第十章「大団円」
「まさか・・・フェニキアの幻の奇跡の青い鳥とはね・・・」
怒りに震えているセルディアスの横で、あの魔術師風の男は、
ボソっと呟いた。
これは奇跡とかしか言いようのない出来事だった。
本来なら、あの青い鳥はフェニキアにしか、存在しないはずなのだ。
なのに、今回に限って、1匹どころか、2匹で、しかも番で
現れるなど、もう奇跡とか言いようがない。
「もう、あの王女は諦める事ですね。セルディアス王子。
貴方では絶対に勝てない。あの青い鳥の番を夫婦で見た者達は
必ず添い遂げ、幸せになると言う、フェニキアの伝承の幻の鳥。
その障害になるものは、奇跡によって取り除かれるとも
言われています。今回がまさにそれです。」
ラリイを攫った男は、もうこれ以上自分に出来ることはないと、
悟ったようだ。
あの奇跡の青い鳥の番が味方してるとなれば、敵うわけがない。
奇跡によって抵抗できる相手に勝てようがないではないか。
「ふ、ふさげるな!そんな事で、諦めろと言うのか!」
セルディアスは納得出来るか!と言わんばかりに、男に食って掛かる。
男は面倒くさそうに、セルディアスから距離を取り、告げる。
「まだ、諦めたくないと言うのは王子の勝手ですが、
私は辞退させて貰いますよ。これ以上、彼らの相手をしていたら、
痛い目を見るのは確実だと、わかっておりますので。」
「ふん。所詮は世間から嫌われている、闇の魔導士。
魔導士崩れで魔導士協会に所属も出来ない、落ちぶれの成れの果てか。」
セルディアスをありったけの嫌味を込めて、男に言う。
男は今までに無いほどの殺気を出し、セルディアスと対峙する。
「今回のその暴言は、私も力不足だったので、許しますが・・・
次に我々を侮辱したら、命の保証はしませんよ?王子。」
「次があればいいがな。」
セルディアスも男の殺気に恐れずに、言い返す。
嫌な沈黙が2人に続いた後で、魔導士の男は「今回はこれで。」と
短く返事をして、セルディアスの前から消えた。
「役に立つと思って雇ったが、とんだ見込み違いだったな。」
セルディアスは悔しそうに、独り言を言った。
あの男の言葉通り、今から追いかけても、どうにもならないだろう。
奇跡に勝てる力が自分の方にもない限り。
「ネイル・・・ネイル・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい。」
ラリイを自分の馬の前に乗せ、抱き合うようにして、
ネイルはラリイをしっかり抱いていた。落とさないように。
ラリイも何度も何度も泣きながら謝り、ネイルから離れないように、身体を出来る限り密着させていた。
「ラリイ・・・今は謝るな・・・しっかり、俺に捕まってろ。」
「うん・・・」
ネイルの男らしい一面に、ラリイは素直に従った。
ネイルはただ真っ直ぐに、自分の城に向かった。
どうやら、追手が来てる様子はない。
あの屋敷から、城は思ったよりも遠い距離ではなかった。
どうにか無事に城の入り口に着くと、声が聞こえる。
「ネイル!!!」
「お前!ラリイ王女を見つけたのか!!!」
城に着いてすぐに、カミーラとベアードが2人を出迎える。
ベアード達は、ラリイを見て、脱力感で何とも情けない顔になる。
「ああー良かったラリイ王女!無事で!!!」
馬から降りたラリイは、感極まったベアードに抱きしめられる。
「あわわ、心配をかけて、ごめんなさい!!!」
ラリイも、安心しきったせいか、無抵抗のままベアードに
抱きしめられてしまった。
それを見たネイルは激怒し、すぐにベアードに怒鳴る。
「おい!こら!ラリイに気軽に抱きつくな!俺の嫁だぞ!!!」
「あ、すまんすまん。あんまりにも嬉しすぎてな・・・」
ネイルに引き剝がされたベアードは、申し訳なさそうにする。
「っつたく。今、攫われた所から救ったって言うのに。
どんだけラリイはモテるんだ・・・」
ネイルのこの台詞に、ラリイはくすっと笑ってしまった。
心から心配されてるとわかっているから、ラリイは何にもベアードに対して、嫌な気分は抱いていなかった。
むしろ、今までの信頼があるからこそ尚更だ。
「しかし、本当にご無事で何よりです。ラリイ王女。
さ!こんなとこより、早く城の中に!!!」
カミーラは頭を下げて、ラリイの帰還を喜び、もっと安全な場所へと促した。
4人はすぐに城の中に入り、政務室に移動する。
どういう経緯でラリイを救ったのか、ラリイは今までどうしていたのか、4人は政務室で長く話し込んだ。
「そんな奇跡的なことがあるんだなぁ・・・」
色々と話を聞いて、ベアードの第一声はこれだった。
カミーラも同意だと言わんばかりに無言で頷く。
ラリイとネイルは2人でしっかり寄り添い合い、
あの青い小鳥の夫婦の様に、もう離れまいとしていた。
今の2人なら誰にどんなに茶化されても、絶対に離れたり
することはないだろう。
ラリイも無事に帰って来れたとは言え、気持ちはまだ不安だった。
ネイルもそれをわかっているから、ラリイから離れずにいる。
「しかし、まさか、その青い鳥とは、フェニキアに伝承がある、
あの幻の奇跡の鳥じゃ・・・ないですよね?」
カミーラはそう言いながら、政務室の横にある書斎から、
ある本を取り出し、あるページを開いて、ラリイ達に見せた。
ラリイ達はそのページを見て、驚いた顔をししつ、
2人で見つめ合い、その後でカミーラに何とも言えない顔で答えた。
「この子達です。」「こいつらだ。」
と、2人が仲良く声を揃えて言う。
カミーラは最初は唖然としたが、すぐに大爆笑した。
それに釣られ、ベアードまで豪快に笑う。
「これじゃ・・・あのセルディアス王子が、どんな策を
講じようとも敵うはずもないわけだ。」
カミーラは2人にページのある部分を差して、見るように促す。
そこには、あのラリイを誘拐した魔導士の言ってた言葉が、
そのまま書かれていた。
2人はますます驚いた顔をしたまま、見つめ合うしかなかった。
怒りに震えているセルディアスの横で、あの魔術師風の男は、
ボソっと呟いた。
これは奇跡とかしか言いようのない出来事だった。
本来なら、あの青い鳥はフェニキアにしか、存在しないはずなのだ。
なのに、今回に限って、1匹どころか、2匹で、しかも番で
現れるなど、もう奇跡とか言いようがない。
「もう、あの王女は諦める事ですね。セルディアス王子。
貴方では絶対に勝てない。あの青い鳥の番を夫婦で見た者達は
必ず添い遂げ、幸せになると言う、フェニキアの伝承の幻の鳥。
その障害になるものは、奇跡によって取り除かれるとも
言われています。今回がまさにそれです。」
ラリイを攫った男は、もうこれ以上自分に出来ることはないと、
悟ったようだ。
あの奇跡の青い鳥の番が味方してるとなれば、敵うわけがない。
奇跡によって抵抗できる相手に勝てようがないではないか。
「ふ、ふさげるな!そんな事で、諦めろと言うのか!」
セルディアスは納得出来るか!と言わんばかりに、男に食って掛かる。
男は面倒くさそうに、セルディアスから距離を取り、告げる。
「まだ、諦めたくないと言うのは王子の勝手ですが、
私は辞退させて貰いますよ。これ以上、彼らの相手をしていたら、
痛い目を見るのは確実だと、わかっておりますので。」
「ふん。所詮は世間から嫌われている、闇の魔導士。
魔導士崩れで魔導士協会に所属も出来ない、落ちぶれの成れの果てか。」
セルディアスをありったけの嫌味を込めて、男に言う。
男は今までに無いほどの殺気を出し、セルディアスと対峙する。
「今回のその暴言は、私も力不足だったので、許しますが・・・
次に我々を侮辱したら、命の保証はしませんよ?王子。」
「次があればいいがな。」
セルディアスも男の殺気に恐れずに、言い返す。
嫌な沈黙が2人に続いた後で、魔導士の男は「今回はこれで。」と
短く返事をして、セルディアスの前から消えた。
「役に立つと思って雇ったが、とんだ見込み違いだったな。」
セルディアスは悔しそうに、独り言を言った。
あの男の言葉通り、今から追いかけても、どうにもならないだろう。
奇跡に勝てる力が自分の方にもない限り。
「ネイル・・・ネイル・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい。」
ラリイを自分の馬の前に乗せ、抱き合うようにして、
ネイルはラリイをしっかり抱いていた。落とさないように。
ラリイも何度も何度も泣きながら謝り、ネイルから離れないように、身体を出来る限り密着させていた。
「ラリイ・・・今は謝るな・・・しっかり、俺に捕まってろ。」
「うん・・・」
ネイルの男らしい一面に、ラリイは素直に従った。
ネイルはただ真っ直ぐに、自分の城に向かった。
どうやら、追手が来てる様子はない。
あの屋敷から、城は思ったよりも遠い距離ではなかった。
どうにか無事に城の入り口に着くと、声が聞こえる。
「ネイル!!!」
「お前!ラリイ王女を見つけたのか!!!」
城に着いてすぐに、カミーラとベアードが2人を出迎える。
ベアード達は、ラリイを見て、脱力感で何とも情けない顔になる。
「ああー良かったラリイ王女!無事で!!!」
馬から降りたラリイは、感極まったベアードに抱きしめられる。
「あわわ、心配をかけて、ごめんなさい!!!」
ラリイも、安心しきったせいか、無抵抗のままベアードに
抱きしめられてしまった。
それを見たネイルは激怒し、すぐにベアードに怒鳴る。
「おい!こら!ラリイに気軽に抱きつくな!俺の嫁だぞ!!!」
「あ、すまんすまん。あんまりにも嬉しすぎてな・・・」
ネイルに引き剝がされたベアードは、申し訳なさそうにする。
「っつたく。今、攫われた所から救ったって言うのに。
どんだけラリイはモテるんだ・・・」
ネイルのこの台詞に、ラリイはくすっと笑ってしまった。
心から心配されてるとわかっているから、ラリイは何にもベアードに対して、嫌な気分は抱いていなかった。
むしろ、今までの信頼があるからこそ尚更だ。
「しかし、本当にご無事で何よりです。ラリイ王女。
さ!こんなとこより、早く城の中に!!!」
カミーラは頭を下げて、ラリイの帰還を喜び、もっと安全な場所へと促した。
4人はすぐに城の中に入り、政務室に移動する。
どういう経緯でラリイを救ったのか、ラリイは今までどうしていたのか、4人は政務室で長く話し込んだ。
「そんな奇跡的なことがあるんだなぁ・・・」
色々と話を聞いて、ベアードの第一声はこれだった。
カミーラも同意だと言わんばかりに無言で頷く。
ラリイとネイルは2人でしっかり寄り添い合い、
あの青い小鳥の夫婦の様に、もう離れまいとしていた。
今の2人なら誰にどんなに茶化されても、絶対に離れたり
することはないだろう。
ラリイも無事に帰って来れたとは言え、気持ちはまだ不安だった。
ネイルもそれをわかっているから、ラリイから離れずにいる。
「しかし、まさか、その青い鳥とは、フェニキアに伝承がある、
あの幻の奇跡の鳥じゃ・・・ないですよね?」
カミーラはそう言いながら、政務室の横にある書斎から、
ある本を取り出し、あるページを開いて、ラリイ達に見せた。
ラリイ達はそのページを見て、驚いた顔をししつ、
2人で見つめ合い、その後でカミーラに何とも言えない顔で答えた。
「この子達です。」「こいつらだ。」
と、2人が仲良く声を揃えて言う。
カミーラは最初は唖然としたが、すぐに大爆笑した。
それに釣られ、ベアードまで豪快に笑う。
「これじゃ・・・あのセルディアス王子が、どんな策を
講じようとも敵うはずもないわけだ。」
カミーラは2人にページのある部分を差して、見るように促す。
そこには、あのラリイを誘拐した魔導士の言ってた言葉が、
そのまま書かれていた。
2人はますます驚いた顔をしたまま、見つめ合うしかなかった。