第三章「確執」
城下町と城が、夕闇に染まる。
そうして、予測していた通りに敵は進軍して来た。
不気味な唸り声が、大波の様に、ドドドと押し寄せて、
ドートレスの軍に操られたアンデット達が城を取り囲もうとして、
一直線に向かって来る。
ゾンビ、ゴースト、骸骨兵と様々なアンデット達がいる。
ベアードが率いる、第二軍は、正門でまず何とか、アンデット達を
食い止めとする。
激しい戦いの音が鳴り響く、しかし、アンデットは不死な者達の為、一時的にしか倒すことが出来ず、すぐに復活してしまう。
ゴーストに至っては、こちらの物理攻撃は効かないのに、
精神攻撃をしてきて、兵士達を混乱させる。
苦戦を強いられそうな状況だと誰もが思って戦っていた。
「ラリイ様!音楽の準備は出来ました!」
「わかりました!じゃ、始めます!」
大鎮魂歌を歌うのに最低限の演奏者を集め、ラリイ達は待機していた。
そして、ネフィリートからの合図で、ラリイ達は大鎮魂歌を歌い始める。
ラリイの声は、普段なら届かない、正門まで、徐々に音量が
上がりつつ、どんどん届くようになる。
「こ、これが大鎮魂歌なのか?」
ベアードはアンデット達と戦いながら、ラリイの歌声を聞く。
ラリイの声が遠くまで響くのは、ネフィリートの魔法によるものだ。
正門で戦っている者、すべてにこの歌声がしっかり聞こえるようになった頃、
アンデット達に次々と異変が起こる。
まずゴースト達が除霊され、ゾンビは灰になり、骸骨兵は、動かぬ骸に戻る。
他のアンデット達も、苦しみ出して、戦いにならないものも出てくる。
「こんなにも効果があるものなんですか?!」
第3軍で指揮をしているカミーラが、想像以上の効果に驚く。
いくら、ネフィリートの魔法の力を追加されてるとは言え、
ここまで効果が出るものなだろうか?
だが、それでも、アンデットの数が多いのもあり、すべてのアンデットに効果が出るのは、もう少し時間がかかりそうだった。
正門から、城下町へ流れるアンデット達を、今度はカミーラが引き留める。
「出来る限り、ここで敵を食い止めろ!城には入れるな!」
「おお!!」
カミーラの叫びに、カミーラの部下も応える。
城下町の民も戦える者は戦いに参加する。
塩や聖水を撒いたり、アンデット達が嫌う、聖火をつけられる家は次々とつけていく。
除霊効果のあるお香の匂いなども漂ってくる。
「おばあ様の知恵はやっぱり凄いな。それから、ラリイも。」
第1軍のネイルは少数精鋭の信頼出来る部下だけで構成し、ゴートレス伯爵を探す為に、馬を走らせ動き回る。
ゴートレス軍の主戦力はアンデット達だから、ゴートレス伯爵自身の軍は、そんなに人数が居ないだろうと予測された。
ラリイの歌の力で、アンデット達を抑え込めてる今のうちに、
ネイルはゴートレスを見つけ出し、討たなければならない。
その時間は30分あるかないかだ。
「絶対に見つけてやるからな!ゴートレス!!」
ネイルは大声を上げながら、次々と敵を倒していく。
ネイルは心底怒っていた。
こんなに他者に怒りを感じるは久しぶりだった。
前から、様々の者に命を狙われたことはあったが、それでも、
今回のゴートレスほど、憎いと思った者はいない。
ネイルの瞳にはゴートレスを倒すと言う強い決意があった。
「ど、ど、ど、どうなってるんだ!これは!!!
あの歌は何なのだ?!」
城の近くの森で、中年の竜人の貴族らしい男が、黒いフードを被った数人の魔術師達に怒鳴り散らしていた。
「聞いてる話と違うではないか!
お前達は、自分達の用意するアンデットさえあれば、この国は、
教会の力も弱いので、制圧するのは簡単などと言っていたではないか!!」
「そのつもりだった。
だが、まさか、あのフェニキアの歌姫が滞在していたと言う報告は
聞いてないぞ?」
「あ?あんな鳥人の小娘が1人何だと言うのだ?」
「お前は何も知らぬのかもしれんが、あの者は、不死鳥フェニックスを祖とする種族の者。故にアンデットなどを扱う、我々にとっては最大の天敵。
あの大鎮魂歌が、あの者に歌われている限り、アンデットはろくに機能しないだろう。」
「そ、そんな馬鹿な・・・」
「お前の情報の提供不足だ、我々はお前との契約を打ち切る。」
「ふざけるな!あれだけの大金をせしめるだけ、
せしめて、逃げると言うのか!!」
「どうとでも思え。我々は巻き添えになるのだけはごめんだ。
アンデット達だけは残してやる。後はお前だけで頑張るのだな。」
黒いフードの魔術師達は、最後にそう吐き捨てて、ゴートレスだけを残して、闇に消えた。
「クソ!あの鳥人の小娘さえいなければ、私の計画は
完璧だったはずなのに!!
殺してやる!あの女だけは絶対に私が殺してやる!!」
怒りに燃えた、ゴートレスは、自身の少人数の軍を連れて、城に忍び込んだ。
そして、ラリイを暗殺しようと、城の中を探し始める。
ラリイに危機が迫っていた。
そうして、予測していた通りに敵は進軍して来た。
不気味な唸り声が、大波の様に、ドドドと押し寄せて、
ドートレスの軍に操られたアンデット達が城を取り囲もうとして、
一直線に向かって来る。
ゾンビ、ゴースト、骸骨兵と様々なアンデット達がいる。
ベアードが率いる、第二軍は、正門でまず何とか、アンデット達を
食い止めとする。
激しい戦いの音が鳴り響く、しかし、アンデットは不死な者達の為、一時的にしか倒すことが出来ず、すぐに復活してしまう。
ゴーストに至っては、こちらの物理攻撃は効かないのに、
精神攻撃をしてきて、兵士達を混乱させる。
苦戦を強いられそうな状況だと誰もが思って戦っていた。
「ラリイ様!音楽の準備は出来ました!」
「わかりました!じゃ、始めます!」
大鎮魂歌を歌うのに最低限の演奏者を集め、ラリイ達は待機していた。
そして、ネフィリートからの合図で、ラリイ達は大鎮魂歌を歌い始める。
ラリイの声は、普段なら届かない、正門まで、徐々に音量が
上がりつつ、どんどん届くようになる。
「こ、これが大鎮魂歌なのか?」
ベアードはアンデット達と戦いながら、ラリイの歌声を聞く。
ラリイの声が遠くまで響くのは、ネフィリートの魔法によるものだ。
正門で戦っている者、すべてにこの歌声がしっかり聞こえるようになった頃、
アンデット達に次々と異変が起こる。
まずゴースト達が除霊され、ゾンビは灰になり、骸骨兵は、動かぬ骸に戻る。
他のアンデット達も、苦しみ出して、戦いにならないものも出てくる。
「こんなにも効果があるものなんですか?!」
第3軍で指揮をしているカミーラが、想像以上の効果に驚く。
いくら、ネフィリートの魔法の力を追加されてるとは言え、
ここまで効果が出るものなだろうか?
だが、それでも、アンデットの数が多いのもあり、すべてのアンデットに効果が出るのは、もう少し時間がかかりそうだった。
正門から、城下町へ流れるアンデット達を、今度はカミーラが引き留める。
「出来る限り、ここで敵を食い止めろ!城には入れるな!」
「おお!!」
カミーラの叫びに、カミーラの部下も応える。
城下町の民も戦える者は戦いに参加する。
塩や聖水を撒いたり、アンデット達が嫌う、聖火をつけられる家は次々とつけていく。
除霊効果のあるお香の匂いなども漂ってくる。
「おばあ様の知恵はやっぱり凄いな。それから、ラリイも。」
第1軍のネイルは少数精鋭の信頼出来る部下だけで構成し、ゴートレス伯爵を探す為に、馬を走らせ動き回る。
ゴートレス軍の主戦力はアンデット達だから、ゴートレス伯爵自身の軍は、そんなに人数が居ないだろうと予測された。
ラリイの歌の力で、アンデット達を抑え込めてる今のうちに、
ネイルはゴートレスを見つけ出し、討たなければならない。
その時間は30分あるかないかだ。
「絶対に見つけてやるからな!ゴートレス!!」
ネイルは大声を上げながら、次々と敵を倒していく。
ネイルは心底怒っていた。
こんなに他者に怒りを感じるは久しぶりだった。
前から、様々の者に命を狙われたことはあったが、それでも、
今回のゴートレスほど、憎いと思った者はいない。
ネイルの瞳にはゴートレスを倒すと言う強い決意があった。
「ど、ど、ど、どうなってるんだ!これは!!!
あの歌は何なのだ?!」
城の近くの森で、中年の竜人の貴族らしい男が、黒いフードを被った数人の魔術師達に怒鳴り散らしていた。
「聞いてる話と違うではないか!
お前達は、自分達の用意するアンデットさえあれば、この国は、
教会の力も弱いので、制圧するのは簡単などと言っていたではないか!!」
「そのつもりだった。
だが、まさか、あのフェニキアの歌姫が滞在していたと言う報告は
聞いてないぞ?」
「あ?あんな鳥人の小娘が1人何だと言うのだ?」
「お前は何も知らぬのかもしれんが、あの者は、不死鳥フェニックスを祖とする種族の者。故にアンデットなどを扱う、我々にとっては最大の天敵。
あの大鎮魂歌が、あの者に歌われている限り、アンデットはろくに機能しないだろう。」
「そ、そんな馬鹿な・・・」
「お前の情報の提供不足だ、我々はお前との契約を打ち切る。」
「ふざけるな!あれだけの大金をせしめるだけ、
せしめて、逃げると言うのか!!」
「どうとでも思え。我々は巻き添えになるのだけはごめんだ。
アンデット達だけは残してやる。後はお前だけで頑張るのだな。」
黒いフードの魔術師達は、最後にそう吐き捨てて、ゴートレスだけを残して、闇に消えた。
「クソ!あの鳥人の小娘さえいなければ、私の計画は
完璧だったはずなのに!!
殺してやる!あの女だけは絶対に私が殺してやる!!」
怒りに燃えた、ゴートレスは、自身の少人数の軍を連れて、城に忍び込んだ。
そして、ラリイを暗殺しようと、城の中を探し始める。
ラリイに危機が迫っていた。