第十一章「家族」
あんなについ最近まで一緒にいて、新婚ラブラブモードだったラリイ達は、途端に距離が出来て、気まずい雰囲気になった。
ラリイはいまいち納得出来ないまま、政務室へ立ち入りを禁止され、
定時の2人きりのお茶会もなくなり、ネイルと夜も一緒に居られなくなった。
ラリイの方でもネビィルと会い、話をすることになったのだが、
初対面にもかかわらず、ネビィルは容赦なくラリイを叱った。
「王妃であるなら、その自覚を持って行動して頂きたい。新婚で浮かれるのは仕方がないが、それでも、これはあまりにも酷い。なので、私がいる間に2人には、それぞれの立場に相応しい振る舞いを身につけて頂く。」
「は、はい。」
厳しい顔で、容赦なく言われ、ラリイは怯えながらも何とか返事した。
ラリイは戸惑ってネイルを見たが、ネイルはラリイの顔を見ようとしなかった。
ラリイには、何故かそれが凄く寂しい事だと感じた。
その日から、ネイルがラリイによそよそしくなった気がする。
「ネイルは、今は王として、叔父上様に認められようと
頑張ってるんだから・・・だから忙しいんだから、我慢しなきゃ・・・」
ラリイはそう自分に何度も言い聞かせるのだが、夜になると涙が
止まらなかった。
ラリイ的に頑張っていたことは、全部無駄なのだと、はっきり言われたようで、悲しかったのもあった。
こっそり、ベアードが、少しだけラリイに事情を教えてくれたのだ。
「ラリイ王妃・・・ネイルを恨まないでやって欲しい。」
「え?」
「あのネビィル様はネイルの叔父上なんだが、ネイルが王になるまでの間に、
かなりの面倒を見てくれたお方でな。ネイルからした親以上の存在なんだ。
しかも、ネビィル様の娘のレフィーネ様はネイルの元婚約者だったんだ。」
「そ、そうだったんですね?!」
「で、一部の貴族達が・・・その・・・ラリイ王妃の意見ばかり
聞くネイルに不信を抱いたらしくてな・・・」
「わ、私は、そんな風に思われていたんですか?!」
「残念なんだが、そうなんだ。俺やカミーラはまだ、そんなに深刻に
思っていなかったんだが・・・一部の貴族が騒ぎ立てて、
ネビィル様に悪いように報告したようで・・・」
「私の所為で・・・私が出しゃばったばっかりに・・・」
「いや!ラリイ王妃は何も悪くないですよ!!!
一部の頭の固い貴族が騒いだのが悪いんです!!!」
ベアードはラリイを傷つけまいと必死になってフォローした。
しかし、ラリイからすれば、こんな事態になったのは、確実に
自分の所為だとわかってしまっていた。
ネイルと結婚した事で、貴族達にも、それなりに認められたのだと
勘違いしていた自分が、何より恥ずかしかった。
「このまま、信頼もない、世継ぎもまともに作れない王妃って
ことにされちゃうのかな・・・そしたら、離婚は無理だから、
私はどこかに幽閉されて・・・いずれネイルには新しい女性の人が・・・」
ラリイは、どんどんネガティブな方に考えがいってしまう。
それから、もっと最悪なことに、ラリイの周りにいるメイド達は、
ここぞとばかりに、陰で悪口を言うようになった。
「ネイル様と最近一緒に居られないとか、いい気味。」
「そうそう、他国の王女様とは言え、やっぱり無理だったのよ。」
「これじゃ、世継ぎなんて無理な話ね。」
数人の意地の悪いメイドは、ラリイの耳に聞こえるように話す。
しかし、メイド長やカミーラなど、耳に入ったら困る存在が居る時だけは、絶対に言わないで、真面目にやってますと言った態度を取る。
長年、勤めてるメイド達だけあって、そうした行動は上手なものだ。
だが、ラリイはあえて何も言わずに我慢をした。
偏見なんかに負けるものかと、頑張ろうとしたのだ。
そんな日々が、もう少しで1週間になろうとしていた。
「ラリイちゃん・・・最近顔色悪くない?何かあったの?」
久しぶりにメディーナが遊びに来てくれて、ラリイは少し気分が晴れる気がした。
メディーナはすっかりラリイを自分の妹の様に可愛がるようになり、
ラリイもメディーナを姉の様に慕っていた。
「いいえ、メディーナお姉様。何にもないですよ。」
ラリイは弱々しい笑顔でメディーナに言葉を返した。
少しでも心配かけまいと。
「そう・・・ならいいんだけど・・・」
メディーナはすぐに何かを感じた。そして、一人のメイドが、
陰に隠れて、こっそりこっちを見ているのに気が付き、察した。
とうとう、こんな日が来たかと。
「ねぇーねぇーラリイちゃん!今夜は私の屋敷に来ない?」
「え?いいんですか?」
「もちろんよ♪ラリイちゃんなら、毎日来て欲しいくらい♪」
「でも・・・許して貰えるかな・・・?」
「それは、私に任せて!ネビィル叔父様には私から言うわ!」
メディーナはそう言って、すぐに行動を起こす。
そして、いつも通りに、メディーナは言った事をちゃんと済ませた。
「今日はラリイちゃんが私の家に初のお泊りね♪本当に楽しみ♪」
「わ、私もメディーナお姉様と夜にお話し出来るの楽しみです♪」
ラリイは、心底、メディーナに城から連れ出して貰って、安心していた。今日の夜だけであっても、あのメイド達から解放されるのは嬉しかった。
ラリイが嬉しさで耳をパタパタさせているのを見て、
メディーナはニヤニヤが止まらなくなりそうになって、必死に変な笑顔になるのを堪えていた。
ラリイはいまいち納得出来ないまま、政務室へ立ち入りを禁止され、
定時の2人きりのお茶会もなくなり、ネイルと夜も一緒に居られなくなった。
ラリイの方でもネビィルと会い、話をすることになったのだが、
初対面にもかかわらず、ネビィルは容赦なくラリイを叱った。
「王妃であるなら、その自覚を持って行動して頂きたい。新婚で浮かれるのは仕方がないが、それでも、これはあまりにも酷い。なので、私がいる間に2人には、それぞれの立場に相応しい振る舞いを身につけて頂く。」
「は、はい。」
厳しい顔で、容赦なく言われ、ラリイは怯えながらも何とか返事した。
ラリイは戸惑ってネイルを見たが、ネイルはラリイの顔を見ようとしなかった。
ラリイには、何故かそれが凄く寂しい事だと感じた。
その日から、ネイルがラリイによそよそしくなった気がする。
「ネイルは、今は王として、叔父上様に認められようと
頑張ってるんだから・・・だから忙しいんだから、我慢しなきゃ・・・」
ラリイはそう自分に何度も言い聞かせるのだが、夜になると涙が
止まらなかった。
ラリイ的に頑張っていたことは、全部無駄なのだと、はっきり言われたようで、悲しかったのもあった。
こっそり、ベアードが、少しだけラリイに事情を教えてくれたのだ。
「ラリイ王妃・・・ネイルを恨まないでやって欲しい。」
「え?」
「あのネビィル様はネイルの叔父上なんだが、ネイルが王になるまでの間に、
かなりの面倒を見てくれたお方でな。ネイルからした親以上の存在なんだ。
しかも、ネビィル様の娘のレフィーネ様はネイルの元婚約者だったんだ。」
「そ、そうだったんですね?!」
「で、一部の貴族達が・・・その・・・ラリイ王妃の意見ばかり
聞くネイルに不信を抱いたらしくてな・・・」
「わ、私は、そんな風に思われていたんですか?!」
「残念なんだが、そうなんだ。俺やカミーラはまだ、そんなに深刻に
思っていなかったんだが・・・一部の貴族が騒ぎ立てて、
ネビィル様に悪いように報告したようで・・・」
「私の所為で・・・私が出しゃばったばっかりに・・・」
「いや!ラリイ王妃は何も悪くないですよ!!!
一部の頭の固い貴族が騒いだのが悪いんです!!!」
ベアードはラリイを傷つけまいと必死になってフォローした。
しかし、ラリイからすれば、こんな事態になったのは、確実に
自分の所為だとわかってしまっていた。
ネイルと結婚した事で、貴族達にも、それなりに認められたのだと
勘違いしていた自分が、何より恥ずかしかった。
「このまま、信頼もない、世継ぎもまともに作れない王妃って
ことにされちゃうのかな・・・そしたら、離婚は無理だから、
私はどこかに幽閉されて・・・いずれネイルには新しい女性の人が・・・」
ラリイは、どんどんネガティブな方に考えがいってしまう。
それから、もっと最悪なことに、ラリイの周りにいるメイド達は、
ここぞとばかりに、陰で悪口を言うようになった。
「ネイル様と最近一緒に居られないとか、いい気味。」
「そうそう、他国の王女様とは言え、やっぱり無理だったのよ。」
「これじゃ、世継ぎなんて無理な話ね。」
数人の意地の悪いメイドは、ラリイの耳に聞こえるように話す。
しかし、メイド長やカミーラなど、耳に入ったら困る存在が居る時だけは、絶対に言わないで、真面目にやってますと言った態度を取る。
長年、勤めてるメイド達だけあって、そうした行動は上手なものだ。
だが、ラリイはあえて何も言わずに我慢をした。
偏見なんかに負けるものかと、頑張ろうとしたのだ。
そんな日々が、もう少しで1週間になろうとしていた。
「ラリイちゃん・・・最近顔色悪くない?何かあったの?」
久しぶりにメディーナが遊びに来てくれて、ラリイは少し気分が晴れる気がした。
メディーナはすっかりラリイを自分の妹の様に可愛がるようになり、
ラリイもメディーナを姉の様に慕っていた。
「いいえ、メディーナお姉様。何にもないですよ。」
ラリイは弱々しい笑顔でメディーナに言葉を返した。
少しでも心配かけまいと。
「そう・・・ならいいんだけど・・・」
メディーナはすぐに何かを感じた。そして、一人のメイドが、
陰に隠れて、こっそりこっちを見ているのに気が付き、察した。
とうとう、こんな日が来たかと。
「ねぇーねぇーラリイちゃん!今夜は私の屋敷に来ない?」
「え?いいんですか?」
「もちろんよ♪ラリイちゃんなら、毎日来て欲しいくらい♪」
「でも・・・許して貰えるかな・・・?」
「それは、私に任せて!ネビィル叔父様には私から言うわ!」
メディーナはそう言って、すぐに行動を起こす。
そして、いつも通りに、メディーナは言った事をちゃんと済ませた。
「今日はラリイちゃんが私の家に初のお泊りね♪本当に楽しみ♪」
「わ、私もメディーナお姉様と夜にお話し出来るの楽しみです♪」
ラリイは、心底、メディーナに城から連れ出して貰って、安心していた。今日の夜だけであっても、あのメイド達から解放されるのは嬉しかった。
ラリイが嬉しさで耳をパタパタさせているのを見て、
メディーナはニヤニヤが止まらなくなりそうになって、必死に変な笑顔になるのを堪えていた。