第一章「ドラゴネスでの日々」
教会の大修繕は、ベアードがネイルに宣言した通りに、丸3日で無事に終わった。
基本工事までとベアードは言っていたが、素人が見たら、
ほぼ完全に終わったようにしか見えなかった。
今日は、教会で工事の一旦の終わりを祝して、皆で簡単なお祝いを
しようと言う話になっていた時だった。
城の使いの者が来て、ラリイを城に呼び戻した。
「先々代の王の王妃である、ネフィリート様より、ラリイ様に
ご面会の要望が来ております。どうぞ、城の離れの塔にお越し下さい。」
あまり見かけたことがない、執事にそう言われ、ラリイはその執事と一緒にその面会に行くことになった。
「ネフィリート様は、現王の祖母に当たるお方で、高い魔力から、
普段は御屋敷ではなく、塔で過ごされております。」
「そ、そうなんですね。」
ラリイは執事の話を聞いて、恐縮する。
どうして、今頃になって、自分に会いたがるのだろう?
と言うか、祖母が居たとか初耳だったし、
もう確実に挨拶するのが遅れている。
もしかして、教会の活動してることを快く思ってなくて、
注意でもされるのだろうか?
色々考えるとラリイには不安しかない。
「こちらです。」
不安な気持ちのまま、目的の場所について、執事はある部屋の前で止まり、ドアをノックする。
「ネフィリート様。ラリイ様をお連れ致しました。」
「ほい、部屋にお通し。」
「はい。」
ラリイはネイルの祖母の部屋に通される。
薄い紫の長い髪の竜人の老婆は、濃い紫の目を輝かせ、
楽しそうにラリイを見る。
「ほうほう、お前があのフェニキアの王女のラリイかえ?」
「あ、はい!お初にお目にかかります、ネフィリート様!
ご、ご挨拶が遅れまして、大変に申し訳ありませんでした。」
頭を深々と下げて、ラリイは謝罪する。それを見た、
ネフィリートは心地よい乾いた笑い声を上げて、ラリイに言う。
「良い良い。挨拶が遅れたのはわしの方じゃ。
この通り、老婆でのぉ、どうぞこちらこそ無礼をお許し下され。」
「そんな、私なんかに勿体無いお言葉です。」
ラリイはネフィリートの人としての、重圧に圧倒された。
「今日、ラリイを呼ばせて貰ったのはのぉ、まずはお礼が言いたかったからじゃ、
あの教会を綺麗にしてくれて感謝する。」
「そんな、教会の修繕は、ベアード様や、町の皆様がしたことで、
私なんて、ちょっとしたお手伝いくらいで!」
「なになに、ご謙遜されるな。教会の修繕のきっかけになったのは、
間違いなく、ラリイのおかげと聞いておるぞ?」
「あわわ、そんな私なんて・・・」
ネフィリートに偉く持ち上げられて、ラリイはますます恐縮する。
「ラリイは、本当にフェニ様に似ておるのぉ、髪の毛の色など違えど、雰囲気や行動力はそっくりじゃ。」
「え?ネフィリート様はフェニおば様の事、ご存じなのですか?」
「ああ、古い知り合いだとも。」
ネフィリートは懐かしそうな顔をして、ラリイに話を聞かせる。
「フェニ様がお若い時に、ドラゴネスに滞在されたことがあっての、要件は違うが、今のラリイと同じような感じで、あの方も教会で色々活動されてたものじゃ。」
「そ、そうだったんですね!」
ラリイは懐かしい人物の名前が、まさかここで聞けるとは思わず、
嬉しくなって、ネフィリートの話を真剣に聞く。
だが、話の途中で、ある人物が同じ部屋に入って来る。
「あ・・・」
「え?」
ネイルであった。二人はお互いが意外な場所であったので、
つい驚いた顔を向け合う。
が、ネイルはすぐに無表情になって、ラリイには見向きもせずに、
ネフィリートに向かって頭を下げる。
「おばあ様、お呼びとのことで伺いましたが、何ですか?」
丁寧な口調でしゃべってはいるものの、ネイルからは、
早くここから立ち去りたいと言うオーラがひしひしと感じられた。
「うむ、まず、お前からもちゃんとお礼をいい。」
「何をですか?」
「ラリイにじゃよ、教会の修繕をしてくれたんじゃぞ?」
「それは・・・」
ネイルは気まずそうな顔をする。
明らかに感謝したくないと言った態度だ。
そんな煮え切らないネイルに、
「お前は、この老婆に恥をかかせるのかい?」
さっきまで人とは思えないほどの低い声で、ネフィリートはネイル再度お礼を言うように言う。
ネイルも観念したのか、ラリイに向かって、嫌々ながらお礼を述べる。
「我が国の教会の為にご尽力して頂き、感謝します。」
「あ、いえいえ。」
何とも言えない、ぎこちない空気にラリイもたじたじする。
ネイルは早くこの部屋から出たいかもしれないが、
それはラリイも同じだった。
基本工事までとベアードは言っていたが、素人が見たら、
ほぼ完全に終わったようにしか見えなかった。
今日は、教会で工事の一旦の終わりを祝して、皆で簡単なお祝いを
しようと言う話になっていた時だった。
城の使いの者が来て、ラリイを城に呼び戻した。
「先々代の王の王妃である、ネフィリート様より、ラリイ様に
ご面会の要望が来ております。どうぞ、城の離れの塔にお越し下さい。」
あまり見かけたことがない、執事にそう言われ、ラリイはその執事と一緒にその面会に行くことになった。
「ネフィリート様は、現王の祖母に当たるお方で、高い魔力から、
普段は御屋敷ではなく、塔で過ごされております。」
「そ、そうなんですね。」
ラリイは執事の話を聞いて、恐縮する。
どうして、今頃になって、自分に会いたがるのだろう?
と言うか、祖母が居たとか初耳だったし、
もう確実に挨拶するのが遅れている。
もしかして、教会の活動してることを快く思ってなくて、
注意でもされるのだろうか?
色々考えるとラリイには不安しかない。
「こちらです。」
不安な気持ちのまま、目的の場所について、執事はある部屋の前で止まり、ドアをノックする。
「ネフィリート様。ラリイ様をお連れ致しました。」
「ほい、部屋にお通し。」
「はい。」
ラリイはネイルの祖母の部屋に通される。
薄い紫の長い髪の竜人の老婆は、濃い紫の目を輝かせ、
楽しそうにラリイを見る。
「ほうほう、お前があのフェニキアの王女のラリイかえ?」
「あ、はい!お初にお目にかかります、ネフィリート様!
ご、ご挨拶が遅れまして、大変に申し訳ありませんでした。」
頭を深々と下げて、ラリイは謝罪する。それを見た、
ネフィリートは心地よい乾いた笑い声を上げて、ラリイに言う。
「良い良い。挨拶が遅れたのはわしの方じゃ。
この通り、老婆でのぉ、どうぞこちらこそ無礼をお許し下され。」
「そんな、私なんかに勿体無いお言葉です。」
ラリイはネフィリートの人としての、重圧に圧倒された。
「今日、ラリイを呼ばせて貰ったのはのぉ、まずはお礼が言いたかったからじゃ、
あの教会を綺麗にしてくれて感謝する。」
「そんな、教会の修繕は、ベアード様や、町の皆様がしたことで、
私なんて、ちょっとしたお手伝いくらいで!」
「なになに、ご謙遜されるな。教会の修繕のきっかけになったのは、
間違いなく、ラリイのおかげと聞いておるぞ?」
「あわわ、そんな私なんて・・・」
ネフィリートに偉く持ち上げられて、ラリイはますます恐縮する。
「ラリイは、本当にフェニ様に似ておるのぉ、髪の毛の色など違えど、雰囲気や行動力はそっくりじゃ。」
「え?ネフィリート様はフェニおば様の事、ご存じなのですか?」
「ああ、古い知り合いだとも。」
ネフィリートは懐かしそうな顔をして、ラリイに話を聞かせる。
「フェニ様がお若い時に、ドラゴネスに滞在されたことがあっての、要件は違うが、今のラリイと同じような感じで、あの方も教会で色々活動されてたものじゃ。」
「そ、そうだったんですね!」
ラリイは懐かしい人物の名前が、まさかここで聞けるとは思わず、
嬉しくなって、ネフィリートの話を真剣に聞く。
だが、話の途中で、ある人物が同じ部屋に入って来る。
「あ・・・」
「え?」
ネイルであった。二人はお互いが意外な場所であったので、
つい驚いた顔を向け合う。
が、ネイルはすぐに無表情になって、ラリイには見向きもせずに、
ネフィリートに向かって頭を下げる。
「おばあ様、お呼びとのことで伺いましたが、何ですか?」
丁寧な口調でしゃべってはいるものの、ネイルからは、
早くここから立ち去りたいと言うオーラがひしひしと感じられた。
「うむ、まず、お前からもちゃんとお礼をいい。」
「何をですか?」
「ラリイにじゃよ、教会の修繕をしてくれたんじゃぞ?」
「それは・・・」
ネイルは気まずそうな顔をする。
明らかに感謝したくないと言った態度だ。
そんな煮え切らないネイルに、
「お前は、この老婆に恥をかかせるのかい?」
さっきまで人とは思えないほどの低い声で、ネフィリートはネイル再度お礼を言うように言う。
ネイルも観念したのか、ラリイに向かって、嫌々ながらお礼を述べる。
「我が国の教会の為にご尽力して頂き、感謝します。」
「あ、いえいえ。」
何とも言えない、ぎこちない空気にラリイもたじたじする。
ネイルは早くこの部屋から出たいかもしれないが、
それはラリイも同じだった。