えっと、次は俺の両親と妹の話を書こうかな。
俺の父さんは、津雲（つくも）透（とおる）。
祖父ちゃんが作った会社を継いで、今は輸入品を取り扱う会社の社長をしている。
大きな会社ではないが、それなりに儲けてるようだ。
俺達家族が、日々困らない生活を送れるくらいにはな。
父さんは、仕事によっては半年くらい家に帰って来ないこともある。
そういう場合は、母さんが父さんの方に出向いて、父さんの仕事の手伝いをしたりもする。
最近は、母さんは九十九神家の仕事の方が忙しくて無理みたいだが。
父さんは霊感が全くないのもあって、九十九神家の方の仕事では、
何もすることはない。
ちょっとした手伝えさえもしないかな。
その点は、親達の暗黙のルールと言うか、そういうのがあるようだ。
父さんは普段は陽気で、長い休みが取れると、俺や妹を連れて、海や山に良く行ったりする。
絵画なんかにも興味があって、自分でも絵を描いたりしてるかな。

次に、俺の母さんの話か。
俺の母さんは津雲（つくも）清美（きよみ）。
実は母さんの方が津雲家の出で、父さんは養子なんだ。
だから、能力的なものを含めても、母さんが次期九十九神家の当主になるのは、
当然と言った感じになるのかな。
若い頃は、九十九神家の人間でいるのが、物凄く嫌だったらしく、
一時期は海外に逃げていたこともあったんだとか？
でも、父さんと出会って、俺達を産んでからは、考えを改めて、
九十九神家に戻ってきたとか聞いたな。
母さんは、とにかく行動的な人で、父さんよりも、全然行動力がある。
明るく豪快で、喜怒哀楽がはっきりしてる。
基本、俺達には優しく、お節介な部分もあるかな。
最近は、祖母ちゃんに代わって、祖父ちゃんとバトることもあるけど、
親子の仲は、普通に良い。

で、最後は妹か・・・
俺の妹は、津雲（つくも）清香（きよか）。
俺よりも３歳年下の妹で、とにかくぬいぐるみが大好きな奴だ。
あいつの部屋はぬいぐるみだらけで、特にあいつがいつも抱っこしているぬいぐるみは、
実は動く。そして、喋る。
何を言ってるんだと言われるかもしれないが、本当の事だから
しょうがないんだよな。
そういう仕掛けがある、ぬいぐるみと言うわけでもない。
あいつがお気に入りのぬいぐるみの中には、九十九神家と契約した
「何か」が宿っているらしい。
その「何か」のおかげで、清香は九十九神家の中で、将来をかなり期待されている。
母さんの次に、九十九神家の当主になるのは、間違いなく清香だろうな。
清香は祖母ちゃんが期待するほどに良い素質を持ってる。
本人は、母さんの若い頃みたいに、九十九神家の人間でいるのを、
すげー嫌がってるけど。
しかも、将来は海外でぬいぐるみ作家になるのが夢なんだとか？
俺は別に妹の将来の夢に、何か思う事はないが、祖母ちゃんだけは大反対してるんだよな。
逆に母さんは密かに陰で応援してるようだ。
なので、清香は、九十九神家の時の祖母ちゃんがあんまり好きじゃない。