第四章「友情」
「それで?婚姻の試練の儀はどうするんですか?」
政務室でカミーラはネイルを軽く睨んで言う。
「すまん・・・まだ、その話は出来なかった。」
「はぁ・・・」
カミーラは深い溜息をついて、呆れたようにする。
「ラリイ様本人が、滞在を望まれているとは言え、ネイルも、
いい加減にしっかりして下さい。
ラリイ様は結婚適齢期の王族の女性ですよ?
こんなところで飼い殺すようなことをし続けたら、
ドラゴネス国の悪評が広がりますよ?」
「わ、わかってる。わかってるけど・・・」
「だから、心配だったんですよ・・・ネイルは不器用だからー」
「そんな風に責めるなよな!しょうがないだろ!」
カミーラに責められ、慌ててるネイルに、ベアードが
嬉しそうに、こう言う。
「いやー最近、いい雰囲気らしいし、このまま婚姻の試練の儀を
しちゃえばいいんじゃないか?」
「はぁ?何を言ってるんですか?ベアード。」
「そうだぞ!それにラリイには・・・」
ネイルは何かを言いかけて、止めた。
「クルクスがいるだろう。」と。
あんな仲睦まじい姿を見て、ラリイがクルクスを好きなのは目に
見てるではないか。
いずれは国戻り、クルクスと結婚すればいい。
だから、ラリイは慌てて、帰る必要がないのだろうと、ネイルは思った。
「なぁ・・・ネイル、本当にラリイ王女の事、諦めるのか?」
ベアードは神妙な顔でネイルに尋ねる。
「諦めるも何も、元々、結婚する気はないって、俺は伝えてあるし。」
「それは最初だろ?」
「今だって、それは・・・変わらない・・・つもりだ。」
「はぁーーーーー」
カミーラに続いて、ベアードも深い溜息をわざとつく。
「どうして、あの場面で友人なんだよなぁ・・・
あそこで、恋人か婚約者か、そういうのを申し込むだろ・・・
本当にお前は奥手なんだよなぁ・・・」
「おい!勝手に俺がラリイを好きだ、みたいな流れで言うな!!」
「ふーーーーん」
「なんだ!その顔は!!!」
ネイルは、からかってくるベアードに顔を真っ赤にして怒る。
二人のやりとりにカミーラはまた溜息をついて呆れる。
「ネイル・・・まさかと思いますけど、今でも、初恋の人としか、結婚する気ないと思ってませんね?」
「な、なんでだよ・・・」
「カミーラ、この顔は今でもそうだぞ。」
「う、うるさい!結婚は俺がするんだ!
お前達であっても、何も言わさないからな!」
「はぁー」
「はぁー」
「そういう時だけ、仲良く、一緒に溜息つくな!!!」
こうなるから、ネイルはこの話が嫌いなのだ。
実は、ネイルは初恋であり、恩人でもある、ある女の子としか
結婚する気がなかったのだ。
苦しい時に自分を慰めてくれた、同い年くらいの女の子。
無理矢理、ウサちゃんシリーズのうさぎのぬいぐるみを押し付けて来て、貸してあげると言われ、慰めて来た、不思議な子。
だが、顔はうろ覚えで、しっかり思い出せない。
なんせ、1度しか出逢えなかったからだ。
誰に聞いても、そんな女の子は知らないと言って教えてくれない。
だけど、借りた、うさぎのぬいぐるみを頼りに、彼女を探そうとしたが、今でもわからない状態だった。
だから、ウサちゃんファン同士でも有名だった、ラリイにも
聞いてみたのだが、ラリイでも、そのウサギの存在は知らないらしい。
カミーラには、そんな女の子は存在しないのでは?とさえ、
言われて、最近はネイルも諦めるしかないのかと、思い始めてはいた。
ただ、それでもなんか諦めたくなかったのだ。
この気持ちだけは、誰にもわかって貰えないだろう。
でも、ネイルはこの思いは信念に近いものがあった。
政務室でカミーラはネイルを軽く睨んで言う。
「すまん・・・まだ、その話は出来なかった。」
「はぁ・・・」
カミーラは深い溜息をついて、呆れたようにする。
「ラリイ様本人が、滞在を望まれているとは言え、ネイルも、
いい加減にしっかりして下さい。
ラリイ様は結婚適齢期の王族の女性ですよ?
こんなところで飼い殺すようなことをし続けたら、
ドラゴネス国の悪評が広がりますよ?」
「わ、わかってる。わかってるけど・・・」
「だから、心配だったんですよ・・・ネイルは不器用だからー」
「そんな風に責めるなよな!しょうがないだろ!」
カミーラに責められ、慌ててるネイルに、ベアードが
嬉しそうに、こう言う。
「いやー最近、いい雰囲気らしいし、このまま婚姻の試練の儀を
しちゃえばいいんじゃないか?」
「はぁ?何を言ってるんですか?ベアード。」
「そうだぞ!それにラリイには・・・」
ネイルは何かを言いかけて、止めた。
「クルクスがいるだろう。」と。
あんな仲睦まじい姿を見て、ラリイがクルクスを好きなのは目に
見てるではないか。
いずれは国戻り、クルクスと結婚すればいい。
だから、ラリイは慌てて、帰る必要がないのだろうと、ネイルは思った。
「なぁ・・・ネイル、本当にラリイ王女の事、諦めるのか?」
ベアードは神妙な顔でネイルに尋ねる。
「諦めるも何も、元々、結婚する気はないって、俺は伝えてあるし。」
「それは最初だろ?」
「今だって、それは・・・変わらない・・・つもりだ。」
「はぁーーーーー」
カミーラに続いて、ベアードも深い溜息をわざとつく。
「どうして、あの場面で友人なんだよなぁ・・・
あそこで、恋人か婚約者か、そういうのを申し込むだろ・・・
本当にお前は奥手なんだよなぁ・・・」
「おい!勝手に俺がラリイを好きだ、みたいな流れで言うな!!」
「ふーーーーん」
「なんだ!その顔は!!!」
ネイルは、からかってくるベアードに顔を真っ赤にして怒る。
二人のやりとりにカミーラはまた溜息をついて呆れる。
「ネイル・・・まさかと思いますけど、今でも、初恋の人としか、結婚する気ないと思ってませんね?」
「な、なんでだよ・・・」
「カミーラ、この顔は今でもそうだぞ。」
「う、うるさい!結婚は俺がするんだ!
お前達であっても、何も言わさないからな!」
「はぁー」
「はぁー」
「そういう時だけ、仲良く、一緒に溜息つくな!!!」
こうなるから、ネイルはこの話が嫌いなのだ。
実は、ネイルは初恋であり、恩人でもある、ある女の子としか
結婚する気がなかったのだ。
苦しい時に自分を慰めてくれた、同い年くらいの女の子。
無理矢理、ウサちゃんシリーズのうさぎのぬいぐるみを押し付けて来て、貸してあげると言われ、慰めて来た、不思議な子。
だが、顔はうろ覚えで、しっかり思い出せない。
なんせ、1度しか出逢えなかったからだ。
誰に聞いても、そんな女の子は知らないと言って教えてくれない。
だけど、借りた、うさぎのぬいぐるみを頼りに、彼女を探そうとしたが、今でもわからない状態だった。
だから、ウサちゃんファン同士でも有名だった、ラリイにも
聞いてみたのだが、ラリイでも、そのウサギの存在は知らないらしい。
カミーラには、そんな女の子は存在しないのでは?とさえ、
言われて、最近はネイルも諦めるしかないのかと、思い始めてはいた。
ただ、それでもなんか諦めたくなかったのだ。
この気持ちだけは、誰にもわかって貰えないだろう。
でも、ネイルはこの思いは信念に近いものがあった。