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エピローグ

ハロウィンの深夜は闇が深まり、大魔導士の男の家も静寂に包まれた。
大魔導士の男はカボッチャ君が寝静まったから、また仕事を再開させる。
その顔はとても険しいもので、カボッチャ君と一緒に居る時は別人のようであった。

『お前はいつも唐突に奇抜な事を考えるな・・・
俺の身体の一部を、あの少女のプレゼントした物に宿すとは。』
「シャドウか?」

大魔導士の男は、突然現れた黒い靄のような存在に話掛けられても、
動揺することもなく、ただ研究を続けていた。
黒い靄のような存在は、大魔導士の男からシャドウと呼ばれた。

『少しは外界で自由にさせてくれると言う話だったが、
まさか子守をさせられるとは思わなかったぞ?』
「悪い条件ではあるまい?多少の自由を与えるかわりに、子守をして貰うだけだ。
それも常に側に居ろというわけではない。
私の使い魔とあの少女が死ななければいいだけだからな。」
『確かにそうだが・・・』
「それに人の街に行けさえすれば、お前も食事には困るまい。
人の集まる場所には、お前の大好きな「悪意」もたくさんあるだろうからな。」

大魔導士の男は、シャドウを見るわけでもないが、会話しながらもニヤリと悪そうな顔で笑った。

「あの少女が寝ている間は、ほぼ自由と言っていいはずだ。ただの街で暮らす娘だし、
王族でもないなら、深夜に暗殺者がとかもないだろう。
私からすれば、かなり好条件で取引したつもりだが?
それでも何か不満か?シャドウ?」
『そう聞けば、何も不満などない。ただお前がこんな好条件を
出してきたのが不満と言うよりは不安に思うと言うだけだ。』
「酷い言われようだな。多少の足枷があるだけで、ほぼ自由みたいなものなのに。」
『その多少の足枷が、時に俺の命を脅かすクセによく言う。』

大魔導士の男とシャドウは、お互いの思惑を知りながらも、笑い合った。
そしてシャドウは闇の中に消え、大魔導士の男は再び仕事に戻る。

「シャドウの視点から見る人間達も、今後は良い研究になりそうだ。
組織の奴らも役に立つかもしれないと喜びそうだな。」

大魔導士の男はどうすれば今後も、良い研究成果を残せるか考える。
自分の生活がかかっているのもあるが、大魔導士の男が真に組織で仕事するのには訳があった。
しかし、その理由がわかるのは後もまた後のことであろうか。
カボッチャ君は何も知らずに、スヤスヤと寝ていた。
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