第二章「理解」
「お前は、この国では、恩人だ。
だから・・・次からは俺の事はネイルって呼べ。いいな?」
昨日の祭りの後、一緒に城に帰る途中で、ネイルは突然ラリイにそう言って、別れた。
ラリイの返事も聞かずに。
「少しは気を許してくれたのかなぁ?」
朝にそのことを思い出して、少し顔が赤くなる。
でも、最初に出逢った、あの頃から比べたら、かなり関係は、
改善されたのではないだろうか。
この調子でいければ、婚姻の試練の儀に対する答えも、
少しはいいものになるかもしれない。
「でも、今日はちょっとネイル様に会うの恥ずかしいかも・・・」
呼び捨てにしていいと言われても、ラリイは恥ずかしかった。
きっと、すぐには出来ないだろう。
ラリイは恥ずかしさのあまり、目を閉じて、ウサちゃんシリーズの
ウサギをぎゅーっと抱っこする。
すると。
「へぇ・・・お前もウサちゃんシリーズ持ってるんだ。」
「?!」
いきなり声が聞こえて、ラリイは目を開いて驚く。
目の前に、ネイルが居て、ラリイを見ていたからだ。
「あわわわわ!な、なんでネイル様がここに?!」
「なんでって、ドアをノックして、声を掛けても、
返事がないから、居ないのかと思って・・・」
ネイルは悪びれた様子もなく、淡々と言う。
どうやら、ネイルはラリイが日課の祈りの儀式に行って、居ないのかと思ったらしい。
「そ、それなら、ドア開ける必要ないじゃないですか!」
ラリイが顔を真っ赤にしたまま、抗議すると、ネイルは不思議そうにして、
「じゃ、いるかいないか、確認しようがないだろう?」と言う。
女性の扱いに不慣れ・・・
そうだ、ベアードはそう言ってたなとラリイは思い出した。
「むう・・・」
「ん?」
ラリイは怒りたくなったが、ベアードが前にそう言ってたのを
思い出して、怒れなくなってしまった。
そんなラリイを見て、ネイルはますます不思議そうにする。
「と、ところで、どうして私の所に?」
怒りを鎮めて、ラリイは何でネイルが突然訪ねて来たのかを聞いた。
「いや、婚姻の試練の儀のことを、どうしたいのか、聞こうと思って。」
「あ・・・」
そうだ、その話があった。ラリイもあれから、色々考えてはいるのだが、
どうしても、自分の納得いく答えが出て来ない。
ネイルの方も、本当は早くラリイの答えを知りたいのだろう。
「前も言ったが、答えを先延ばしにしても、
ラリイには何の得もないと思う。それなら、早くフェニキアに
戻り、自分の夫になる男を早く探すべきだ。」
ネイルの言ってることは正論だ。
自分が我が儘で、この答えを先延ばしにさせて貰っているにすぎないのだ。
やっと、少しはネイルと仲良くなれそうな矢先だっただけに、
ラリイは少し残念に思う。
でも、ネイルには結婚する気はないのだ。
「そうですよね・・・もうそろそろ答えないと・・・」
ラリイは、急に気分が沈み込んでしまった。
そろそろ、このドラゴネス国ともお別れするべきか。
「た、大変です!ネイル王!早く、政務室へ!!」
沈黙していた二人の間に、いきなり、一人の兵士が
二人の間に割り込んでくる。
かなり緊迫した状況に、ネイルの顔が真剣なものになる。
「どうした?何があった?」
「そ、それが、ドートレス伯爵が!」
「わかった、ここじゃ場所が悪い、詳しい話は政務室だ!」
「はっ!」
「悪い、ラリイ、返事はまた今度だ。」
「あ、はい!」
嵐のような速さで、ネイルと兵士はラリイの部屋から去っていった。
あの状況は只事じゃない。
ラリイは、婚姻の試練の儀の回答が先延ばしになったことは
安堵したが、これから起こる不穏な出来事に不安が募った。
だから・・・次からは俺の事はネイルって呼べ。いいな?」
昨日の祭りの後、一緒に城に帰る途中で、ネイルは突然ラリイにそう言って、別れた。
ラリイの返事も聞かずに。
「少しは気を許してくれたのかなぁ?」
朝にそのことを思い出して、少し顔が赤くなる。
でも、最初に出逢った、あの頃から比べたら、かなり関係は、
改善されたのではないだろうか。
この調子でいければ、婚姻の試練の儀に対する答えも、
少しはいいものになるかもしれない。
「でも、今日はちょっとネイル様に会うの恥ずかしいかも・・・」
呼び捨てにしていいと言われても、ラリイは恥ずかしかった。
きっと、すぐには出来ないだろう。
ラリイは恥ずかしさのあまり、目を閉じて、ウサちゃんシリーズの
ウサギをぎゅーっと抱っこする。
すると。
「へぇ・・・お前もウサちゃんシリーズ持ってるんだ。」
「?!」
いきなり声が聞こえて、ラリイは目を開いて驚く。
目の前に、ネイルが居て、ラリイを見ていたからだ。
「あわわわわ!な、なんでネイル様がここに?!」
「なんでって、ドアをノックして、声を掛けても、
返事がないから、居ないのかと思って・・・」
ネイルは悪びれた様子もなく、淡々と言う。
どうやら、ネイルはラリイが日課の祈りの儀式に行って、居ないのかと思ったらしい。
「そ、それなら、ドア開ける必要ないじゃないですか!」
ラリイが顔を真っ赤にしたまま、抗議すると、ネイルは不思議そうにして、
「じゃ、いるかいないか、確認しようがないだろう?」と言う。
女性の扱いに不慣れ・・・
そうだ、ベアードはそう言ってたなとラリイは思い出した。
「むう・・・」
「ん?」
ラリイは怒りたくなったが、ベアードが前にそう言ってたのを
思い出して、怒れなくなってしまった。
そんなラリイを見て、ネイルはますます不思議そうにする。
「と、ところで、どうして私の所に?」
怒りを鎮めて、ラリイは何でネイルが突然訪ねて来たのかを聞いた。
「いや、婚姻の試練の儀のことを、どうしたいのか、聞こうと思って。」
「あ・・・」
そうだ、その話があった。ラリイもあれから、色々考えてはいるのだが、
どうしても、自分の納得いく答えが出て来ない。
ネイルの方も、本当は早くラリイの答えを知りたいのだろう。
「前も言ったが、答えを先延ばしにしても、
ラリイには何の得もないと思う。それなら、早くフェニキアに
戻り、自分の夫になる男を早く探すべきだ。」
ネイルの言ってることは正論だ。
自分が我が儘で、この答えを先延ばしにさせて貰っているにすぎないのだ。
やっと、少しはネイルと仲良くなれそうな矢先だっただけに、
ラリイは少し残念に思う。
でも、ネイルには結婚する気はないのだ。
「そうですよね・・・もうそろそろ答えないと・・・」
ラリイは、急に気分が沈み込んでしまった。
そろそろ、このドラゴネス国ともお別れするべきか。
「た、大変です!ネイル王!早く、政務室へ!!」
沈黙していた二人の間に、いきなり、一人の兵士が
二人の間に割り込んでくる。
かなり緊迫した状況に、ネイルの顔が真剣なものになる。
「どうした?何があった?」
「そ、それが、ドートレス伯爵が!」
「わかった、ここじゃ場所が悪い、詳しい話は政務室だ!」
「はっ!」
「悪い、ラリイ、返事はまた今度だ。」
「あ、はい!」
嵐のような速さで、ネイルと兵士はラリイの部屋から去っていった。
あの状況は只事じゃない。
ラリイは、婚姻の試練の儀の回答が先延ばしになったことは
安堵したが、これから起こる不穏な出来事に不安が募った。