第八章「結婚準備」
ラリイの部屋に辿り着き、ネイルは部屋に入る。
ラリイは静かな寝息を立てて、ベッドに寝ていた。
その様子だけでは、何かをされたと言うのはわからない。
いつも通りの様子だった。
「ラリイ・・・大丈夫・・・か?」
ネイルはそっとラリイの側に行き、ベッドに腰を下ろして、
ラリイの頬を撫でる。
「う・・・ん・・・ネイル・・・」
寝言で自分を呼ぶラリイに、ネイルは微笑む。
「俺はここにいるよ・・・ラリイ。」
ネイルは我慢出来ずに、そっとラリイにキスする。
すると、ラリイがゆっくり目を覚まし、ネイルが側にいることが、
わかって、顔を真っ赤にする。
「あれ?ネイル?宴は終わったの?」
「ああ、もう少しで終わる。ラリイが心配で様子を見に来たんだ。
ラリイは大丈夫か?どこか、具合が悪いとかないか?」
「何にもないよ。でも、おかしいなぁ・・・
なんで、寝ちゃったんだろう?」
ラリイはついさっきまでの事が思い出せないようだ。
ネイルは変に心配させまいと、ラリイの頭を撫でる。
「疲れでも出たんだろう。気にすることないさ。」
「うん・・・1人で先に休んじゃって、ごめんね。ネイル。」
「いいんだ。ところで、義父上が話があるんだってさ。
ラリイ、起きれるか?」
「うん!大丈夫!父上が話?何だろうね?」
「さぁ?とりあえず、行こうぜ。」
「うん♪」
2人はいつも通りに手を繋いで、フェルオリアの部屋に来た。
ラリイが声掛けして入室すると、そこには、フェルオリア以外にも
アディリスが居た。
「ここまで来たのなら、もう流石に認めるしかないですね。
父上。」
「そうだな。」
フェルオリアとアディリスは、そう言葉を交わすと、
ネイルの前に来て、深々と頭を下げた。
突然のことにラリイもネイルも唖然とする。
「最後まで試して、済まなかった。ネイル殿。
貴方が娘をこれほどにまで大切に思ってくれていたことは、
今ここで証明された。どうか、今まで私の無礼を許して欲しい。」
「私からも、父に代わり、謝罪致します。」
「え?どういうこと?」
いきなり、父と兄がネイルに謝罪している光景に、ラリイは
不思議そうに見守る。
ネイルはただ静かに、2人を見て、ふっと笑い、
「いえ、誤解が解けたのなら、何よりです。」
とだけ、答えた。これで、わかって貰えるなら、ネイルとしては、
事を荒立ててることもない。
「酷い!!父上も!お兄様も!!!」
その後で、事情を知ったラリイは兄の胸をぽかぽかと殴っていた。
どうしようもない怒りで、ラリイは軽くではあるものの、兄を
叩かずにはいられなかったのだ。
アディリスも申し訳なさそうにしつつも、ラリイに叩かれてるしかなかった。
ラリイが、アディリスに掛けられた魔法は、ラリイが処女でなければ、今までのドラゴネス国に居たあたりの記憶が一切消えると言う、暗示の類の魔法だった。
ラリイにドラゴネス国にいた記憶、ネイルとの記憶が無くなれば、2人が結婚するは、難しいだろうと、フェルオリアは考えたらしい。
「こら。ラリイ、止めなさい。アディリスは何も悪くない。
私が、そうするように言ったのだ。兄を許してあげなさい。」
見兼ねたフェルオリアは、優しい声でラリイを諭す。
だが、ラリイの怒りはまだ収まらない。
「父上も酷いです!ネイルはそんな人じゃないのに・・・
なのに・・・酷い・・・ひっく・・・ひっく・・・」
ラリイは大粒の涙を零して、父を非難し、ネイルに抱きついた。
「ごめんなさい。ネイル。許して・・・父上を・・・お兄様を・・・」
「俺は何も怒ってないよ、ラリイ。」
ネイルは静かにそう言い、ラリイを優しく抱きしめた。
「お2人にとって、ラリイはそれだけ大事な存在なんだよ。
だから、俺が色々試されてもしょうがない。
でもラリイ。ラリイは怒ったらいけない。感謝すべきだよ。
こんなに大事に思われてることを。」
「ネイル・・・うん・・・」
ネイルに優しく諭され、ラリイはやっと怒りを収めた。
そんな2人を、フェルオリアも、アディリスも、温かい目で見守っていた。
「本当に、申し訳ない。ネイル殿。男親と言うのは不器用なものだ。
こんな方法でしか、娘の信じた男を計ることが出来ない。
ましてラリイがフェニキアの王族の女であるが故に尚更な・・・」
「噂は存じております。」
「そうか・・・なら、大丈夫であろう。
ここまで娘と心を通わせているネイル殿なら。」
すっかり老け込んだ感のあるフェルオリアに、ラリイも、もう何も言えなくなってしまった。
やっとこれで認めて貰えたのだ、ネイルは。
ラリイの言う事を守ってって良かったと、ネイルは心底思った。
ラリイには、自分でもわかっていなくても、直感的に思うところが
あったのかもしれない。
こういう事態になるかもしれないと。
ラリイは静かな寝息を立てて、ベッドに寝ていた。
その様子だけでは、何かをされたと言うのはわからない。
いつも通りの様子だった。
「ラリイ・・・大丈夫・・・か?」
ネイルはそっとラリイの側に行き、ベッドに腰を下ろして、
ラリイの頬を撫でる。
「う・・・ん・・・ネイル・・・」
寝言で自分を呼ぶラリイに、ネイルは微笑む。
「俺はここにいるよ・・・ラリイ。」
ネイルは我慢出来ずに、そっとラリイにキスする。
すると、ラリイがゆっくり目を覚まし、ネイルが側にいることが、
わかって、顔を真っ赤にする。
「あれ?ネイル?宴は終わったの?」
「ああ、もう少しで終わる。ラリイが心配で様子を見に来たんだ。
ラリイは大丈夫か?どこか、具合が悪いとかないか?」
「何にもないよ。でも、おかしいなぁ・・・
なんで、寝ちゃったんだろう?」
ラリイはついさっきまでの事が思い出せないようだ。
ネイルは変に心配させまいと、ラリイの頭を撫でる。
「疲れでも出たんだろう。気にすることないさ。」
「うん・・・1人で先に休んじゃって、ごめんね。ネイル。」
「いいんだ。ところで、義父上が話があるんだってさ。
ラリイ、起きれるか?」
「うん!大丈夫!父上が話?何だろうね?」
「さぁ?とりあえず、行こうぜ。」
「うん♪」
2人はいつも通りに手を繋いで、フェルオリアの部屋に来た。
ラリイが声掛けして入室すると、そこには、フェルオリア以外にも
アディリスが居た。
「ここまで来たのなら、もう流石に認めるしかないですね。
父上。」
「そうだな。」
フェルオリアとアディリスは、そう言葉を交わすと、
ネイルの前に来て、深々と頭を下げた。
突然のことにラリイもネイルも唖然とする。
「最後まで試して、済まなかった。ネイル殿。
貴方が娘をこれほどにまで大切に思ってくれていたことは、
今ここで証明された。どうか、今まで私の無礼を許して欲しい。」
「私からも、父に代わり、謝罪致します。」
「え?どういうこと?」
いきなり、父と兄がネイルに謝罪している光景に、ラリイは
不思議そうに見守る。
ネイルはただ静かに、2人を見て、ふっと笑い、
「いえ、誤解が解けたのなら、何よりです。」
とだけ、答えた。これで、わかって貰えるなら、ネイルとしては、
事を荒立ててることもない。
「酷い!!父上も!お兄様も!!!」
その後で、事情を知ったラリイは兄の胸をぽかぽかと殴っていた。
どうしようもない怒りで、ラリイは軽くではあるものの、兄を
叩かずにはいられなかったのだ。
アディリスも申し訳なさそうにしつつも、ラリイに叩かれてるしかなかった。
ラリイが、アディリスに掛けられた魔法は、ラリイが処女でなければ、今までのドラゴネス国に居たあたりの記憶が一切消えると言う、暗示の類の魔法だった。
ラリイにドラゴネス国にいた記憶、ネイルとの記憶が無くなれば、2人が結婚するは、難しいだろうと、フェルオリアは考えたらしい。
「こら。ラリイ、止めなさい。アディリスは何も悪くない。
私が、そうするように言ったのだ。兄を許してあげなさい。」
見兼ねたフェルオリアは、優しい声でラリイを諭す。
だが、ラリイの怒りはまだ収まらない。
「父上も酷いです!ネイルはそんな人じゃないのに・・・
なのに・・・酷い・・・ひっく・・・ひっく・・・」
ラリイは大粒の涙を零して、父を非難し、ネイルに抱きついた。
「ごめんなさい。ネイル。許して・・・父上を・・・お兄様を・・・」
「俺は何も怒ってないよ、ラリイ。」
ネイルは静かにそう言い、ラリイを優しく抱きしめた。
「お2人にとって、ラリイはそれだけ大事な存在なんだよ。
だから、俺が色々試されてもしょうがない。
でもラリイ。ラリイは怒ったらいけない。感謝すべきだよ。
こんなに大事に思われてることを。」
「ネイル・・・うん・・・」
ネイルに優しく諭され、ラリイはやっと怒りを収めた。
そんな2人を、フェルオリアも、アディリスも、温かい目で見守っていた。
「本当に、申し訳ない。ネイル殿。男親と言うのは不器用なものだ。
こんな方法でしか、娘の信じた男を計ることが出来ない。
ましてラリイがフェニキアの王族の女であるが故に尚更な・・・」
「噂は存じております。」
「そうか・・・なら、大丈夫であろう。
ここまで娘と心を通わせているネイル殿なら。」
すっかり老け込んだ感のあるフェルオリアに、ラリイも、もう何も言えなくなってしまった。
やっとこれで認めて貰えたのだ、ネイルは。
ラリイの言う事を守ってって良かったと、ネイルは心底思った。
ラリイには、自分でもわかっていなくても、直感的に思うところが
あったのかもしれない。
こういう事態になるかもしれないと。