このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第四章「友情」

「メディーナが来るだって?!」

政務室でネイルの悲鳴にも近い声が響く。
今日の仕事もやっと終わって、ゆっくりしようとしていた矢先に、
カミーラから、報告を受けたのだ。

「ええ、姉上がその・・・数日程、城に滞在したいそうで。
どうやら、ラリイ様に会ってみたいらしく・・・」

カミーラも、少し困惑気味にネイルに言う。
メディーナはカミーラの姉にあたる竜人の女性だ。
ドラゴネス国で、3本の指には入ると言われるほどの、
絶世の美女と言われており、結婚もまだしてないことから、
婚約の話も後を絶たない。
加えて、ネフィリートの様に高い魔力もあり、高い教養もありで、
完璧な女性と言うイメージが強い。
だが、それはあくまで一般人のイメージ。
メディーナと関りがある者には、恐怖の女性と言ったイメージの方が強い。
とにかく、傲慢。言いたいことは、はっきり言う。
口で相手を打ち負かすのが得意。稀に手を上げることもあり。
だからと言って、立ち回るのが上手いので、誰かに恨みを買う事もない。
ネイルは子供の頃に、散々、メディーナにいじめられたことも
あって、かなりのトラウマがある。
女性が苦手になったのは、このメディーナの所為でも一部ある。
カミーラも姉の我が儘や、無理難題に子供の頃から
つき合わされていたので、正直、今でも姉が苦手だった。

「ネイルもそうだけど、あんたもいつ結婚するわけ?」
「それは、姉上には関係ないでしょ・・・」
「あるわよ!私の義理の妹になる子でしょ!!
可愛くない上に、性格も最悪だったら、絶対に別れさせるからね?」

と、カミーラとの一部の会話からでも、こんな感じの女性である。
そんなメディーナが、ラリイに会いたがっていると言うのだから、
ネイルにしても、カミーラにしても、不安しかない。

「どうにか、来させない方法はないのか?」
「それがあると思いますか?
ネイルなら、姉上の性格・・・知ってるでしょ?」
「うーん・・・」

2人が政務室で悩んでいると、そのメディーナがひょっこりと顔を出した。
あまりの登場の速さに2人は男だと言うのに、悲鳴を上げた。

「ちょっと!何その態度!!私が伺うって聞いてたはずでしょ!!!」

2人の対応にメディーナが怒って、ずかずかと政務室に入って来る。

「ははーん。さては、また2人で私の悪口でも言ってたのかしら?
後ろめたさそうな顔してるもんね。
本当、男の癖に情けないったら、ありゃしない。
だから、未だに結婚どころか、恋人もいないのよ。」

そう言いながら、メディーナが二人を睨む。

「お前もだろうが!」
「姉上もでしょうが!」

と、ネイルも、カミーラも突っ込みたいところだが、言葉を飲み込んだ。
もし、これでそんなことを言おうものなら、今後どうなるか、
自分達が一番よくわかっているからだ。
不満そうにしてる二人を尻目に、メディーナは急に上機嫌になり、
鼻歌を歌いだす。

「まーこんな、情けない男供は相手にしてないで、
最近、噂のラリイ王女様に会いに行こうっと♪」

ネイルは心底不安になった、メディーナは同性にも容赦がない女だ。
ラリイをいじめたりしないだろうか?
それだけが心配だった。
5/7ページ
スキ