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第三章「確執」

「小鳥さん・・・お願いね?」

ラリイはある1匹の小鳥に小さいお願い事をしていた。
叶うかどうかはわからない。これはおまじないのようなものだ。
小鳥はラリイの言葉に頷くかのように、飛び立ち、ラリイの頭上を
1周すると飛んで行った。
ラリイは他の小鳥達にも、ここが戦場になるかもしれないから、
避難するように伝える。
ラリイから餌と情報を貰った、小鳥達は一斉に飛び立つ。
それを見守ってから、ラリイは教会に入った。

「大変なことになりましたね!」

モア神父がラリイに慌てて駆け寄る。

「モア神父様!ご協力お願いします。」
「もちろんです!私の国でもあるんですから!」

ラリイの言葉に、神父もしっかり答える。
ラリイはネフィリートから貰った指示書に書いてあることの、
まず1つ目の指示をこなす為に教会に来ていた。
それは、モア神父に戦うぎりぎりまで、護符を作成して貰うことだ。
魔除けの護符は、激戦地になりそうな町の民家の家の玄関や、窓、
城門など、貼れそうな場所になるべく多く貼り、
それから、教会に協力的な民は、塩、聖水、十字架など、
アンデットに効きそうなものを作成したり、集める。
町の女達は夫や、恋人、子供を想い、お守りを作って貰い、
旅でドラゴネス国に来てる、聖職者達も、町の人の呼びかけで
教会で手伝えることを手伝ってくれている。
まるで、あの教会の大修繕の時のような騒がしさである。
一通りの仕事を頼めたラリイは、今後は自分が歌うための準備に入る。
城で自分が借りてる部屋とは別の、ベッドも椅子も何もない
空き部屋を借りて、そこで正座して瞑想に入る。
戦いが始まる当日まで、ラリイは水以外は食事も一切抜いて、
決まった時間に禊ぎをし、後は瞑想だけをひたすら行う。
自分の魔力と、精神力を極限まで高めるためだ。
メイド達も、ラリイの邪魔はしないようにと、
誰も近づけさせないようにする。
ネイル達も、各自がそれぞれに忙しそうに戦いの準備を行っていた。

「副団長、どうやら、そろそろ始まるようです。」
「そうか・・・なら、我々も準備しよう。予定通り行動しろ。」
「はっ!」

ドラゴネスの国境付近に、二人の騎士が居た。
一人の騎士が、副団長に指示を仰ぎ、馬を走らせて消える。
その二人の騎士は竜人ではなかった。
騎士の恰好は、白を基調した、神々しいデザインで、でも変に目立つこともなく、気品が溢れていた。
副団長と呼ばれた男は、兜を取る、銀髪の男で、耳に羽があり、
ラリイと同じ鳥人だった。
その男の元に小さな小鳥が寄り添う。
男はラリイと同じように小鳥と会話する。

「うん、そうか、わかった。
教えてくれて感謝する。さぁ!お行き!」

小鳥と会話が終わり、再び空に小鳥を戻す。

「どうか、無事で居てくれ・・・ラリイ。」

男は心配そうな声でラリイの名前を呼んだ。
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