかげと、あの意地悪なメイド達から離れたおかげで、最近は、すっかり安眠出来ていたのだ。
だが、気のせいだろうか?
今日に限って、ネイルの声が聞こえてくる気がする。
深刻そうな声で、自分を心配してくれてそうな声が。
「ネイルに逢いた過ぎて、私はおかしくなっちゃったのかな・・・?」
ラリイが少し起き上がり、眠気眼で、薄っすらと目を開けた時に、
メディーナの部屋のドアが勢い良く開き、そこには息を切らした
ネイルが立っていた。
「え?」
「ラリイ!無事か?ラリイ!!!」
「ネイル?本当にネイルなの?」
ネイルは今にも泣きそうな顔でラリイの側に寄り、しっかりとラリイを抱き寄せ、ラリイを何よりも愛しそうに抱いた。
「ラリイ・・・逢いたかった。」
久しぶりのネイルの声に、ラリイも泣きそうになった。
「ネイルぅ・・・逢いたかったよぉ・・・」
ラリイもネイルにしっかりしがみついていた。
「ラリイ、ごめん。何もわかってやれてなくて、本当にごめん。」
「ネイルぅ?んんん」
ネイルはラリイを顔を見ると我慢しきれずにラリイに深いキスをする。
新婚でイチャイチャしたい時に無理矢理我慢させられた所為で、
ネイルの気持ちは、はち切れそうだった。
だが、ラリイが何とかネイルを押し留めて、泣き顔で拒否する。
「ラリイ・・・?」
「ここはメディーナお姉様のお部屋だから、これ以上はダメ!!」
「そう・・・だよな。」
ネイルはまた自分だけが我慢出来なかったことに後悔する。
だが、自分の気持ちがどうしても収まり切らず、ラリイを
抱きしめたまま、ラリイに話しかける。
「ラリイ。本当にすまない。お前にばっかり苦労かけて・・・
子供の話とか・・・聞いたよ。メディーナから・・・」
「それは・・・私が勝手に・・・・・・」
「ラリイ!!!」
今だに自分の胸の内を明かそうとしないラリイに、ネイルは怒った。
ラリイはネイルの言葉にビクッと震える。
「どうして、今も隠そうするんだ?俺の事は信用してくれないのか?
俺じゃ・・・お前を救ってやれないのか・・・?」
ネイルは泣いていた。妻の事をろくに助けてやれない
自分の不甲斐なさに我慢できずに。
ラリイもその姿に貰い泣きしてしまい、ネイルにしがみついて謝る。
「ごめん!ごめんね!ネイル!!!こんなにいつも思ってくれて
いるのに!私が1人で怖がって・・・ネイルの気持ちを
もっと信じれば良かったのに・・・ごめんね・・・」
「ラリイ。もう1人で絶対に悩むな。俺は王だけど、でも、
お前の前では1人のお前を愛する男でもあるんだから。
それを絶対に今後も忘れないでくれ・・・ラリイ・・・」
「うん・・・」
お互いの気持ちを久しぶりに確認出来た2人は、静かに抱き合った。
お互いの薬指にはめてる、結婚指輪が密かに輝く。
2人の意思疎通をどうやら少しだけ助けたようだ。
「ちょっとネイル?私のラリイちゃんから離れてくれない?」
2人がお互いの気持ちに整理がついた頃に、メディーナは自分の部屋に戻って来て、ネイルを一瞥した。
メディーナの背後にはカミーラが居て、呆れつつもラリイ達を笑っていた。
「嫁馬鹿のネイルもやっと、ラリイ王妃の気持ちをちゃんと理解したんですね。」
「あのな・・・さっきからお前達は俺の事を何だと思ってるんだ?」
ネイルはメディーナ達を恨めしそうに見つめる。
「自分の愛する奥さんも守れない、ダメ夫兼王様でしょ?」
「嫁を盲目に愛するが故の残念ですが、まだまだ未熟な王かと。」
メディーナもカミーラもネイルに容赦なく、今回の評価を突きつける。
「ぐっ・・・!」
ネイルはまるで胸に槍でも撃ち込まれたかのように、胸を押さえて、呻いた。
ラリイは、その光景を見つつ、タジタジになっていた。
「ネイル・・・?大丈夫?」
心配そうに声を掛けるラリイに、ネイルは何とか自分を抑え、
「今回の2人の言葉は甘んじて受ける。」
とだけ、なんとか答えた。
2人は当然だと言わんばかりの態度でネイルと対峙していた。
ラリイは、今回はメディーナ達に本当にお世話になり、助けられたのだと実感していた。
「ラリイ王妃のメイドについてなのですが・・・」
4人はカミーラの屋敷の客室に集まり、ラリイの今後について話をしていた。
「ラリイ王妃に無礼を働いたと思われるメイド達は、今さっき、しばらく休みにさせることにしました。姉の証言なども含め、大体の犯人はわかりましたので、それから・・・」
カミーラはラリイに向かって言う。
「今後は、ラリイ様がご幼少の頃から、お世話になっていた、
フェニキアいるメイド達を3人ほど呼び寄せることにしました。
すでに3人の了解に、フェルオリア王も承諾して下さいました。」
「父上が?!」
「ええ。今後の娘の身を案じて下さったようです。異国で子供が産むなら、身近に心が許せるメイドが居た方が良いだろうと。私の方からも、そうして頂けたらとお願いしました。」
「カミーラ様・・・」
「やるじゃない♪流石、私の弟だわ♪3人もスカウト出来たのね!」
「そこまで配慮してくれていたのか、カミーラ・・・」
「まぁ・・・ほぼ姉の提案ですけどね。」
「しー!そういうのはあんたの手柄にしなさいよ!馬鹿!」
メディーナの態度に皆が笑う。メディーナは罰が悪そうに、
恥ずかしそうにして、ラリイに抱きついた。
「やーねー本当にこの子は馬鹿素直なんだから。
ラリイちゃんもそう思うでしょ?」
「でも、メディーナお姉様の考えだからこそ、カミーラ様も
ちゃんと言うべきだと思ったんだと思いますよ?」
「もうーラリイちゃんも、本当にいい子なんだから!」
そう言いながら、メディーナはラリイをくすぐる。
ラリイはキャッキャ言いながら、メディーナと戯れている。
「メディーナ、それにカミーラ本当に有難うな。」
「いいのよーお礼なんて。私はラリイちゃんが無事ならそれで。」
メディーナはネイルのお礼には興味ありませーんと言った態度だ。
カミーラは、そんな姉に呆れつつ、
「ネイルの今後の仕事に差し支えが出るのであれば、全力で阻止したいだけです。」
と淡々と答えた。それから、ラリイをチラっと見て。
「私出来ることで、少しでも恩返しになればと思っただけです。」
と小さい声で言った。ラリイはカミーラの優しさに少し涙ぐんだ。
ラリイはラリイ用のベッドを用意して貰い、そこで寝ていた。
メディーナに全て話せたおかげと、あの意地悪なメイド達から離れたおかげで、最近は、すっかり安眠出来ていたのだ。
だが、気のせいだろうか?
今日に限って、ネイルの声が聞こえてくる気がする。
深刻そうな声で、自分を心配してくれてそうな声が。
「ネイルに逢いた過ぎて、私はおかしくなっちゃったのかな・・・?」
ラリイが少し起き上がり、眠気眼で、薄っすらと目を開けた時に、
メディーナの部屋のドアが勢い良く開き、そこには息を切らした
ネイルが立っていた。
「え?」
「ラリイ!無事か?ラリイ!!!」
「ネイル?本当にネイルなの?」
ネイルは今にも泣きそうな顔でラリイの側に寄り、しっかりとラリイを抱き寄せ、ラリイを何よりも愛しそうに抱いた。
「ラリイ・・・逢いたかった。」
久しぶりのネイルの声に、ラリイも泣きそうになった。
「ネイルぅ・・・逢いたかったよぉ・・・」
ラリイもネイルにしっかりしがみついていた。
「ラリイ、ごめん。何もわかってやれてなくて、本当にごめん。」
「ネイルぅ?んんん」
ネイルはラリイを顔を見ると我慢しきれずにラリイに深いキスをする。
新婚でイチャイチャしたい時に無理矢理我慢させられた所為で、
ネイルの気持ちは、はち切れそうだった。
だが、ラリイが何とかネイルを押し留めて、泣き顔で拒否する。
「ラリイ・・・?」
「ここはメディーナお姉様のお部屋だから、これ以上はダメ!!」
「そう・・・だよな。」
ネイルはまた自分だけが我慢出来なかったことに後悔する。
だが、自分の気持ちがどうしても収まり切らず、ラリイを
抱きしめたまま、ラリイに話しかける。
「ラリイ。本当にすまない。お前にばっかり苦労かけて・・・
子供の話とか・・・聞いたよ。メディーナから・・・」
「それは・・・私が勝手に・・・・・・」
「ラリイ!!!」
今だに自分の胸の内を明かそうとしないラリイに、ネイルは怒った。
ラリイはネイルの言葉にビクッと震える。
「どうして、今も隠そうするんだ?俺の事は信用してくれないのか?
俺じゃ・・・お前を救ってやれないのか・・・?」
ネイルは泣いていた。妻の事をろくに助けてやれない
自分の不甲斐なさに我慢できずに。
ラリイもその姿に貰い泣きしてしまい、ネイルにしがみついて謝る。
「ごめん!ごめんね!ネイル!!!こんなにいつも思ってくれて
いるのに!私が1人で怖がって・・・ネイルの気持ちを
もっと信じれば良かったのに・・・ごめんね・・・」
「ラリイ。もう1人で絶対に悩むな。俺は王だけど、でも、
お前の前では1人のお前を愛する男でもあるんだから。
それを絶対に今後も忘れないでくれ・・・ラリイ・・・」
「うん・・・」
お互いの気持ちを久しぶりに確認出来た2人は、静かに抱き合った。
お互いの薬指にはめてる、結婚指輪が密かに輝く。
2人の意思疎通をどうやら少しだけ助けたようだ。
「ちょっとネイル?私のラリイちゃんから離れてくれない?」
2人がお互いの気持ちに整理がついた頃に、メディーナは自分の部屋に戻って来て、ネイルを一瞥した。
メディーナの背後にはカミーラが居て、呆れつつもラリイ達を笑っていた。
「嫁馬鹿のネイルもやっと、ラリイ王妃の気持ちをちゃんと理解したんですね。」
「あのな・・・さっきからお前達は俺の事を何だと思ってるんだ?」
ネイルはメディーナ達を恨めしそうに見つめる。
「自分の愛する奥さんも守れない、ダメ夫兼王様でしょ?」
「嫁を盲目に愛するが故の残念ですが、まだまだ未熟な王かと。」
メディーナもカミーラもネイルに容赦なく、今回の評価を突きつける。
「ぐっ・・・!」
ネイルはまるで胸に槍でも撃ち込まれたかのように、胸を押さえて、呻いた。
ラリイは、その光景を見つつ、タジタジになっていた。
「ネイル・・・?大丈夫?」
心配そうに声を掛けるラリイに、ネイルは何とか自分を抑え、
「今回の2人の言葉は甘んじて受ける。」
とだけ、なんとか答えた。
2人は当然だと言わんばかりの態度でネイルと対峙していた。
ラリイは、今回はメディーナ達に本当にお世話になり、助けられたのだと実感していた。
「ラリイ王妃のメイドについてなのですが・・・」
4人はカミーラの屋敷の客室に集まり、ラリイの今後について話をしていた。
「ラリイ王妃に無礼を働いたと思われるメイド達は、今さっき、しばらく休みにさせることにしました。姉の証言なども含め、大体の犯人はわかりましたので、それから・・・」
カミーラはラリイに向かって言う。
「今後は、ラリイ様がご幼少の頃から、お世話になっていた、
フェニキアいるメイド達を3人ほど呼び寄せることにしました。
すでに3人の了解に、フェルオリア王も承諾して下さいました。」
「父上が?!」
「ええ。今後の娘の身を案じて下さったようです。異国で子供が産むなら、身近に心が許せるメイドが居た方が良いだろうと。私の方からも、そうして頂けたらとお願いしました。」
「カミーラ様・・・」
「やるじゃない♪流石、私の弟だわ♪3人もスカウト出来たのね!」
「そこまで配慮してくれていたのか、カミーラ・・・」
「まぁ・・・ほぼ姉の提案ですけどね。」
「しー!そういうのはあんたの手柄にしなさいよ!馬鹿!」
メディーナの態度に皆が笑う。メディーナは罰が悪そうに、
恥ずかしそうにして、ラリイに抱きついた。
「やーねー本当にこの子は馬鹿素直なんだから。
ラリイちゃんもそう思うでしょ?」
「でも、メディーナお姉様の考えだからこそ、カミーラ様も
ちゃんと言うべきだと思ったんだと思いますよ?」
「もうーラリイちゃんも、本当にいい子なんだから!」
そう言いながら、メディーナはラリイをくすぐる。
ラリイはキャッキャ言いながら、メディーナと戯れている。
「メディーナ、それにカミーラ本当に有難うな。」
「いいのよーお礼なんて。私はラリイちゃんが無事ならそれで。」
メディーナはネイルのお礼には興味ありませーんと言った態度だ。
カミーラは、そんな姉に呆れつつ、
「ネイルの今後の仕事に差し支えが出るのであれば、全力で阻止したいだけです。」
と淡々と答えた。それから、ラリイをチラっと見て。
「私出来ることで、少しでも恩返しになればと思っただけです。」
と小さい声で言った。ラリイはカミーラの優しさに少し涙ぐんだ。