第一章「ドラゴネスでの日々」
翌日、ラリイは起きてすぐに政務室に来るようにカミーラに言われる。
たぶん、昨日の話の続きだろうとラリイはすぐ思った。
重い足取りで、政務室に向かう。
政務室のドアをノックし、返事を待ってから入室すると、
そこにはネイルだけが居た。
「お前と二人だけで話がある。」
ぶっきらぼうにそう言われて、ラリイはネイルに見据えられる。
少し怖いと思いつつも、ラリイはネイルを何とか見返す。
「まず、最初に、今までの無礼を許して欲しい。
無視していたことは認める。申し訳ない。」
ネイルはいきなりラリイに頭を下げ、素直に謝った。
あまりの突然のことにラリイも驚く。
「え?え?」
「後、今後の為に言うが、俺は女が苦手なんだ。
特に他種族の女が。だから、緊張して、どうしても愛想は
よく出来ない。それだけは理解して欲しい。」
「あ、はい・・・」
ネイルのあまりの態度の変化にラリイは戸惑うばかりだ。
「それから、俺は結婚する気がないのは変わらない。
ラリイも、俺と結婚なんて望んでないだろ?」
「それは・・・」
そうですね。とは、はっきり言えない。
流石に一国の王に失礼に当たると思ったから。
ただ、ネイルは空気を読んで、それ以上は聞いて来なかった。
「ただ、婚姻の試練の儀の事だけは、俺だけではどうにも出来ない。まず、ラリイに聞きたいんだが・・・」
「うん・・・」
「まず、試練を受ける気はあるか?
ないのなら、はっきり言って欲しいし、
もしも・・・もしも受けると言うなら、その後で、
やっぱり受けないと言うのも、一切出来ない。
だから、慎重に答えて欲しい。」
「あの、まず、婚姻の試練の儀って、何をするんですか?」
「ああ、そうだな。まず、そこからか・・・」
ラリイの質問にネイルは、丁寧に説明してくれた。
「ドラゴネス国には、様々な洞窟が存在する。
その洞窟の中で、婚姻の試練の儀を行う洞窟があるんだが、
そこに将来夫婦になりたいと誓い合う王族の男女が入り、我が国の国石ドラゴンアイを取って戻って来ると言うのが、婚姻の試練の儀だ。」
「へぇ・・・」
ネイルの説明にラリイは素直に感心する。
「ただ、この試練には命の危険が伴う。
洞窟にはそれなりにモンスターも存在するし、稀にドラゴンが
住み着いて居たりもする。
無事に洞窟から出ても、国石を持ち帰れなければ、
二人は夫婦の資格なしとして、祝福された結婚は出来ない。」
「結構、厳しい試練なんですね・・・」
「そうだな、だから気軽引き受けるのは、お薦めしない。」
ネイルは真剣な眼差しでラリイに言う。
「もし仮にも、この儀が成立してしまったら、後は結婚するだけだ。その意味合いは他国のものよりも重いものだと思って欲しい。」
つまり、離婚などあり得ないと言う事か。
「おばあ様はラリイにこの試練を受けて欲しいと言うが、俺は正直、受けるべきじゃないと思ってる。おばあ様を悲しませたくないが、流石におばあ様の我が儘で一国の王女の運命を弄ぶようなことは出来ないからな。」
ネイルは、ふっと苦笑いする。
凄く、冷たい人物だと思っていたが、今日、話してみて、ラリイはネイルが、ちょっと不器用な人物なんだろうなと思えた。
「あの、その返事を少し待って貰うことは可能ですか?」
ラリイがそう言うと、ネイルは驚いた顔をする。
「何故?まさか、試練を受けると?」
「あ、それを含めて、もう少しだけ考えさせて欲しいんです。」
「はぁ・・・・」
ネイルはラリイが断るものばかりだと思っていたようだ。
だから、気が抜けて、変な返事をしてしまう。
どうにかならないだろうか?
ラリイは、もう少しだけ、この問題を考えてみたくなった。
それは、ネイルが少しだけでも、自分に歩み寄ってくれたのが、
嬉しかったからかもしれない。
たぶん、昨日の話の続きだろうとラリイはすぐ思った。
重い足取りで、政務室に向かう。
政務室のドアをノックし、返事を待ってから入室すると、
そこにはネイルだけが居た。
「お前と二人だけで話がある。」
ぶっきらぼうにそう言われて、ラリイはネイルに見据えられる。
少し怖いと思いつつも、ラリイはネイルを何とか見返す。
「まず、最初に、今までの無礼を許して欲しい。
無視していたことは認める。申し訳ない。」
ネイルはいきなりラリイに頭を下げ、素直に謝った。
あまりの突然のことにラリイも驚く。
「え?え?」
「後、今後の為に言うが、俺は女が苦手なんだ。
特に他種族の女が。だから、緊張して、どうしても愛想は
よく出来ない。それだけは理解して欲しい。」
「あ、はい・・・」
ネイルのあまりの態度の変化にラリイは戸惑うばかりだ。
「それから、俺は結婚する気がないのは変わらない。
ラリイも、俺と結婚なんて望んでないだろ?」
「それは・・・」
そうですね。とは、はっきり言えない。
流石に一国の王に失礼に当たると思ったから。
ただ、ネイルは空気を読んで、それ以上は聞いて来なかった。
「ただ、婚姻の試練の儀の事だけは、俺だけではどうにも出来ない。まず、ラリイに聞きたいんだが・・・」
「うん・・・」
「まず、試練を受ける気はあるか?
ないのなら、はっきり言って欲しいし、
もしも・・・もしも受けると言うなら、その後で、
やっぱり受けないと言うのも、一切出来ない。
だから、慎重に答えて欲しい。」
「あの、まず、婚姻の試練の儀って、何をするんですか?」
「ああ、そうだな。まず、そこからか・・・」
ラリイの質問にネイルは、丁寧に説明してくれた。
「ドラゴネス国には、様々な洞窟が存在する。
その洞窟の中で、婚姻の試練の儀を行う洞窟があるんだが、
そこに将来夫婦になりたいと誓い合う王族の男女が入り、我が国の国石ドラゴンアイを取って戻って来ると言うのが、婚姻の試練の儀だ。」
「へぇ・・・」
ネイルの説明にラリイは素直に感心する。
「ただ、この試練には命の危険が伴う。
洞窟にはそれなりにモンスターも存在するし、稀にドラゴンが
住み着いて居たりもする。
無事に洞窟から出ても、国石を持ち帰れなければ、
二人は夫婦の資格なしとして、祝福された結婚は出来ない。」
「結構、厳しい試練なんですね・・・」
「そうだな、だから気軽引き受けるのは、お薦めしない。」
ネイルは真剣な眼差しでラリイに言う。
「もし仮にも、この儀が成立してしまったら、後は結婚するだけだ。その意味合いは他国のものよりも重いものだと思って欲しい。」
つまり、離婚などあり得ないと言う事か。
「おばあ様はラリイにこの試練を受けて欲しいと言うが、俺は正直、受けるべきじゃないと思ってる。おばあ様を悲しませたくないが、流石におばあ様の我が儘で一国の王女の運命を弄ぶようなことは出来ないからな。」
ネイルは、ふっと苦笑いする。
凄く、冷たい人物だと思っていたが、今日、話してみて、ラリイはネイルが、ちょっと不器用な人物なんだろうなと思えた。
「あの、その返事を少し待って貰うことは可能ですか?」
ラリイがそう言うと、ネイルは驚いた顔をする。
「何故?まさか、試練を受けると?」
「あ、それを含めて、もう少しだけ考えさせて欲しいんです。」
「はぁ・・・・」
ネイルはラリイが断るものばかりだと思っていたようだ。
だから、気が抜けて、変な返事をしてしまう。
どうにかならないだろうか?
ラリイは、もう少しだけ、この問題を考えてみたくなった。
それは、ネイルが少しだけでも、自分に歩み寄ってくれたのが、
嬉しかったからかもしれない。