第八章「結婚準備」
あのフェルオリアでの一件から、すっかり夜になり、
ラリイ達はラリイの自室に戻って来た。
2人は部屋で静かになってしまう。
ラリイとしては、ネイルに対して申し訳ない気持ちが大きいので、
気軽に話しかけれず、ネイルの方も何かを考えていて、黙ったままだった。
「なぁ・・・ラリイ。」
「うん?何?」
沈黙の中でネイルは口を開いた。
ラリイは努めて、普通に返事をする。
「お前に確認するんだけど、ラリイは自分に対する裏の噂を知ってるか?」
「え?裏の噂?」
「やっぱり・・・知らないよな。」
「うん・・・」
ネイルは何かを決意した顔をし、ラリイをしっかり見ながら、話しを続ける。
「フェニキアの王族の女性を迎い入れると一族が発展するって話あるだろ?」
「うん。それは知ってる。」
「あれは・・・要するに、ラリイに子供を産んで貰うと、相手方の一族は
一族の中で最も優秀な遺伝子を持った子が産まれるって話なんだ。」
「え?」
ネイルの言葉にラリイはポカーンとしてしまう。
そんな話はラリイは全く知らなかった。
てっきり、嫁ぎ先の国で国が発展するように昼夜問わずに、
祈りを捧げることが出来るから、求められるのだと、ばっかり
思っていたのだ。
「他の国は、それが本当の目的で、だからラリイを嫁にって
欲しがる国が多いんだ。」
「そ、そんな・・・知らなかったよ・・・」
ネイルのいきなりの話に、ラリイは気持ちが沈んでしまう。
酷い言い方をすれば、身体が目的と言う事ではないか。
ショックを受けている、ラリイにネイルはそっと手を取る。
「でも、ラリイ。これだけは絶対に誤解しないで欲しい。」
「ネイル?」
「俺は、ラリイとそんな理由で結婚したいんじゃないってことだ。
俺は・・・あの子供の時、辛かった俺を慰めてくれた、
あのラリイだからこそ、結婚したいんだ。わかってくれるか?」
ラリイの手を握りながら、ネイルは熱い眼差しでラリイを見る。
「ネイル・・・うん。わかる。」
ラリイもネイルを見つめて答える。
今でも、こんなに自分を大事にしてくれるネイルが、
そんな理由で自分との結婚を望んでないのは、一目瞭然だった。
ラリイは心の底から、ネイルの言葉に同意した。
2人はそっと自然にキスをする。
「きっと、ラリイの父上も、何よりそれが心配だっただろうと思う。
俺が、それを目的にしている男なら、とっくに身体の関係になっていても、
おかしくないと思われたんだろうって。」
「そうなんだね。だから、お兄様もあんな魔法・・・」
「ああ、でも、ラリイがいつも言ってただろ?
ちゃんとしてから、しなきゃダメって。
本当に今回はあの言葉で救われたな。」
「うん。母上が・・・守ってくれたのかもね?」
ラリイは穏やかに笑って、ネイルに言う。
ネイルもそうだなと笑顔で返す。
「もう後は国に戻って、結婚するだけだ。」
「そうだね!ネイルはちゃんと私の家族に挨拶してくれて、
承諾もちゃんと得てくれたもんね!」
「ああ。最初は不安だったけど、どうにかなって良かったよ。」
「うん!私も本当に良かった!」
ラリイは嬉しそうに耳をパタパタさせる。
それを見て、ネイルも本当に嬉しいんだろうなと確信する。
「じゃ、俺は自分の借りた客室に戻るな。」
「え?」
立ち上がり、部屋から出て行こうとするネイルにラリイが不思議がる。
ネイルは照れた困った顔でラリイに言う。
「今日、あんな事があってから、ラリイの祖国にいる間に、
俺が我慢出来ずにラリイを襲ったら、洒落にならないだろ?
だから、今日は辛いけど、別々に寝よう。
じゃ、おやすみラリイ。」
「あ、うん。おやすみネイル。」
ネイルはそれだけ言うと、ラリイの顔も見ずに、さっさと出て行った。
気持ちが高まってしまっているのだろう。
なのに、あんなにも我慢して、ラリイとの約束を
守ってくれているネイルに、ラリイは更に深い愛情を
感じずにはいられなかった。
「ネイル・・・本当に大好き。愛してるよ。」
今のネイルには届かないが、ラリイはそう言わずには
いられなかった。
ラリイ達はラリイの自室に戻って来た。
2人は部屋で静かになってしまう。
ラリイとしては、ネイルに対して申し訳ない気持ちが大きいので、
気軽に話しかけれず、ネイルの方も何かを考えていて、黙ったままだった。
「なぁ・・・ラリイ。」
「うん?何?」
沈黙の中でネイルは口を開いた。
ラリイは努めて、普通に返事をする。
「お前に確認するんだけど、ラリイは自分に対する裏の噂を知ってるか?」
「え?裏の噂?」
「やっぱり・・・知らないよな。」
「うん・・・」
ネイルは何かを決意した顔をし、ラリイをしっかり見ながら、話しを続ける。
「フェニキアの王族の女性を迎い入れると一族が発展するって話あるだろ?」
「うん。それは知ってる。」
「あれは・・・要するに、ラリイに子供を産んで貰うと、相手方の一族は
一族の中で最も優秀な遺伝子を持った子が産まれるって話なんだ。」
「え?」
ネイルの言葉にラリイはポカーンとしてしまう。
そんな話はラリイは全く知らなかった。
てっきり、嫁ぎ先の国で国が発展するように昼夜問わずに、
祈りを捧げることが出来るから、求められるのだと、ばっかり
思っていたのだ。
「他の国は、それが本当の目的で、だからラリイを嫁にって
欲しがる国が多いんだ。」
「そ、そんな・・・知らなかったよ・・・」
ネイルのいきなりの話に、ラリイは気持ちが沈んでしまう。
酷い言い方をすれば、身体が目的と言う事ではないか。
ショックを受けている、ラリイにネイルはそっと手を取る。
「でも、ラリイ。これだけは絶対に誤解しないで欲しい。」
「ネイル?」
「俺は、ラリイとそんな理由で結婚したいんじゃないってことだ。
俺は・・・あの子供の時、辛かった俺を慰めてくれた、
あのラリイだからこそ、結婚したいんだ。わかってくれるか?」
ラリイの手を握りながら、ネイルは熱い眼差しでラリイを見る。
「ネイル・・・うん。わかる。」
ラリイもネイルを見つめて答える。
今でも、こんなに自分を大事にしてくれるネイルが、
そんな理由で自分との結婚を望んでないのは、一目瞭然だった。
ラリイは心の底から、ネイルの言葉に同意した。
2人はそっと自然にキスをする。
「きっと、ラリイの父上も、何よりそれが心配だっただろうと思う。
俺が、それを目的にしている男なら、とっくに身体の関係になっていても、
おかしくないと思われたんだろうって。」
「そうなんだね。だから、お兄様もあんな魔法・・・」
「ああ、でも、ラリイがいつも言ってただろ?
ちゃんとしてから、しなきゃダメって。
本当に今回はあの言葉で救われたな。」
「うん。母上が・・・守ってくれたのかもね?」
ラリイは穏やかに笑って、ネイルに言う。
ネイルもそうだなと笑顔で返す。
「もう後は国に戻って、結婚するだけだ。」
「そうだね!ネイルはちゃんと私の家族に挨拶してくれて、
承諾もちゃんと得てくれたもんね!」
「ああ。最初は不安だったけど、どうにかなって良かったよ。」
「うん!私も本当に良かった!」
ラリイは嬉しそうに耳をパタパタさせる。
それを見て、ネイルも本当に嬉しいんだろうなと確信する。
「じゃ、俺は自分の借りた客室に戻るな。」
「え?」
立ち上がり、部屋から出て行こうとするネイルにラリイが不思議がる。
ネイルは照れた困った顔でラリイに言う。
「今日、あんな事があってから、ラリイの祖国にいる間に、
俺が我慢出来ずにラリイを襲ったら、洒落にならないだろ?
だから、今日は辛いけど、別々に寝よう。
じゃ、おやすみラリイ。」
「あ、うん。おやすみネイル。」
ネイルはそれだけ言うと、ラリイの顔も見ずに、さっさと出て行った。
気持ちが高まってしまっているのだろう。
なのに、あんなにも我慢して、ラリイとの約束を
守ってくれているネイルに、ラリイは更に深い愛情を
感じずにはいられなかった。
「ネイル・・・本当に大好き。愛してるよ。」
今のネイルには届かないが、ラリイはそう言わずには
いられなかった。