第三章「確執」
戦いの当日がついに来た。
朝から、城も町も教会も、兵士や、民が入り混じって、大騒ぎだった。
2日前に急遽、戦いになると宣言されたのだ、多くの人々が突然のことに
集団パニックになりそうになったが、ネフィリートの機転や、
カミーラの明確な指示、ベアードの部下への喝など、色々なとこで
適切に対応出来た為に、大きな混乱を招くことはなかった。
そして、民にとって、やはり教会の存在は大きかった。
アンデットに対抗する為の教会の活動を知った者達は、
普段から信仰がない者であっても、今回の戦いの為に、自分達で
出来ることは皆協力していたのだ。
おかげで、ネフィリート達でさえ、想像出来ぬ以上の準備が出来ただろう。
「たぶん、アンデット達の力が強まる、夕方から夜が、総攻撃の開始だろうな。」
政務室に居た3人。
ネイルの言葉に、ベアード、カミーラが頷く。
ネフィリートが言うには、ドートレスは自分の力を誇示する為に、正門から、正々堂々とアンデット達を引き連れて、攻めてくるだろうと予測していた。
「アンデット使ってる時点で正々堂々とか言うのか?」
ベアードは苦笑いする。
後はこちらの動きをどれほど、相手が知っているかだ。
「今回は内部スパイしてそうな奴は徹底的にやってやりましたけど、いいんですよね?」
「いいだろう。今回は他国からの客人もいるのに、喧嘩仕掛けてきたんだからな。」
カミーラの言葉にネイルは何の罪悪感も感じずに答えた。
「ラリイの方は?」
「ラリイ王女の方はもういつでも準備出来てるそうだ。」
ベアードが部下から聞いた報告をネイルにする。
一言くらい声を掛けるべきか・・・ネイルが悩んでいると、
ベアードすぐにそれに気づき、ネイルに言う。
「何か言いたいことがあるなら、今のうちらしいぞ?」
「そうか、わかった、ちょっと行ってくる。」
ベアードの言葉を聞いて、ネイルはすぐにラリイの所へ向かう。
こんなにも迷惑をかけるのだ、流石に何か言うべきだろうと
ネイルは思った。
ラリイは城の屋上庭園に居た。
庭園の中央にあたる場所には大きな魔法陣が描かれており、
周りには決まった数の聖火が焚かれている。
その魔法陣の中心でラリイは瞑想していた。
声を掛けていいものかどうか悩んでいたネイルに、ラリイは気づく。
「あ、ネイル様。準備はいいんですか?」
「ああ、こっちは大丈夫だ。ラリイの方は?」
「はい、私の方も大丈夫です。」
いつものドレスとは違く、ラリイは聖歌隊が着る衣装を着ていた。
ただ、たぶんラリイ専用のだろう。
変なドレスを着るよりも、ラリイが美しく見える。
ネイルは思わず、ぼーっとしてラリイを見つめてしまった。
「どうしました?」
そんなネイルにラリイは不思議そうに見る。
ネイルは慌てて、首を振り、何でもない。と答えた。
少しの沈黙した後で、ネイルは口を開く。
「ラリイ・・・本当にすまない。今回、巻き込んでしまって。」
ネイルはどうしても、謝りたくて、ここに来たのだ。
嫁いで欲しいなんて言いながら、呼び寄せておいて、結婚することもなく、今日まで経ってしまったのだ。
いくらでも、今日と言う日を回避できるチャンスはあったのに。
「そんなに謝らないで下さい。」
ネイルの謝罪を聞いて、ラリイは静かに微笑んだ。
「今回、お手伝いすることにしたのは、私の意志です。
もし私に何があっても、ネイル様が罪悪感とか感じる必要はないです。」
「だが、そう言われても・・・」
「なら、一つだけ・・・」
ラリイは少しだけ頬を赤く染めて、ネイルに告げる。
「この戦いが無事に終わったら、改めて、お友達になってくれますか?」
「え?」
ラリイの突然の申し入れにネイルは驚く。
こんな状況で自分を恨むどころか、友達になって欲しいと?
ネイルは一瞬、混乱しそうになったが、ラリイは穏やかな顔を
して、ネイルを見守っている。ネイルは決心した。
「わかった、正式な形で友人になって貰えるように、俺から申し込む。」
「本当ですか?」
「嘘はつかない。こんなにまで、俺の国で頑張ってくれてる
ラリイに、俺は絶対に報いる。」
「ありがとうございます。ネイル様。」
ラリイは嬉しそうにネイルに笑顔を向ける。
そして、これ以上はラリイの瞑想の邪魔しないようにと、
ネイルはこの場を離れることにした。
「友達になったら、絶対にその時は・・・
俺の事、ちゃんと様付けじゃなくて、ネイルって言うようにしろよ・・・」
ネイルは最後の最後でそれだけ伝えて、ラリイと別れた。
それを聞いて、ラリイは少しだけ嬉し泣きしてしまった。
朝から、城も町も教会も、兵士や、民が入り混じって、大騒ぎだった。
2日前に急遽、戦いになると宣言されたのだ、多くの人々が突然のことに
集団パニックになりそうになったが、ネフィリートの機転や、
カミーラの明確な指示、ベアードの部下への喝など、色々なとこで
適切に対応出来た為に、大きな混乱を招くことはなかった。
そして、民にとって、やはり教会の存在は大きかった。
アンデットに対抗する為の教会の活動を知った者達は、
普段から信仰がない者であっても、今回の戦いの為に、自分達で
出来ることは皆協力していたのだ。
おかげで、ネフィリート達でさえ、想像出来ぬ以上の準備が出来ただろう。
「たぶん、アンデット達の力が強まる、夕方から夜が、総攻撃の開始だろうな。」
政務室に居た3人。
ネイルの言葉に、ベアード、カミーラが頷く。
ネフィリートが言うには、ドートレスは自分の力を誇示する為に、正門から、正々堂々とアンデット達を引き連れて、攻めてくるだろうと予測していた。
「アンデット使ってる時点で正々堂々とか言うのか?」
ベアードは苦笑いする。
後はこちらの動きをどれほど、相手が知っているかだ。
「今回は内部スパイしてそうな奴は徹底的にやってやりましたけど、いいんですよね?」
「いいだろう。今回は他国からの客人もいるのに、喧嘩仕掛けてきたんだからな。」
カミーラの言葉にネイルは何の罪悪感も感じずに答えた。
「ラリイの方は?」
「ラリイ王女の方はもういつでも準備出来てるそうだ。」
ベアードが部下から聞いた報告をネイルにする。
一言くらい声を掛けるべきか・・・ネイルが悩んでいると、
ベアードすぐにそれに気づき、ネイルに言う。
「何か言いたいことがあるなら、今のうちらしいぞ?」
「そうか、わかった、ちょっと行ってくる。」
ベアードの言葉を聞いて、ネイルはすぐにラリイの所へ向かう。
こんなにも迷惑をかけるのだ、流石に何か言うべきだろうと
ネイルは思った。
ラリイは城の屋上庭園に居た。
庭園の中央にあたる場所には大きな魔法陣が描かれており、
周りには決まった数の聖火が焚かれている。
その魔法陣の中心でラリイは瞑想していた。
声を掛けていいものかどうか悩んでいたネイルに、ラリイは気づく。
「あ、ネイル様。準備はいいんですか?」
「ああ、こっちは大丈夫だ。ラリイの方は?」
「はい、私の方も大丈夫です。」
いつものドレスとは違く、ラリイは聖歌隊が着る衣装を着ていた。
ただ、たぶんラリイ専用のだろう。
変なドレスを着るよりも、ラリイが美しく見える。
ネイルは思わず、ぼーっとしてラリイを見つめてしまった。
「どうしました?」
そんなネイルにラリイは不思議そうに見る。
ネイルは慌てて、首を振り、何でもない。と答えた。
少しの沈黙した後で、ネイルは口を開く。
「ラリイ・・・本当にすまない。今回、巻き込んでしまって。」
ネイルはどうしても、謝りたくて、ここに来たのだ。
嫁いで欲しいなんて言いながら、呼び寄せておいて、結婚することもなく、今日まで経ってしまったのだ。
いくらでも、今日と言う日を回避できるチャンスはあったのに。
「そんなに謝らないで下さい。」
ネイルの謝罪を聞いて、ラリイは静かに微笑んだ。
「今回、お手伝いすることにしたのは、私の意志です。
もし私に何があっても、ネイル様が罪悪感とか感じる必要はないです。」
「だが、そう言われても・・・」
「なら、一つだけ・・・」
ラリイは少しだけ頬を赤く染めて、ネイルに告げる。
「この戦いが無事に終わったら、改めて、お友達になってくれますか?」
「え?」
ラリイの突然の申し入れにネイルは驚く。
こんな状況で自分を恨むどころか、友達になって欲しいと?
ネイルは一瞬、混乱しそうになったが、ラリイは穏やかな顔を
して、ネイルを見守っている。ネイルは決心した。
「わかった、正式な形で友人になって貰えるように、俺から申し込む。」
「本当ですか?」
「嘘はつかない。こんなにまで、俺の国で頑張ってくれてる
ラリイに、俺は絶対に報いる。」
「ありがとうございます。ネイル様。」
ラリイは嬉しそうにネイルに笑顔を向ける。
そして、これ以上はラリイの瞑想の邪魔しないようにと、
ネイルはこの場を離れることにした。
「友達になったら、絶対にその時は・・・
俺の事、ちゃんと様付けじゃなくて、ネイルって言うようにしろよ・・・」
ネイルは最後の最後でそれだけ伝えて、ラリイと別れた。
それを聞いて、ラリイは少しだけ嬉し泣きしてしまった。