第1章「津雲百の陰謀」
今日は期末試験だったので、俺は早く家に帰ってこれた。
親友に、途中でどっか遊びに行こうと誘われはしたのだが、
俺は今後のテストも不安があり、勉強したかったから、
遊びの誘いは断ったのだ。
陽一にはグチグチ言われたが、しょうがない。
俺の成績が、もし悪かったら、母さんに怒られて、お小遣いにも影響しかねないからな。
それに成績が良ければ、逆に父さんから、余計にお小遣いを貰えなくもないから、
頑張るしかないのだ。
期末試験が終われば、後は楽しみの夏休みだもんな。
お小遣いが無くて、悲惨な夏休みにはしたくない。
「一、いるか?」
俺は自分の部屋で勉強机にしがみつき、何とか集中して勉強をしていると、
祖父ちゃんが俺の部屋のドアの前で声を掛けてきた。
俺は一旦勉強を止めて、祖父ちゃんに返事をする。
「ん?どうしたの?祖父ちゃん?」
「あのなぁ・・・悪いんだが、ちょっとだけ手伝ってくれないか?
盆栽の位置替え。」
「えー?もう、しょうがないな・・・」
俺は仕方がなく、勉強を止めて祖父ちゃんの手伝いをすることにした。
祖父ちゃんの手伝いをして、悪い事はない。
機嫌がいい時は、小遣いをくれたりするからだ。
俺は祖父ちゃんと一緒に庭に出て、祖父ちゃんの指示に従い、盆栽を移動させる。
「男の孫がいるといいもんだ。助かったぞ、一。」
「別にいいけどさ。この前も、この盆栽動かさなかったっけ?」
俺はつい数日前にも動かした盆栽だと思い出し、祖父ちゃんに聞いてみた。
祖父ちゃんは、少し渋い顔をして俺に答えた。
「いや、なぁ・・・人面黒松の巌さんが、新しい場所がお気に召さなかったらしくてな。
夜な夜な、わしに恨み言をいってくるので、元に戻そうと思ってな。」
「へぇ・・・そうだったんだ。」
俺は祖父ちゃんの言葉を聞いて、納得した。恨み言を言われるなら、
言う事を聞くしかないよな。祖父ちゃんも。
この人面黒松の巌さんと言うのは、祖父ちゃんが大事にしている盆栽の1つで、
黒松の盆栽なのだが、時々人の顔が浮か上がるのだ。
だから、本当は国宝級で値段もヤバい盆栽だったのだが、
前の持ち主が呪いや祟りを恐れて、九十九神家に引き渡したのだ。
祖父ちゃんは、前々から盆栽が大好きなので喜んで引き取り、
何を思ったのか、その黒松に浮かび上がる顔に、巌さんと名付け、
友達のように接している。
そのおかげなのか?巌さんは、祖父ちゃんや俺達を呪ったりとか危害を加えることなく、
祖父ちゃんと穏やかに暮らしている。
ちなみに、俺は1度しか人面黒松の巌さんに会ったことがない。
祖父ちゃん曰く、実は照れ屋らしい・・・どこまで本当かは知らないが。
「そー言えば、何で人面黒松の巌さんは、この黒松にとり憑いてるの?祖父ちゃん?」
「ん?なんだ、そんなことが知りたいのか?」
「いや、聞いたことがないなーと思ってさ。」
俺は祖父ちゃんに、それとなく聞いてみた。本来は、気軽に由来と言うか、
聞いたらいけない話もあるんだけど、祖父ちゃんは、特に話すことに害がないと思ったのか、
俺に教えてくれた。
「この黒松はな、前々の持ち主に、物凄く愛されて大事にされてきたんだ。
ところが、前の持ち主が借金のかたに無理矢理奪ったものだから、
前々の持ち主が黒松を失った事に絶望して自殺をし、その怨念が、
この黒松に宿ったのよ。それが巌さんだ。ま、よくある話だ。」
「へぇ・・・」
俺は祖父ちゃんの話を聞いて、感心した。
そこまで、盆栽に愛を注いだ持ち主だったのか。
盆栽を失って、自殺までするんだから、相当な愛だよな。
でも、九十九神家からみれば、確かによくある話ではある。
俺が祖父ちゃんの指示した通りの場所に移動した、人面黒松の
巌さんを見ると、
薄っすらと笑顔の様な顔が浮かび上がっていた。
巌さんは、どうやら喜んでくれたようだ。
親友に、途中でどっか遊びに行こうと誘われはしたのだが、
俺は今後のテストも不安があり、勉強したかったから、
遊びの誘いは断ったのだ。
陽一にはグチグチ言われたが、しょうがない。
俺の成績が、もし悪かったら、母さんに怒られて、お小遣いにも影響しかねないからな。
それに成績が良ければ、逆に父さんから、余計にお小遣いを貰えなくもないから、
頑張るしかないのだ。
期末試験が終われば、後は楽しみの夏休みだもんな。
お小遣いが無くて、悲惨な夏休みにはしたくない。
「一、いるか?」
俺は自分の部屋で勉強机にしがみつき、何とか集中して勉強をしていると、
祖父ちゃんが俺の部屋のドアの前で声を掛けてきた。
俺は一旦勉強を止めて、祖父ちゃんに返事をする。
「ん?どうしたの?祖父ちゃん?」
「あのなぁ・・・悪いんだが、ちょっとだけ手伝ってくれないか?
盆栽の位置替え。」
「えー?もう、しょうがないな・・・」
俺は仕方がなく、勉強を止めて祖父ちゃんの手伝いをすることにした。
祖父ちゃんの手伝いをして、悪い事はない。
機嫌がいい時は、小遣いをくれたりするからだ。
俺は祖父ちゃんと一緒に庭に出て、祖父ちゃんの指示に従い、盆栽を移動させる。
「男の孫がいるといいもんだ。助かったぞ、一。」
「別にいいけどさ。この前も、この盆栽動かさなかったっけ?」
俺はつい数日前にも動かした盆栽だと思い出し、祖父ちゃんに聞いてみた。
祖父ちゃんは、少し渋い顔をして俺に答えた。
「いや、なぁ・・・人面黒松の巌さんが、新しい場所がお気に召さなかったらしくてな。
夜な夜な、わしに恨み言をいってくるので、元に戻そうと思ってな。」
「へぇ・・・そうだったんだ。」
俺は祖父ちゃんの言葉を聞いて、納得した。恨み言を言われるなら、
言う事を聞くしかないよな。祖父ちゃんも。
この人面黒松の巌さんと言うのは、祖父ちゃんが大事にしている盆栽の1つで、
黒松の盆栽なのだが、時々人の顔が浮か上がるのだ。
だから、本当は国宝級で値段もヤバい盆栽だったのだが、
前の持ち主が呪いや祟りを恐れて、九十九神家に引き渡したのだ。
祖父ちゃんは、前々から盆栽が大好きなので喜んで引き取り、
何を思ったのか、その黒松に浮かび上がる顔に、巌さんと名付け、
友達のように接している。
そのおかげなのか?巌さんは、祖父ちゃんや俺達を呪ったりとか危害を加えることなく、
祖父ちゃんと穏やかに暮らしている。
ちなみに、俺は1度しか人面黒松の巌さんに会ったことがない。
祖父ちゃん曰く、実は照れ屋らしい・・・どこまで本当かは知らないが。
「そー言えば、何で人面黒松の巌さんは、この黒松にとり憑いてるの?祖父ちゃん?」
「ん?なんだ、そんなことが知りたいのか?」
「いや、聞いたことがないなーと思ってさ。」
俺は祖父ちゃんに、それとなく聞いてみた。本来は、気軽に由来と言うか、
聞いたらいけない話もあるんだけど、祖父ちゃんは、特に話すことに害がないと思ったのか、
俺に教えてくれた。
「この黒松はな、前々の持ち主に、物凄く愛されて大事にされてきたんだ。
ところが、前の持ち主が借金のかたに無理矢理奪ったものだから、
前々の持ち主が黒松を失った事に絶望して自殺をし、その怨念が、
この黒松に宿ったのよ。それが巌さんだ。ま、よくある話だ。」
「へぇ・・・」
俺は祖父ちゃんの話を聞いて、感心した。
そこまで、盆栽に愛を注いだ持ち主だったのか。
盆栽を失って、自殺までするんだから、相当な愛だよな。
でも、九十九神家からみれば、確かによくある話ではある。
俺が祖父ちゃんの指示した通りの場所に移動した、人面黒松の
巌さんを見ると、
薄っすらと笑顔の様な顔が浮かび上がっていた。
巌さんは、どうやら喜んでくれたようだ。