第八章「結婚準備」
「ラリイの家族にも、ちゃんと挨拶に行かないとな。」
「え?」
2人でいつものお茶をしている時に、ネイルは深刻そうな顔をして、
ラリイに言う。
今の今まで、ネイル側からは、文面で向こうに伝えることはあっても、
直接出向くことはなかった。
だが、流石に正式に結婚が決まったとなれば、ネイルが王であろうと、1度はラリイの国に出向き、義理の親になる、フェルオリアに挨拶しに行くのが常識だろう。
義理の兄になるアディリスとだって、決闘したまま、何もない。
ましてや、最初はラリイを強引に嫁にと要求した手前もあり、ネイルの印象はフェニキアにとっては最悪だと、もうわかりきっている。
それでも、ネイルは自分の誠意をわかって貰いたいと思った。
ラリイと今後、心から愛し合っていきたいから。
それには、妻になるラリイの祖国との関係も友好でありたいと、
強く願うようになった。
「ネイル・・・そんなに考えてくれてたんだ・・・凄く嬉しい。」
ラリイは、ネイルがそこまで真剣に今後もことも、考えていてくれた事に
喜ばずにはいられなかった。
「だけど、俺の印象はきっと最悪だよな・・・」
「うーん・・・そうだよね。父上も最初は、凄く怒ってたし。」
「だよな・・・俺が逆の立場でも怒ると思うわ。」
「うーん・・・困ったねぇ・・・」
2人でどうしたものかと悩み出す。ラリイとしては、ネイルが、
こんなにも自分の国に寄り添おうとしてくれているのなら、
どうにか、父と兄とも仲良くなって貰いたいものだと、
考えているのだが、いい案が思い浮かばない。
「誠意を見せるしかないよな。変に小細工なんかして、
ご機嫌取ろうとしたって、それは表面だけにしかならないだろうし。」
「うん、ネイルの言う通りだと思う。
お兄様もそういう、ご機嫌取りとか大嫌いだし。」
「だよな。俺も嫌いだ。表面ばっかりのやつ。」
「うふふ、だったら、ネイルはお兄様とすぐ仲良くなれそうだけどなぁー」
「そうか?だったら、嬉しんだけどな・・・」
2人は変に取り繕うのを止めようと決めた。
今のありのままの2人を見て貰おうと。
「後は、俺の代で、過去の確執が無くなればいいと思ってる。」
「あの、フェニおばちゃまの事?」
「うん。俺の親の代で、大分、フェニキアとは普通くらいの
関係にはなったみたいだけど、それでも人の付き合いで言えば、
知り合い程度だからな。ラリイの祖国なんだから、
俺はもっと大事な国として付き合っていきたいと思ってるよ。」
「ネイル・・・ありがとう。そこまで思ってくれて・・・」
ラリイはネイルの側に寄り、ネイルに寄り掛かった。
ネイルもラリイを抱き寄せる。
すっかり、2人は深い恋人になっていた。
お互いの気持ちがわかることが、こんなに素敵なことだった
なんてと、ラリイは嬉しくて仕方がない。
ただ、困ったことがあるとするなら、ネイルが少しラリイを
求めすぎてしまうことだろうか。
「キス以外は絶対に駄目!!!」
「ラリイ・・・うーん・・・」
夜になって、2人で一緒にいる時間も、かなり増えた。
ネイルも男だ。長年の想い人であったラリイを、どうしても、
急に襲いたくなる衝動が出てしまう。
だが、その度にラリイに言われてしまう。
キス以外は、初夜を迎えるまでは駄目だと。
「どうして、そこまでこだわるんだ。
そりゃ・・・ラリイは女だから、身体は大事だけど、
けど、それでも・・・」
「母上との約束なの!」
「母との?」
「うん。数少ない、母上との約束なの・・・大事なことは、
ちゃんとしてから、しなさいって・・・」
「む・・・確かに言われる通りだな。」
「ネイルの気持ちは、凄く嬉しいよ!
本当は答えてあげたいと思うよ・・・でも・・・でも」
ここでラリイは泣いてしまう。どっちもラリイには大事なのだ。
ネイルの気持ちも、母との約束も。
だから、ラリイも葛藤していた。
そんなラリイを見て、ネイルは欲望が収まる。
ラリイを傷つけたくて、抱きたいのではないのだから。
なら、もうすることは決まっている。
「早く、結婚式しなきゃな・・・」
しかし、2人には、やることがまだまだあった。
「え?」
2人でいつものお茶をしている時に、ネイルは深刻そうな顔をして、
ラリイに言う。
今の今まで、ネイル側からは、文面で向こうに伝えることはあっても、
直接出向くことはなかった。
だが、流石に正式に結婚が決まったとなれば、ネイルが王であろうと、1度はラリイの国に出向き、義理の親になる、フェルオリアに挨拶しに行くのが常識だろう。
義理の兄になるアディリスとだって、決闘したまま、何もない。
ましてや、最初はラリイを強引に嫁にと要求した手前もあり、ネイルの印象はフェニキアにとっては最悪だと、もうわかりきっている。
それでも、ネイルは自分の誠意をわかって貰いたいと思った。
ラリイと今後、心から愛し合っていきたいから。
それには、妻になるラリイの祖国との関係も友好でありたいと、
強く願うようになった。
「ネイル・・・そんなに考えてくれてたんだ・・・凄く嬉しい。」
ラリイは、ネイルがそこまで真剣に今後もことも、考えていてくれた事に
喜ばずにはいられなかった。
「だけど、俺の印象はきっと最悪だよな・・・」
「うーん・・・そうだよね。父上も最初は、凄く怒ってたし。」
「だよな・・・俺が逆の立場でも怒ると思うわ。」
「うーん・・・困ったねぇ・・・」
2人でどうしたものかと悩み出す。ラリイとしては、ネイルが、
こんなにも自分の国に寄り添おうとしてくれているのなら、
どうにか、父と兄とも仲良くなって貰いたいものだと、
考えているのだが、いい案が思い浮かばない。
「誠意を見せるしかないよな。変に小細工なんかして、
ご機嫌取ろうとしたって、それは表面だけにしかならないだろうし。」
「うん、ネイルの言う通りだと思う。
お兄様もそういう、ご機嫌取りとか大嫌いだし。」
「だよな。俺も嫌いだ。表面ばっかりのやつ。」
「うふふ、だったら、ネイルはお兄様とすぐ仲良くなれそうだけどなぁー」
「そうか?だったら、嬉しんだけどな・・・」
2人は変に取り繕うのを止めようと決めた。
今のありのままの2人を見て貰おうと。
「後は、俺の代で、過去の確執が無くなればいいと思ってる。」
「あの、フェニおばちゃまの事?」
「うん。俺の親の代で、大分、フェニキアとは普通くらいの
関係にはなったみたいだけど、それでも人の付き合いで言えば、
知り合い程度だからな。ラリイの祖国なんだから、
俺はもっと大事な国として付き合っていきたいと思ってるよ。」
「ネイル・・・ありがとう。そこまで思ってくれて・・・」
ラリイはネイルの側に寄り、ネイルに寄り掛かった。
ネイルもラリイを抱き寄せる。
すっかり、2人は深い恋人になっていた。
お互いの気持ちがわかることが、こんなに素敵なことだった
なんてと、ラリイは嬉しくて仕方がない。
ただ、困ったことがあるとするなら、ネイルが少しラリイを
求めすぎてしまうことだろうか。
「キス以外は絶対に駄目!!!」
「ラリイ・・・うーん・・・」
夜になって、2人で一緒にいる時間も、かなり増えた。
ネイルも男だ。長年の想い人であったラリイを、どうしても、
急に襲いたくなる衝動が出てしまう。
だが、その度にラリイに言われてしまう。
キス以外は、初夜を迎えるまでは駄目だと。
「どうして、そこまでこだわるんだ。
そりゃ・・・ラリイは女だから、身体は大事だけど、
けど、それでも・・・」
「母上との約束なの!」
「母との?」
「うん。数少ない、母上との約束なの・・・大事なことは、
ちゃんとしてから、しなさいって・・・」
「む・・・確かに言われる通りだな。」
「ネイルの気持ちは、凄く嬉しいよ!
本当は答えてあげたいと思うよ・・・でも・・・でも」
ここでラリイは泣いてしまう。どっちもラリイには大事なのだ。
ネイルの気持ちも、母との約束も。
だから、ラリイも葛藤していた。
そんなラリイを見て、ネイルは欲望が収まる。
ラリイを傷つけたくて、抱きたいのではないのだから。
なら、もうすることは決まっている。
「早く、結婚式しなきゃな・・・」
しかし、2人には、やることがまだまだあった。