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第4章「私は、回収しただけです」

私は・・・いや、俺はAの友人のFです。
Aとは学生時代からの友人で、Dもその1人です。
俺はDが女にモテたくて作ったサーフィングループと言うか、
それに無理矢理、参加させられてはいたが、AとDでお酒を
飲んだり、出来るのを楽しみに、飲み会を中心に参加してました。
海に入るのは、実はちょっと苦手だったんだ。
だから、俺はあんまりサーフィンの方はしてなかったんだよな。
霊感がちょっとある俺は、波調が合う海に入ると、その手の霊に
引きずり込まれそうになることがある。
だから、夜の海に行くなんて、もっての外だ。
余程の事があったとしても、俺は1人では夜の海には行かない。
けど、Dの作ったサーフィングループで行く海は、大丈夫そうだと
思ったから参加したんだが・・・
最後は、まさかあんな展開になるとは思わなかったなぁ。

俺は、あの事件以来に久しぶりにAと再会した。
Aの方は特に何か変わったことがあるわけでもなく、ただ定期的に楽しみにしていた
サーフィンと飲み会が無くなって、悲しんでいた。

「よう!久しぶりだなF!」
「Aこそ、元気だったか?」

俺達は軽く挨拶を交わすと、手頃な価格の飲める居酒屋チェーンに入り、
お互いの近況報告をし合った。

「Dの奴は、何とか一命を取り留めたみたいだ。今は意識も
戻ったみたいで、Dの両親も泣いて喜んでたよ。」
「そっか。なら、良かったじゃないか。」
「後、Bだけどさ、あいついきなり行方不明になったかと思ったら、
あのサーフィン活動してる間に、かなり借金してたらしくてさ。
見栄張って、高い道具を買い続けてたらしくて、結局は実家に居たらしい。
本当に迷惑だよな。」
「Bは、そんなことになってたのか。知らなかったよ。」
「FはBとは、あんまり面識なかったもんな。」
「挨拶はする程度だったからな。俺、今だから言うけど、
Bの態度があんまり好きじゃなかったんだよな。」
「わかる!俺も好きじゃなかったわ。サーフィンの事で、
マウント取りたがって、うざかったこともあったわ。」
「そーいや、Dが狙ってた、C子はどうなったんだ?」
「あ・・・Ⅽ子は、今は精神病院に入院してる。俺も他の奴に聞いただけなんだけどさ、
C子は、前々から彼氏が居たらしくて、その彼氏から、サーフィンに行くなとか、
散々、言われてたらしいんだよ。」
「何?そうだったのか?」
「そ。んで、Dが交通事故に遭った時に、C子が色々助けたから、
Dと浮気してたんだと誤解されたらしくてな。
かなり酷い振られ方したらしい。」
「それがショックで、最後は自殺未遂までしたのか・・・」
「たぶんな・・・」

俺はAと会話して、あの事件で起きた一連の不幸の出来事の真相を知った。
こう聞いていけば、何もかもが、あのゴーストボトルを拾ったから、
呪われたんだと、定義づけれるものではない。
Dの交通事故は不運なものであるが、BやC子の件に関しては、
なるべくしてなったものとも言えなくない。
何もかも幽霊の所為にすると言うのも、お門違いと言う奴だ。
Aは霊感がないから、今回の出来事は、全部、あの漂流物の
瓶の所為にしてしまうかもしれないけどな。

「なぁ・・・F・・・」
「なんだ?A?」
「やっぱり、この不幸な出来事が続いたのって、あの漂流物の瓶の所為だったのかな・・・?」

案の定、Aは俺にこんな事を聞いてくる。俺は薄っすらと苦笑いした。

「いや、Dの交通事故だけは、もしかしたら?とも思えるが、
BやC子に関しては、あれは自業自得だろう。
いずれは、借金にしろ、彼氏にバレたりで、どうにかなってたんじゃないか?」
「あーだよなぁ・・・でも、だったら、結局あの漂流物の瓶は、
何だったんだ?」

Aは俺に首を傾げながら、あの瓶の事を聞いてくる。
俺は、さぁ?とAに、そう言うしかなかった。
Aは知らない方がいいだろうな。あの瓶の事は。
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