第九章「不始末」
「ラリイ王女。改めて結婚おめでとう。式はまだ先だけど、どうか祝いの記念にこれを受け取って欲しい。」
セルディアスは、お茶をしてる席で、ラリイにプレゼントを渡す。
このお茶会はラリイとネイルとセルディアスの3人だけしていた。
「それくらいなら、私がラリイ王女に贈り物くらいしても、
良いですよね?ネイル王?」
セルディアスは嫌味ったらしい笑顔でネイルに確認する。
ネイルもそれに負けじと平静を装い、「ええ。」と答える。
正直言えば、すぐにでもラリイから取り上げて、
燃やしてやりたいくらいの気持ちだった。
だが、ラリイ当人は2人が裏で激しく火花を散らしているなど、
知りもしない。
「あのう・・・開けて見てもいいですか?」
ラリイは嬉しそうな顔をしつつ、プレゼントの中身を
見て良いかと、セルディアスに聞く。
「はい、どうぞ。」
「えへへ、じゃあ、開けさせて貰いますね?」
ラリイはプレゼントに貰った中ぶりの箱を開ける。
その箱には、黒い色の肌のウサちゃんシリーズの
うさぎのぬいぐるみが入っていた。
モチーフは魔法使いのようだった。
ラリイは嬉しそうにそれを取り出してみせた。
「うわ!初めて見る子だ!可愛い♪」
「ラリイ王女はそのシリーズのぬいぐるみが好きだから、
特別に作らせたんだ。今回のお祝いにね?」
「へぇ・・・そりゃ・・・また・・・」
ラリイとセルディアスのやり取りにネイルは、少しだけ口を挟んだ。
正直言って、ネイルからすれば、気持ちのいいものではない。
はっきり言って、ラリイには、かなりの数のウサちゃんシリーズの
ぬいぐるみを自分がすでにプレゼントしてるのだから。
「特別にと言いましたが、それは作者公認で?」
ネイルも嫌味たらしく、セルディアスに確認する。
あの作者はそう簡単に客の要望は聞かないはずだ。
例えそれが相手が王族などであってもだ。
ネイルですら、ドラゴネス国限定のウサちゃんシリーズの
うさぎを作ってもらうのに数年はかかったのだから。
「ええ。もちろん。我が国にツテのある者がいたので、
頼んだところ、快く引き受けて貰えたみたいで。」
セルディアスは涼し気な顔でネイルの質問に答えた。
たぶん、ある程度そういう質問が来るのは予測していたのだろう。
流石に祝いの品と言いつつ、贋作を渡すわけもないかと、
ネイルも渋々納得するしかなかった。
「セルディアス王子!ありがとう!大事にするね!」
ラリイはそのうさぎのぬいるぐみを大事そうに抱っこする。
その姿にネイルは腸が煮えくり返りそうになった。
だが、ここでみっともなく嫉妬するのだけは、なんとか耐えた。
そんな姿をこのセルディアスの前で晒したら、それこそ、
この男の思う壺な気がしたのだ。
ネイルにとっては苦痛でしかないお茶会は、なんとか無事に済んだ。
「では、ラリイ王女。今度は結婚式で。」
「はい!今日はありがとうございました!セルディアス王子!」
「それでは、失礼します。ネイル王。」
「ええ、わざわざ、今回は妻のラリイの為に
ありがとうございます。」
ネイルは最後にセルディアスに先制攻撃をかけた。
もう自分の妻であると、堂々と言ってやったのだ。
一瞬、セルディアスは顔をしかめたが、すぐに笑顔に戻る。
「いえいえ。これは私の気持ちからしたことですから。では。」
セルディアスはそう言って、帰って行った。
「あー胸糞悪い。いくら、ラリイの幼馴染みとは言え、
俺はあいつとは仲良く出来そうにない。」
セルディアスが去って、すぐにネイルは我慢出来ずにラリイに言った。
ラリイは、物凄く困った顔でネイルを見る。
「もうーネイルはずっと機嫌悪かったでしょ?
せっかく来てくれたのに・・・ネイルは本当に嫉妬深いんだから・・・」
「しょうがないだろ。あいつは、表面でこそ、穏やかにしてたけど、
俺とラリイの結婚を裏では猛反対してたんだぞ?」
「え?そうだったの?」
「は?知らなかったのか?!」
「うん・・・お兄様も父上も国に帰った時にそんな話しなかったし・・・」
ラリイはネイルにそれを聞いて、ようやくネイルが必要以上に機嫌が悪かったことを知った。
「ご、ごめんね。そうだよね。ネイルからしたら、
気分良い訳ないよね・・・教えてくれれば良かったのに・・・」
ラリイは凄く悲しそうな顔でネイルに言った。
それを見て、ネイルも自分だけが変に嫉妬していたことが
恥ずかしくなった。
ちゃんと言えば、良かったのだ。こういうことがあったと。
そうすれば、ラリイを変に傷つけるようなことをしなくて済んだのに。
ネイルは自分の考えが浅かった事に後悔した。
「いや、ラリイは謝ることない。友人とただ逢いたかった
だけなんだから。
謝るのは俺の方だ。ちゃんと言えば良かったんだ。
何もラリイに隠すようなことじゃなかったんだし・・・」
「ネイル・・・今日は本当にありがとう・・・」
ラリイはそっとネイルに近づき、自分からネイルにキスをする。
「ラ・・・ラリイ?!」
ラリイからキスをされて、ネイルは目を丸くする。
まさか、ラリイからキスをしてくるなど、ネイルは全く予想してなかった。
ラリイは、極度の恥ずかしがり屋で普段も、なかなかキスを
ネイルとは出来ないのに。
それを今日はラリイ自身が行ったのだ。
「ネイルの優しいとこ・・・大好き・・・」
ラリイは顔を真っ赤にしつつ、それでも恥ずかしいようで、
ネイルの顔を見ることが出来ずに、顔を反らしていた。
ラリイなりの謝罪と感謝の気持ちを込めたキスだったようだ。
そんなラリイにネイルは感情が抑えきれず、
ネイルから再度キスをしていた。
こんな結果になったのなら、セルディアスが今回来たのも、
悪くなったのかもしれないなと、ネイルは思った。
セルディアスは、お茶をしてる席で、ラリイにプレゼントを渡す。
このお茶会はラリイとネイルとセルディアスの3人だけしていた。
「それくらいなら、私がラリイ王女に贈り物くらいしても、
良いですよね?ネイル王?」
セルディアスは嫌味ったらしい笑顔でネイルに確認する。
ネイルもそれに負けじと平静を装い、「ええ。」と答える。
正直言えば、すぐにでもラリイから取り上げて、
燃やしてやりたいくらいの気持ちだった。
だが、ラリイ当人は2人が裏で激しく火花を散らしているなど、
知りもしない。
「あのう・・・開けて見てもいいですか?」
ラリイは嬉しそうな顔をしつつ、プレゼントの中身を
見て良いかと、セルディアスに聞く。
「はい、どうぞ。」
「えへへ、じゃあ、開けさせて貰いますね?」
ラリイはプレゼントに貰った中ぶりの箱を開ける。
その箱には、黒い色の肌のウサちゃんシリーズの
うさぎのぬいぐるみが入っていた。
モチーフは魔法使いのようだった。
ラリイは嬉しそうにそれを取り出してみせた。
「うわ!初めて見る子だ!可愛い♪」
「ラリイ王女はそのシリーズのぬいぐるみが好きだから、
特別に作らせたんだ。今回のお祝いにね?」
「へぇ・・・そりゃ・・・また・・・」
ラリイとセルディアスのやり取りにネイルは、少しだけ口を挟んだ。
正直言って、ネイルからすれば、気持ちのいいものではない。
はっきり言って、ラリイには、かなりの数のウサちゃんシリーズの
ぬいぐるみを自分がすでにプレゼントしてるのだから。
「特別にと言いましたが、それは作者公認で?」
ネイルも嫌味たらしく、セルディアスに確認する。
あの作者はそう簡単に客の要望は聞かないはずだ。
例えそれが相手が王族などであってもだ。
ネイルですら、ドラゴネス国限定のウサちゃんシリーズの
うさぎを作ってもらうのに数年はかかったのだから。
「ええ。もちろん。我が国にツテのある者がいたので、
頼んだところ、快く引き受けて貰えたみたいで。」
セルディアスは涼し気な顔でネイルの質問に答えた。
たぶん、ある程度そういう質問が来るのは予測していたのだろう。
流石に祝いの品と言いつつ、贋作を渡すわけもないかと、
ネイルも渋々納得するしかなかった。
「セルディアス王子!ありがとう!大事にするね!」
ラリイはそのうさぎのぬいるぐみを大事そうに抱っこする。
その姿にネイルは腸が煮えくり返りそうになった。
だが、ここでみっともなく嫉妬するのだけは、なんとか耐えた。
そんな姿をこのセルディアスの前で晒したら、それこそ、
この男の思う壺な気がしたのだ。
ネイルにとっては苦痛でしかないお茶会は、なんとか無事に済んだ。
「では、ラリイ王女。今度は結婚式で。」
「はい!今日はありがとうございました!セルディアス王子!」
「それでは、失礼します。ネイル王。」
「ええ、わざわざ、今回は妻のラリイの為に
ありがとうございます。」
ネイルは最後にセルディアスに先制攻撃をかけた。
もう自分の妻であると、堂々と言ってやったのだ。
一瞬、セルディアスは顔をしかめたが、すぐに笑顔に戻る。
「いえいえ。これは私の気持ちからしたことですから。では。」
セルディアスはそう言って、帰って行った。
「あー胸糞悪い。いくら、ラリイの幼馴染みとは言え、
俺はあいつとは仲良く出来そうにない。」
セルディアスが去って、すぐにネイルは我慢出来ずにラリイに言った。
ラリイは、物凄く困った顔でネイルを見る。
「もうーネイルはずっと機嫌悪かったでしょ?
せっかく来てくれたのに・・・ネイルは本当に嫉妬深いんだから・・・」
「しょうがないだろ。あいつは、表面でこそ、穏やかにしてたけど、
俺とラリイの結婚を裏では猛反対してたんだぞ?」
「え?そうだったの?」
「は?知らなかったのか?!」
「うん・・・お兄様も父上も国に帰った時にそんな話しなかったし・・・」
ラリイはネイルにそれを聞いて、ようやくネイルが必要以上に機嫌が悪かったことを知った。
「ご、ごめんね。そうだよね。ネイルからしたら、
気分良い訳ないよね・・・教えてくれれば良かったのに・・・」
ラリイは凄く悲しそうな顔でネイルに言った。
それを見て、ネイルも自分だけが変に嫉妬していたことが
恥ずかしくなった。
ちゃんと言えば、良かったのだ。こういうことがあったと。
そうすれば、ラリイを変に傷つけるようなことをしなくて済んだのに。
ネイルは自分の考えが浅かった事に後悔した。
「いや、ラリイは謝ることない。友人とただ逢いたかった
だけなんだから。
謝るのは俺の方だ。ちゃんと言えば良かったんだ。
何もラリイに隠すようなことじゃなかったんだし・・・」
「ネイル・・・今日は本当にありがとう・・・」
ラリイはそっとネイルに近づき、自分からネイルにキスをする。
「ラ・・・ラリイ?!」
ラリイからキスをされて、ネイルは目を丸くする。
まさか、ラリイからキスをしてくるなど、ネイルは全く予想してなかった。
ラリイは、極度の恥ずかしがり屋で普段も、なかなかキスを
ネイルとは出来ないのに。
それを今日はラリイ自身が行ったのだ。
「ネイルの優しいとこ・・・大好き・・・」
ラリイは顔を真っ赤にしつつ、それでも恥ずかしいようで、
ネイルの顔を見ることが出来ずに、顔を反らしていた。
ラリイなりの謝罪と感謝の気持ちを込めたキスだったようだ。
そんなラリイにネイルは感情が抑えきれず、
ネイルから再度キスをしていた。
こんな結果になったのなら、セルディアスが今回来たのも、
悪くなったのかもしれないなと、ネイルは思った。