第六章「確認」
本当は反対だったが、仕方がなくネイルはラリイと、例の見世物小屋に入った。
薄暗い小屋の中には、鎖で繋がれた、可哀相な生き物達が
悲痛な声を上げていた。
中には、もうぐったりして動けないものさえいる。
余りにも悲惨な光景にラリイはネイルにしがみついて泣いた。
「可哀想だよ・・・ネイル・・・」
「ああ、そうだな。」
しがみつくラリイの手を握り、ネイルも同意する。
だから、連れて来たくなかったのだ。
ネイルも子供の頃に、好奇心で入ったことがあるが、その時も
いい気分のするものではなかったのを覚えている。
「ラリイ、もう出よう。ここに居ても、お前が傷つくだけだ。」
「で、でも、声がしたの・・・助けてって・・・」
「そりゃ・・・この光景を見たら、そう思うのも無理ないけど・・・」
悲しんでいるのに、ラリイは、どうしても、声がする存在が気になるらしい。
どうしたものかとネイルが困っていると、奥から、幼い声が聞こえる。
その声にラリイが素早く反応する。
「あの子だ!」
「え?」
ラリイはネイルから離れ、その声のする場所に向かう。
まるで何かに憑りつかれたような感じに、ネイルは戸惑う。
「ネイル!この子だよ!」
「こ、これは・・・」
ラリイが立ち止まった場所には、子供のドラゴンがピーピーと
悲しい声で鳴きながら、2人を見ていた。
ネイルはこのドラゴンを見て、すぐに見世物小屋の運営をしてる兎人を捕まえて、話を聞く。
「これは、ドラゴネス国の国竜ヴァルゥルゥタの子供じゃないのか?
確か、こういう扱いや、取引は禁止されてるはずだが?」
ネイルは鋭い視線で、その兎人に聞く、するとその兎人は自分は下っ端なので、よくわからないと誤魔化して、逃げた。
「ラリイは、こいつの声が聞こえたのか・・・」
「可哀想。お母さんに逢いたがってる・・・
どうにか出来ないかな・・・ネイル?」
「すぐにでも、どうにかしてやりたいが・・・
ここで変に騒ぎは起こせないからな・・・」
「あう・・・」
ネイルの言う事も最もなので、ラリイもそれ以上は
何も言えなくなってしまった。
変に騒ぎを起こせば、2人が王族なのもバレてしまう。
そしたら、事態はもっと良くない方向に向かう可能性もある。
悩んでいる2人の前に、でっぷりと太った兎人の男が、
何とも下品な愛想笑いで近づいてくる。
「おや?こちらの若いお2人様ですかな?当見世物小屋にケチをつけられているのは?」
「お前は?」
ネイルはラリイを庇うようにして、その太ってる兎人に聞く。
「私はここの見世物小屋を管理している者です。
ああ、貴方はドラゴネス国の方でしたか。
だから、お詳しいわけだ。」
太った兎人はネイルの姿を見て、勝手に解釈し、納得する。
「彼女の前でカッコいい姿を見せたい気持ちはわかりますが、
言いがかりは止めて頂きたいですな。
これは、ドラゴネス国の国竜に似てはいますが、全くの別の個体の
幼竜です。ほら?ここの説明書きにも書いてあるでしょ?」
太ってる兎人の男は、そう言って、注意書きの看板を杖で叩いてみせた。
確かに、そこにはドラゴネス国の国竜に似てる珍しい幼竜の展示と書いてある。
「ご理解いただけましたかな?何も違法性はないのです。なので、これ以上の言いかがりは迷惑です。とっとと出て行って貰えますかな?」
「わかった。済まなかった。すぐ出ていく。ラリイ行くぞ・・・」
「で、でも・・・」
「いいから・・・」
出ていくのを渋るラリイに、ネイルは強引にラリイを連れ出した。
あのまま、あそこに居ても、絶対に良い事はない。
ネイルは確信した。あの幼竜は、間違いなく本物の国竜だと。
「馬鹿にしやがって。何が似てるだ。
王族の俺が国竜を見分けできないとでも思ってんのか。
あの鱗の柄や、爪の形、間違いなく、我が国の象徴である国竜だ。
くそ、俺1人じゃ・・・せめて、ベアードかカミーラのどちらかが
居れば、すぐにこんな見世物小屋取り調べしてやるのに・・・」
「ネイル・・・」
「ラリイ、良く見つけてくれたな。有り難う。」
「でも、見つけてあげれたけど、まだ助けてあげれてないよ?」
ラリイは悲しそうにネイルに言う。
確かに見つけ出したが、すぐには助けられる状況ではない。
ネイルは悩んだ末に、とりあえず宿に戻ることを提案した。
今の2人では、ただの観光客であり、悲しいが何の力もないのだ。
薄暗い小屋の中には、鎖で繋がれた、可哀相な生き物達が
悲痛な声を上げていた。
中には、もうぐったりして動けないものさえいる。
余りにも悲惨な光景にラリイはネイルにしがみついて泣いた。
「可哀想だよ・・・ネイル・・・」
「ああ、そうだな。」
しがみつくラリイの手を握り、ネイルも同意する。
だから、連れて来たくなかったのだ。
ネイルも子供の頃に、好奇心で入ったことがあるが、その時も
いい気分のするものではなかったのを覚えている。
「ラリイ、もう出よう。ここに居ても、お前が傷つくだけだ。」
「で、でも、声がしたの・・・助けてって・・・」
「そりゃ・・・この光景を見たら、そう思うのも無理ないけど・・・」
悲しんでいるのに、ラリイは、どうしても、声がする存在が気になるらしい。
どうしたものかとネイルが困っていると、奥から、幼い声が聞こえる。
その声にラリイが素早く反応する。
「あの子だ!」
「え?」
ラリイはネイルから離れ、その声のする場所に向かう。
まるで何かに憑りつかれたような感じに、ネイルは戸惑う。
「ネイル!この子だよ!」
「こ、これは・・・」
ラリイが立ち止まった場所には、子供のドラゴンがピーピーと
悲しい声で鳴きながら、2人を見ていた。
ネイルはこのドラゴンを見て、すぐに見世物小屋の運営をしてる兎人を捕まえて、話を聞く。
「これは、ドラゴネス国の国竜ヴァルゥルゥタの子供じゃないのか?
確か、こういう扱いや、取引は禁止されてるはずだが?」
ネイルは鋭い視線で、その兎人に聞く、するとその兎人は自分は下っ端なので、よくわからないと誤魔化して、逃げた。
「ラリイは、こいつの声が聞こえたのか・・・」
「可哀想。お母さんに逢いたがってる・・・
どうにか出来ないかな・・・ネイル?」
「すぐにでも、どうにかしてやりたいが・・・
ここで変に騒ぎは起こせないからな・・・」
「あう・・・」
ネイルの言う事も最もなので、ラリイもそれ以上は
何も言えなくなってしまった。
変に騒ぎを起こせば、2人が王族なのもバレてしまう。
そしたら、事態はもっと良くない方向に向かう可能性もある。
悩んでいる2人の前に、でっぷりと太った兎人の男が、
何とも下品な愛想笑いで近づいてくる。
「おや?こちらの若いお2人様ですかな?当見世物小屋にケチをつけられているのは?」
「お前は?」
ネイルはラリイを庇うようにして、その太ってる兎人に聞く。
「私はここの見世物小屋を管理している者です。
ああ、貴方はドラゴネス国の方でしたか。
だから、お詳しいわけだ。」
太った兎人はネイルの姿を見て、勝手に解釈し、納得する。
「彼女の前でカッコいい姿を見せたい気持ちはわかりますが、
言いがかりは止めて頂きたいですな。
これは、ドラゴネス国の国竜に似てはいますが、全くの別の個体の
幼竜です。ほら?ここの説明書きにも書いてあるでしょ?」
太ってる兎人の男は、そう言って、注意書きの看板を杖で叩いてみせた。
確かに、そこにはドラゴネス国の国竜に似てる珍しい幼竜の展示と書いてある。
「ご理解いただけましたかな?何も違法性はないのです。なので、これ以上の言いかがりは迷惑です。とっとと出て行って貰えますかな?」
「わかった。済まなかった。すぐ出ていく。ラリイ行くぞ・・・」
「で、でも・・・」
「いいから・・・」
出ていくのを渋るラリイに、ネイルは強引にラリイを連れ出した。
あのまま、あそこに居ても、絶対に良い事はない。
ネイルは確信した。あの幼竜は、間違いなく本物の国竜だと。
「馬鹿にしやがって。何が似てるだ。
王族の俺が国竜を見分けできないとでも思ってんのか。
あの鱗の柄や、爪の形、間違いなく、我が国の象徴である国竜だ。
くそ、俺1人じゃ・・・せめて、ベアードかカミーラのどちらかが
居れば、すぐにこんな見世物小屋取り調べしてやるのに・・・」
「ネイル・・・」
「ラリイ、良く見つけてくれたな。有り難う。」
「でも、見つけてあげれたけど、まだ助けてあげれてないよ?」
ラリイは悲しそうにネイルに言う。
確かに見つけ出したが、すぐには助けられる状況ではない。
ネイルは悩んだ末に、とりあえず宿に戻ることを提案した。
今の2人では、ただの観光客であり、悲しいが何の力もないのだ。