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第6章「敵とあいつと大混戦」

水の神殿にやっと訪れて私達がするべき、最初も最初の儀式で、
あんなトラブルがあってバタバタと騒がしい感じになりはしたけど、
私とグランの活躍で犯人は無事に捕まり、謁見の義は予定通りに終わった。
ちょっと予定の時間よりは遅くなったけどね。
そして私とグランは、今・・・

「長き試練の旅を乗り越え、ご苦労であった。到着早々にあんな騒ぎが起こりはしたが、
水の神殿は、今年の使いを歓迎しよう。
それから我が神殿の恥を見つけ、捕まえてくれたことも感謝する。」

厳しい顔つきで、しゃべり方も厳かな、私達の会いたかった人物。
水の神殿の大神官であるネフル様と面会していた。
リヴァイアサンはすでに面会してたようね・・・私達よりも先に。
私達が謁見の義をしている時、リヴァイアサンと一緒に居た人物こそネフル様だったから。

「しかし前代未聞だよ、ルエート?謁見の義が邪魔された事も
初めてのことだけど、
それを邪魔した犯人をその場ですぐに捕らえたなんてさ。
ルエートが首都に帰った時には、大騒ぎになってるんじゃないかい?」
「そ、それは困ります。私は・・・」

ネレースは嬉しそうな顔で私にこんなことを言ってきた。
いやいや、それは困るのよね!私的には当然のことをしたまでなんだけど、
ただでさえ一部の貴族に目をつけられているのに、更に目立ったらもっと困るわ。

「何を楽しそうにしている、ネレース?こんな我が神殿の恥を、
嬉しそうに今年の使いの方に話すなど、失礼であろう。
もっと反省せぬか!馬鹿者!」

そうネフル様は言うと孫のネレースを厳しく睨みつけた。
ネレースは気まずそうに笑って、私達に「すいません」と謝った。
流石にネレースも祖父のネフル様には頭が上がらないみたいね。
こんな場所でなければ、私も冗談でネレースに返すんだけど、
そのセリフは、時と場所が悪すぎたわね。

「ルルシアの娘に万が一のことがあれば、わしは大神官を辞めても詫びきれぬ。
今でも我が神殿の為に親身に協力してくれる者の1人なのだからな。」
「有難いお言葉です。お母様もきっと喜びます!」

ネフル様とお母様は本当に仲が良いみたい。
こんな事を言って貰えると思わなかった私は笑顔で感謝した。
一瞬だけ、ネフル様の顔が優しくなったように見えた。

「ルルシアとセレンは、実に良い才能を持った娘に恵まれたようだ。
才能だけではない。別の素質もな。」

ネフル様は意味深な言葉を言いながら、リヴァイアサンを見た。
リヴァイアサンはネフル様の視線に気づいたのか、フッと笑った。
え?何その感じ?
私はちょっとリヴァイアサンに疑問を感じたが、今は気にしないことにした。
この場では、リヴァイアサンに変なこと言えないもんね。

「話が反れたな。元に戻そう。」

ネフル様はまた厳しい顔に戻り、今後の私達の日程の話をしてくれた。

「わからないことは、このネレースに聞くと良い。まだまだ未熟者だが、
水の神殿の使いの方を補佐することは、しっかりとやれるだろう。」
「おじい様はいつも厳しいな。ちゃんとやりますって!」

ネレースは真面目な顔でネフル様に少しだけ抗議した。

「では今日はこれで終わりだが、ルエートとリヴァ殿は、ここに残って貰えますかな?」
「はい。」
「構わぬ。」

私とリヴァイアサンは、大神官の間でネフル様と一緒に残った。
グランはネレースに案内され、先に今日の泊まる部屋に連れて行かれたみたいね。
グランはちょっと寂しそうな顔してたけど、
でも私とリヴァイアサンだけに話って何かしら?

「ルエートよ。確認しておきたいことがある。」
「は、はい!何でしょうか!」
「お前はすでに3大元素を扱えると聞く、それは真か?」
「え・・・えっと・・・」
「ここでは嘘は何も言うな。ルエートよ。」

ネフル様の質問に、動揺している私とは反対に、
リヴァイアサンは堂々した態度で私にそう言う。

「で、でも・・・」
「ネフルはお前の実力を正しく知っておきたいだけなのだ。
だから隠す事は何もない。お前が説明に困る時は、余がしてやる。
今後の敵の動きもあるからな、お前もネフルに教えておくべきぞ?」
「わかったわ。」

いつにも増して真面目な態度のリヴァイアサンに折れて、
私はネフル様の質問に嘘偽りなく答えた。
それからのネフル様は私が答える度に感心されてる様子だったわね。
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