第六章「確認」
温泉街のことを、女将は他の仕事もあって、忙しい立場であろうにも
関わらず、嫌な顔もせずに、丁寧にラリイに教えてくれた。
ラリイは、どの話も感心して聞くばかりだった。
他国には、それなりに行ったことがあるラリイでも、この温泉街の
独自の文化は、初めて知ることばかりだった。
「では、後の事はネイル様に聞かれるといいでしょう。」
大体の話は済んだのか、浴衣の着付けをしてくれた女将は、
穏やかな表情でラリイに言う。
ラリイも尽かさずにお礼を言うと、女将は笑顔でラリイの部屋から出ていき、次の仕事に向かった。
「ラリイ?話は終わったか?」
女将が出ていくのを感じたネイルは、ラリイの部屋に声を掛ける。
「うん!今終わったよ!」
「じゃ・・・部屋に入っても大丈夫か?」
「うん!大丈夫だよ!」
ラリイは笑顔で自分の部屋にネイルを出迎える。
部屋に入る途中でネイルはラリイを見て、一瞬立ち止まった。
「ん?どうしたの?」
動きが止まるネイルにラリイは不思議そうにする。
「あ、いや。何でもない。」
ラリイに見惚れてしまったとは言えず、ネイルはその場を誤魔化す。
薄いエメラルドグリーンの生地に、控えめな花柄の浴衣姿のラリイを見て、
ネイルはいいなと素直に思ってしまったのだ。
だが、恥ずかしさのあまり、咄嗟に可愛いとか、似合ってるとは
言えなかった。
「この服、面白いね!初めて着たけど、ゆったりしてて着やすい!
後、この浴衣は女将さんが選んでくれたんだ♪どうかな?」
ラリイは無邪気にネイルに尋ねる。ネイルは照れながら目線をずらして、
いいんじゃないか?とだけ、何とか答えた。
「ネイルも浴衣なんだ!あんまり見たことがない青色だけど、凄く似合ってって、カッコいいよ♪」
「そうか・・・ならいいけど。」
無邪気なラリイの感想に、ネイルは嬉しいながらも、苦笑いで
答えてしまった。
お互い準備も整い、ラリイ達は温泉街でまず観光することにした。
ラリイには見たこともない、食事やお土産などをネイルが、
そっと教える。
「ここの店の温泉まんじゅうってスイーツがあるんだけど、
美味いから、後で食べてみたらいいぞ。」
「へぇー」
「あ、温泉街限定ウサちゃんシリーズの店あるから、帰りに寄るか?」
「うん!行く!絶対に寄りたい!」
「アハハ、はいはい。わかった。」
2人のやり取りはどう見ても、恋人か、すでに夫婦のような雰囲気だった。
温泉街には他にもカップルの獣人達があちらこちらにいた。
2人は上手く、その雰囲気に紛れ、とても王と王女の様には
見えない感じに誤魔化せていた。
「にしても、ネイルは何で、そんなにここに詳しいの?」
ラリイは疑問に思っていた事をネイルに素直に聞いた。
「ん?あ、俺は小さい頃から、お忍びで家族とココに来てるからな。」
「そうだったんだ。」
「あの宿も、実は王族御用達の宿なんだ。古びた感じあるかもしれないけど、実は結構凄い宿なんだぞ?」
「へぇーそうなんだね。」
小さい声で二人はひそひそとやり取りをする。
「さて、そろそろ宿に帰るか・・・」
「ネイル!あの小屋って何?」
「うん?あ、あれか・・・そこは・・・」
ラリイの指差した小屋を見て、ネイルは顔を歪めた。
「見世物小屋って言って、珍しい世界の生き物を集めて、
観光客に見せる場所だ。でも、ラリイには・・・」
「え?」
「いや、あそこはやめよう。素性の良くない者も多い場所だし、
ラリイを危険に晒すかもしれないからな。」
「そっか・・・」
ネイルは何とかラリイを留めた。
温泉街にある、観光の1つの見世物小屋はすべてとは言わないが、
一部の場所では、良くない取引を行っていたり、いかがわしい場所
になっていたりする所もある。
そして、良くない見世物小屋で扱われてる生き物達の扱いは残酷だ。
芸を見せる為に、客を喜ばせる為に不必要に鞭を振るわれたり、
虐待に近い行為を日々されているのだ。
そんな光景をネイルはラリイには見せたくなかった。
心優しいラリイが傷つくのは目に見えている。
だから、行くのを諦めてくれただろうと思っていたら・・・
「?!」
ラリイは何かを感じたのか、いきなり行くのを止めようと言った、
見世物小屋に近づいていく。
「お、おい!ラリイ!なんで、そっちに行くんだ!」
ネイルは慌てて、ラリイを追いかける。
ラリイは追いついたネイルに言う。
「ここから、助けてって声が聞こえるの・・・」
「え?」
ネイルはラリイの言う事に唖然とした。
やはり、この見世物小屋は良くない方の見世物小屋らしい。
関わらず、嫌な顔もせずに、丁寧にラリイに教えてくれた。
ラリイは、どの話も感心して聞くばかりだった。
他国には、それなりに行ったことがあるラリイでも、この温泉街の
独自の文化は、初めて知ることばかりだった。
「では、後の事はネイル様に聞かれるといいでしょう。」
大体の話は済んだのか、浴衣の着付けをしてくれた女将は、
穏やかな表情でラリイに言う。
ラリイも尽かさずにお礼を言うと、女将は笑顔でラリイの部屋から出ていき、次の仕事に向かった。
「ラリイ?話は終わったか?」
女将が出ていくのを感じたネイルは、ラリイの部屋に声を掛ける。
「うん!今終わったよ!」
「じゃ・・・部屋に入っても大丈夫か?」
「うん!大丈夫だよ!」
ラリイは笑顔で自分の部屋にネイルを出迎える。
部屋に入る途中でネイルはラリイを見て、一瞬立ち止まった。
「ん?どうしたの?」
動きが止まるネイルにラリイは不思議そうにする。
「あ、いや。何でもない。」
ラリイに見惚れてしまったとは言えず、ネイルはその場を誤魔化す。
薄いエメラルドグリーンの生地に、控えめな花柄の浴衣姿のラリイを見て、
ネイルはいいなと素直に思ってしまったのだ。
だが、恥ずかしさのあまり、咄嗟に可愛いとか、似合ってるとは
言えなかった。
「この服、面白いね!初めて着たけど、ゆったりしてて着やすい!
後、この浴衣は女将さんが選んでくれたんだ♪どうかな?」
ラリイは無邪気にネイルに尋ねる。ネイルは照れながら目線をずらして、
いいんじゃないか?とだけ、何とか答えた。
「ネイルも浴衣なんだ!あんまり見たことがない青色だけど、凄く似合ってって、カッコいいよ♪」
「そうか・・・ならいいけど。」
無邪気なラリイの感想に、ネイルは嬉しいながらも、苦笑いで
答えてしまった。
お互い準備も整い、ラリイ達は温泉街でまず観光することにした。
ラリイには見たこともない、食事やお土産などをネイルが、
そっと教える。
「ここの店の温泉まんじゅうってスイーツがあるんだけど、
美味いから、後で食べてみたらいいぞ。」
「へぇー」
「あ、温泉街限定ウサちゃんシリーズの店あるから、帰りに寄るか?」
「うん!行く!絶対に寄りたい!」
「アハハ、はいはい。わかった。」
2人のやり取りはどう見ても、恋人か、すでに夫婦のような雰囲気だった。
温泉街には他にもカップルの獣人達があちらこちらにいた。
2人は上手く、その雰囲気に紛れ、とても王と王女の様には
見えない感じに誤魔化せていた。
「にしても、ネイルは何で、そんなにここに詳しいの?」
ラリイは疑問に思っていた事をネイルに素直に聞いた。
「ん?あ、俺は小さい頃から、お忍びで家族とココに来てるからな。」
「そうだったんだ。」
「あの宿も、実は王族御用達の宿なんだ。古びた感じあるかもしれないけど、実は結構凄い宿なんだぞ?」
「へぇーそうなんだね。」
小さい声で二人はひそひそとやり取りをする。
「さて、そろそろ宿に帰るか・・・」
「ネイル!あの小屋って何?」
「うん?あ、あれか・・・そこは・・・」
ラリイの指差した小屋を見て、ネイルは顔を歪めた。
「見世物小屋って言って、珍しい世界の生き物を集めて、
観光客に見せる場所だ。でも、ラリイには・・・」
「え?」
「いや、あそこはやめよう。素性の良くない者も多い場所だし、
ラリイを危険に晒すかもしれないからな。」
「そっか・・・」
ネイルは何とかラリイを留めた。
温泉街にある、観光の1つの見世物小屋はすべてとは言わないが、
一部の場所では、良くない取引を行っていたり、いかがわしい場所
になっていたりする所もある。
そして、良くない見世物小屋で扱われてる生き物達の扱いは残酷だ。
芸を見せる為に、客を喜ばせる為に不必要に鞭を振るわれたり、
虐待に近い行為を日々されているのだ。
そんな光景をネイルはラリイには見せたくなかった。
心優しいラリイが傷つくのは目に見えている。
だから、行くのを諦めてくれただろうと思っていたら・・・
「?!」
ラリイは何かを感じたのか、いきなり行くのを止めようと言った、
見世物小屋に近づいていく。
「お、おい!ラリイ!なんで、そっちに行くんだ!」
ネイルは慌てて、ラリイを追いかける。
ラリイは追いついたネイルに言う。
「ここから、助けてって声が聞こえるの・・・」
「え?」
ネイルはラリイの言う事に唖然とした。
やはり、この見世物小屋は良くない方の見世物小屋らしい。