第二章「理解」
教会の周りで賑やかな声が響く、城で行う晩餐会とは比べ物に
ならない程、質素で、食事も普通で、華やかさには欠けるが、
その分、人々の笑顔が輝いて見えるような気がした。
ベアードはネイルをぐいぐい引っ張って、皆に目立つような場所に連れて行く。
「ほら!まずはネイル!お前の挨拶からだ!」
「わ、わかったから、押すな!」
突然の王の登場に教会に来ていた、民がざわつく。
それから、すぐに静かになった。
「あ、今日は、我が国の教会をこのベアード始め、ここにいる民の皆が、
修繕してくれた事を心から感謝する。多忙の中、皆、大儀であった。
有難う!」
「おおおおお!!!!」
ネイルの感謝の言葉に、人々から感激の声が上がる。
あまりの有難さに泣いてる民さえいる。
ベアードでさえも、笑ってはいるが、ちょっと涙目だ。
「きゃー凄い!凄い!聞いた?あのネイル様が!」
「ええ、普段滅多に民の前に出られないのに!」
「民に感謝の言葉を言われた!今日はなんて素晴らしい日なんだ!」
「あーありがたや、ありがたや・・・」
教会の周りにいる民は口々にそうした言葉を互いに言い合っている。
ベアードは自分が想像した通りの状態になったので、更に満足した顔をして、ネイルに言う。
「ほら、悪いもんじゃねぇーだろ?ネイル?」
「まぁな・・・恥ずかしくはあるが・・・」
ベアードに言われて、ネイルは苦笑いし、少し照れた顔をする。
まさか、こんな言葉で民がここまで喜んでくれるとは。
ネイルはベアードの言う通り、良い社会勉強になったと思った。
「あれ?あいつはどこだ?」
ネイルは挨拶を済ませて、数人の民と言葉を交わした後に、ラリイを探す。
だが、ラリイの姿が見えない。
自分の近くにいる数人にラリイの所在を聞き、ラリイが教会のすぐ側の墓場にいることがわかった。
「なんで、祝いの祭りの最中に墓場なんだ?」
ネイルは不思議に思いつつも、ラリイを探した。
「今日はもう夜なのに騒がしくして、ごめんなさい。
でも、皆が喜んでる今日は、どうか許してあげて下さい。」
ラリイはそう言いつつ、ドラゴネス国の王族の墓に、白い花の花束を置く。
そして、再度深く祈りを捧げていた。
ネイルはそれを遠くから見つける。
「あいつ・・・王家の墓に花を?」
そう思いながらも、ラリイに近づき、声を掛ける。
「おい・・・」
「きゃあああああ!」
「こら、いきなり悲鳴上げるな!!」
「え?あ、ネイル様?」
突然背後から声を掛けられたラリイは、つい悲鳴を上げてしまった。
が、ネイルに大声で制止されて、我に返る。
「び、びっくりした・・・」
「こんな夜の墓場で何してるんだ?」
ネイルが疑問に思ってることを聞く。
若い女が一人で、理由もなく来るところではない。
「あ、今日は夜でお祭りだから、騒がしくしてしまうと思ったから、
ここに眠る、王家の皆様にご報告して、謝罪しておこうと思って。」
ラリイは屈託のない笑顔でそうネイルに答えた。
月明りがラリイを照らす。
ネイルは一瞬、ドキっとした。
まるでラリイが月の女神か、妖精のような、そんな美しい存在に
見えたからだ。
「そ、そうか・・・」
ネイルはこれ以上、ラリイを直視出来ないと思い、話を続ける。
「こんな夜に女が一人で墓場に居るなんて、危険だ。
お前の用事が済むまで、俺も側にいる。」
「え?いいんですか?」
「当然だろ。」
紳士だったら、当然の行動のはずだ。とネイルは考えた。
「なら、ネイル様も一緒にお祈りして下さい。」
「は?俺もか?」
「はい!」
ラリイはネイルに一緒に祈りを捧げてくれるように笑顔で言う。
そのラリイの顔に、何も言えず、ネイルは一緒に祈ることにした。
この墓に来ること事体、数年ぶりだと言うのに。
まさか、ラリイと一緒に親の墓で祈るとは・・・
ネイルは黙って、ラリイと一緒に祈った。
「有り難う・・・」
「え?」
祈り終わった後で、ネイルの小さい声の有り難うに、
ラリイが聞こえず、再度、聞き返す。
「だから、今回の教会の修繕と、俺の両親の墓に花と祈り捧げてくれて、
有り難うって言ってるんだ・・・」
ネイルは顔を真っ赤にして、ラリイに再度告げた。
そんなネイルにラリイもまた顔を真っ赤にして。
「ど、どういたしまして・・・」と小さく答えるのがやっとだった。
「じゃ、そろそろ教会の方に帰ろう。」
「はい。」
ネイルはラリイをエスコートして、教会に戻って来た。
途中、夜道でコケそうになるラリイを助けたりして、二人は
お互いにドキドキしっぱなしだった。
そんな二人の感じにベアードは遠くからニヤニヤしていた。
「これなら、お互いに気づくのに時間はかからないかもな。」
ベアードはそう思った。
ならない程、質素で、食事も普通で、華やかさには欠けるが、
その分、人々の笑顔が輝いて見えるような気がした。
ベアードはネイルをぐいぐい引っ張って、皆に目立つような場所に連れて行く。
「ほら!まずはネイル!お前の挨拶からだ!」
「わ、わかったから、押すな!」
突然の王の登場に教会に来ていた、民がざわつく。
それから、すぐに静かになった。
「あ、今日は、我が国の教会をこのベアード始め、ここにいる民の皆が、
修繕してくれた事を心から感謝する。多忙の中、皆、大儀であった。
有難う!」
「おおおおお!!!!」
ネイルの感謝の言葉に、人々から感激の声が上がる。
あまりの有難さに泣いてる民さえいる。
ベアードでさえも、笑ってはいるが、ちょっと涙目だ。
「きゃー凄い!凄い!聞いた?あのネイル様が!」
「ええ、普段滅多に民の前に出られないのに!」
「民に感謝の言葉を言われた!今日はなんて素晴らしい日なんだ!」
「あーありがたや、ありがたや・・・」
教会の周りにいる民は口々にそうした言葉を互いに言い合っている。
ベアードは自分が想像した通りの状態になったので、更に満足した顔をして、ネイルに言う。
「ほら、悪いもんじゃねぇーだろ?ネイル?」
「まぁな・・・恥ずかしくはあるが・・・」
ベアードに言われて、ネイルは苦笑いし、少し照れた顔をする。
まさか、こんな言葉で民がここまで喜んでくれるとは。
ネイルはベアードの言う通り、良い社会勉強になったと思った。
「あれ?あいつはどこだ?」
ネイルは挨拶を済ませて、数人の民と言葉を交わした後に、ラリイを探す。
だが、ラリイの姿が見えない。
自分の近くにいる数人にラリイの所在を聞き、ラリイが教会のすぐ側の墓場にいることがわかった。
「なんで、祝いの祭りの最中に墓場なんだ?」
ネイルは不思議に思いつつも、ラリイを探した。
「今日はもう夜なのに騒がしくして、ごめんなさい。
でも、皆が喜んでる今日は、どうか許してあげて下さい。」
ラリイはそう言いつつ、ドラゴネス国の王族の墓に、白い花の花束を置く。
そして、再度深く祈りを捧げていた。
ネイルはそれを遠くから見つける。
「あいつ・・・王家の墓に花を?」
そう思いながらも、ラリイに近づき、声を掛ける。
「おい・・・」
「きゃあああああ!」
「こら、いきなり悲鳴上げるな!!」
「え?あ、ネイル様?」
突然背後から声を掛けられたラリイは、つい悲鳴を上げてしまった。
が、ネイルに大声で制止されて、我に返る。
「び、びっくりした・・・」
「こんな夜の墓場で何してるんだ?」
ネイルが疑問に思ってることを聞く。
若い女が一人で、理由もなく来るところではない。
「あ、今日は夜でお祭りだから、騒がしくしてしまうと思ったから、
ここに眠る、王家の皆様にご報告して、謝罪しておこうと思って。」
ラリイは屈託のない笑顔でそうネイルに答えた。
月明りがラリイを照らす。
ネイルは一瞬、ドキっとした。
まるでラリイが月の女神か、妖精のような、そんな美しい存在に
見えたからだ。
「そ、そうか・・・」
ネイルはこれ以上、ラリイを直視出来ないと思い、話を続ける。
「こんな夜に女が一人で墓場に居るなんて、危険だ。
お前の用事が済むまで、俺も側にいる。」
「え?いいんですか?」
「当然だろ。」
紳士だったら、当然の行動のはずだ。とネイルは考えた。
「なら、ネイル様も一緒にお祈りして下さい。」
「は?俺もか?」
「はい!」
ラリイはネイルに一緒に祈りを捧げてくれるように笑顔で言う。
そのラリイの顔に、何も言えず、ネイルは一緒に祈ることにした。
この墓に来ること事体、数年ぶりだと言うのに。
まさか、ラリイと一緒に親の墓で祈るとは・・・
ネイルは黙って、ラリイと一緒に祈った。
「有り難う・・・」
「え?」
祈り終わった後で、ネイルの小さい声の有り難うに、
ラリイが聞こえず、再度、聞き返す。
「だから、今回の教会の修繕と、俺の両親の墓に花と祈り捧げてくれて、
有り難うって言ってるんだ・・・」
ネイルは顔を真っ赤にして、ラリイに再度告げた。
そんなネイルにラリイもまた顔を真っ赤にして。
「ど、どういたしまして・・・」と小さく答えるのがやっとだった。
「じゃ、そろそろ教会の方に帰ろう。」
「はい。」
ネイルはラリイをエスコートして、教会に戻って来た。
途中、夜道でコケそうになるラリイを助けたりして、二人は
お互いにドキドキしっぱなしだった。
そんな二人の感じにベアードは遠くからニヤニヤしていた。
「これなら、お互いに気づくのに時間はかからないかもな。」
ベアードはそう思った。