第十一章「家族」
2人の新婚生活は、もう1週間になろうとしていた。
それまでの間に、フェニキアで、もう1度のラリイ達の結婚式が
行われ、今度はフェニキア国の王族の結婚式衣装で2人は結婚式をした。
その際に、ラリイは亡き母の形見にあたる結婚式衣装を再度仕立て
直して着ることになり、フェルオリアも、アディリスも、
ラリイの花嫁衣裳には一段と感慨深いものを感じていた。
ラリイも結婚式が終わった後でネフィリートにその事を教えて貰い、
大泣きしながら、ネフィリートに感謝した。
それから、フェニキアの支えもあり、ドラゴネス国は、大教会との
関係もやり直すことになった。
その時に、ラリイ達は結婚式姿で、教皇に謁見し、ドラゴネス国の
今までの無礼を謝罪し、許しと同時に祝福を受ける。
これは、ラリイが今まで大教会に行ってきた、もろもろの功績が
大きいからこその、大教会は異例中の異例で許しを認めたのだったのだ。
裏にクルクスの活躍もあったとか。
これによって、全世界にラリイ達の結婚が大教会にも認められた
ものだと言う事が広り、それは裏ではラリイに今後変な手出しも許されないと言う、
言質も取ったようなものであった。
ネイルからすれば、これほど安心できる保険はない。
今後、妻になったとしても、あのセルディアスのような男が
現れないとも限らないからだ。
フェニキアでの結婚は、そうした男達への大きな牽制にもなった。
「そうか・・・あのセルディアス王子が・・・」
フェニキアでも結婚式が無事に終わり、ひと段落した後で、
ラリイが攫われた一件をネイルは、フェルオリアとアディリスにも話した。
最初は、自分の度量に失望されるだろうと覚悟していたが、2人は、
失望どころか、ネイルに深く感謝していた。
「申し訳ない。ネイル殿。言い訳になってしまうが、我々も、未だに
フェンリルス国のあの王子が、ラリイにそこまで入れ込んでいたと
は知らなかったのだ。今後は、ラリイが我が国に里帰り
している時でも、絶対に逢わせないと誓おう。それで、お許し下さるかな?」
「もちろんです。義父上。ぜひ、それでお願い致します。」
「ネイル王、本当に妹を救ってくれてありがとう。兄としても感謝します。」
「当然の事をしたまでですよ、義兄上。」
アディリスの感謝の言葉にネイルは穏やかに微笑んで見せた。
「しかし、おとぎ話のような話だな、アディリス。」
「はい、父上。まさか、あの幻の奇跡の青い鳥の番が、
ラリイ達を助けてたなんて。」
「いっそ、我が国のおとぎ話として、語り継ごうかと思うのだが、
どうかね?ネイル殿?」
「あはは、義父上のお好きにされて結構ですよ。」
「ほう!聞いたか?アディリスよ?やはり、ネイル殿は
ドラゴネス国の王!器が広いではないか!」
ネイルの返答が嬉しいのか、フェルオリアは嬉しそうに大笑いをした。
アディリスもそんな父に苦笑いしつつ、その場は和やかな雰囲気に包まれていた。
「ええ?!そんな話していたの?!」
「まぁーな・・・」
ラリイの方はと言うと、ネイルが自分の父と兄に話したいことがあると言うので席を外していたのだが、帰って来たネイルにそんな話をしていたと報告を受けて、驚いていた。
が、同時に恥ずかしさも感じていた。あの父のことだから、
本当に、自分達のあの事件をどうにか絵本にするだろうと。
「もう・・・ネイルは冗談だと思ってるかもしれないけど・・・
父上は多分、本当に絵本にしちゃうかもしれないよ?」
「え?まさか・・・そんなことないだろう?」
「知らない。そうなっても、恥ずかしいのはネイルだもん。」
「おいおい・・・ラリイ。嘘だよな?な?」
ふんと言って、そっぽを向くラリイに、ネイルは慌てて、何度も聞き返す。
挙句の果てに、強引にラリイに迫り、結局キスする。
この時、ドラゴネスへ帰る馬車の中でラリイは何度もネイルに
キスされる羽目になるのだった。
「ラリイ王妃のおかげで、他国との交流がスムーズになって、
本当に助かっています。」
今、現在、ドラゴネス国の政務室では、カミーラが笑顔で、
最近のドラゴネス国の近況報告をネイルにしていた。
ラリイが王女だった時に、困った国へ支援をしていたことが、
今になって、心強い外交の力となっている。
「もう、早速ラリイの存在は国の発展に役立ってるんだなぁ・・・」
ネイルはしみじみとカミーラに言う。カミーラも賛同するように頷く。
「本当にラリイ王妃には恐れ入ります。あの気難しいと知られる、海獣人の王である、ビスマルク王も、今回の流通に関しても、即許可を下されたとか・・・」
「マジか?!いつもは1か月ないし、下手する半年も返事を
先延ばしにされる、あのじい様王がか?!」
「何でも、ビスマルク王が風邪を引かれて際に、ラリイ王妃自ら、
介抱された恩があるとかで・・・」
「相変わらず過ぎて何も言えん・・・」
最近は、ネイルも、毎回こんな話ばかりで、驚きを通り越してしまっていた。
こんなことが毎回続く度に、ネイルは思った。
本当にラリイを嫁に出来て良かったと。
他国が色々な意味でラリイを欲しがったのを、今、一番実感していた。
それまでの間に、フェニキアで、もう1度のラリイ達の結婚式が
行われ、今度はフェニキア国の王族の結婚式衣装で2人は結婚式をした。
その際に、ラリイは亡き母の形見にあたる結婚式衣装を再度仕立て
直して着ることになり、フェルオリアも、アディリスも、
ラリイの花嫁衣裳には一段と感慨深いものを感じていた。
ラリイも結婚式が終わった後でネフィリートにその事を教えて貰い、
大泣きしながら、ネフィリートに感謝した。
それから、フェニキアの支えもあり、ドラゴネス国は、大教会との
関係もやり直すことになった。
その時に、ラリイ達は結婚式姿で、教皇に謁見し、ドラゴネス国の
今までの無礼を謝罪し、許しと同時に祝福を受ける。
これは、ラリイが今まで大教会に行ってきた、もろもろの功績が
大きいからこその、大教会は異例中の異例で許しを認めたのだったのだ。
裏にクルクスの活躍もあったとか。
これによって、全世界にラリイ達の結婚が大教会にも認められた
ものだと言う事が広り、それは裏ではラリイに今後変な手出しも許されないと言う、
言質も取ったようなものであった。
ネイルからすれば、これほど安心できる保険はない。
今後、妻になったとしても、あのセルディアスのような男が
現れないとも限らないからだ。
フェニキアでの結婚は、そうした男達への大きな牽制にもなった。
「そうか・・・あのセルディアス王子が・・・」
フェニキアでも結婚式が無事に終わり、ひと段落した後で、
ラリイが攫われた一件をネイルは、フェルオリアとアディリスにも話した。
最初は、自分の度量に失望されるだろうと覚悟していたが、2人は、
失望どころか、ネイルに深く感謝していた。
「申し訳ない。ネイル殿。言い訳になってしまうが、我々も、未だに
フェンリルス国のあの王子が、ラリイにそこまで入れ込んでいたと
は知らなかったのだ。今後は、ラリイが我が国に里帰り
している時でも、絶対に逢わせないと誓おう。それで、お許し下さるかな?」
「もちろんです。義父上。ぜひ、それでお願い致します。」
「ネイル王、本当に妹を救ってくれてありがとう。兄としても感謝します。」
「当然の事をしたまでですよ、義兄上。」
アディリスの感謝の言葉にネイルは穏やかに微笑んで見せた。
「しかし、おとぎ話のような話だな、アディリス。」
「はい、父上。まさか、あの幻の奇跡の青い鳥の番が、
ラリイ達を助けてたなんて。」
「いっそ、我が国のおとぎ話として、語り継ごうかと思うのだが、
どうかね?ネイル殿?」
「あはは、義父上のお好きにされて結構ですよ。」
「ほう!聞いたか?アディリスよ?やはり、ネイル殿は
ドラゴネス国の王!器が広いではないか!」
ネイルの返答が嬉しいのか、フェルオリアは嬉しそうに大笑いをした。
アディリスもそんな父に苦笑いしつつ、その場は和やかな雰囲気に包まれていた。
「ええ?!そんな話していたの?!」
「まぁーな・・・」
ラリイの方はと言うと、ネイルが自分の父と兄に話したいことがあると言うので席を外していたのだが、帰って来たネイルにそんな話をしていたと報告を受けて、驚いていた。
が、同時に恥ずかしさも感じていた。あの父のことだから、
本当に、自分達のあの事件をどうにか絵本にするだろうと。
「もう・・・ネイルは冗談だと思ってるかもしれないけど・・・
父上は多分、本当に絵本にしちゃうかもしれないよ?」
「え?まさか・・・そんなことないだろう?」
「知らない。そうなっても、恥ずかしいのはネイルだもん。」
「おいおい・・・ラリイ。嘘だよな?な?」
ふんと言って、そっぽを向くラリイに、ネイルは慌てて、何度も聞き返す。
挙句の果てに、強引にラリイに迫り、結局キスする。
この時、ドラゴネスへ帰る馬車の中でラリイは何度もネイルに
キスされる羽目になるのだった。
「ラリイ王妃のおかげで、他国との交流がスムーズになって、
本当に助かっています。」
今、現在、ドラゴネス国の政務室では、カミーラが笑顔で、
最近のドラゴネス国の近況報告をネイルにしていた。
ラリイが王女だった時に、困った国へ支援をしていたことが、
今になって、心強い外交の力となっている。
「もう、早速ラリイの存在は国の発展に役立ってるんだなぁ・・・」
ネイルはしみじみとカミーラに言う。カミーラも賛同するように頷く。
「本当にラリイ王妃には恐れ入ります。あの気難しいと知られる、海獣人の王である、ビスマルク王も、今回の流通に関しても、即許可を下されたとか・・・」
「マジか?!いつもは1か月ないし、下手する半年も返事を
先延ばしにされる、あのじい様王がか?!」
「何でも、ビスマルク王が風邪を引かれて際に、ラリイ王妃自ら、
介抱された恩があるとかで・・・」
「相変わらず過ぎて何も言えん・・・」
最近は、ネイルも、毎回こんな話ばかりで、驚きを通り越してしまっていた。
こんなことが毎回続く度に、ネイルは思った。
本当にラリイを嫁に出来て良かったと。
他国が色々な意味でラリイを欲しがったのを、今、一番実感していた。