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第6章「敵とあいつと大混戦」

「ルエートとグランは、ここで身体を清めて、水の神殿の使いだけが着る、
特別な服装に着替えて貰うよ。」
「はい、わかりました。」
「わかりました。ネレース様。」

私とグランは、お風呂場の様な場所に案内され、ネレースにそう指示される。

「各自のお風呂場に、対応してくれる者が待機してるはずだから、
ここからはその者達の指示に従ってくれ。
それまでの間は、リヴァ殿は、私が水の神殿の案内を、
更に続けさせて頂ければと思いますが、どうでしょうか?」
「うむ。余はそうしてくれるのなら、それで構わぬ。」
「では、ここで一旦別れましょう。ルエート、グラン、またな。」

ネレースは、そう言って、リヴァイアサンを連れて、この場所を離れた。
残された私とグランは、お互いに顔を合わせて、会話をする。

「ネレース様。もしかして、リヴァ様のことがわかってしまったのかな?」
「どうかしら・・・まさかの幻獣(アレ)だとまでは、わかってないとは思うけど。
でも、偉大でヤバい存在ってことだけは理解してくれたみたいね。」
「そりゃ・・・怒らせたら、国が流されちゃうくらいの方だからね。」

私とグランは、そう言ってお互いにクスクスと笑い合ったが、
すぐにやらなきゃいけないことを思い出し、お互いにお風呂場に向かった。

「じゃ、ルエ、またね!」
「ええ。また後でね!」

私はグランと、男女別のお風呂場の入り口で別れ、私は女風呂の奥に進んだ。
すると、そこに凄く綺麗な薄い金色のストレートな長髪の女性が、
淡いピンクの瞳を輝かせて、私を出迎えた。
同じ女性である、私でさえ、眩しいと感じる程の魅力がある女性ね。

「いらっしゃい。今年の水の神殿の使いの方。確か、ルエート様で良いのよね?」
「は、はい!私がそのルエートです!」
「うふふ。可愛らしい方。そんなに緊張なさらないで。さ、こちらに来て下さい。
私から詳しい説明をしますので。」

私は、美人なお姉さんに優しく案内され、まずは普通にお風呂に入るように言われた。

「この浴槽の中には、水神が好んだとされる薬草やハーブなどが入ってます。
人の身体にも良いものなので、安心して、ゆっくり入浴して下さいね。」
「はい!有難うございます!あ、あのう、お姉様のお名前は何とおっしゃいますか?」
「あら?嫌だわ、私ったら。名乗るのを忘れてしまって。
私の名前は、ミティシアと申します。ネーレスと同じで大神官補佐をさせて頂いてます。
どうぞよろしくね、ルエート様。」
「あ、そんな様だなんて、私の方がミティシア様に敬語を
使うべきですから、様付けはしないで下さい!」

私は浴槽に入って、何故だか顔を真っ赤にして、ミティシアにそう言ってしまった。
こんな綺麗で会話も穏やかなミティシアに様付けで、
呼ばれると何故だか落ち着けない気分になるわ。
女神様を無理に従わせてるみたいな気持ちになってしまう。

「あらあら。ルエート様は謙虚な方なのかしら?
でも、逆に緊張させてしまうのなら、では極力はルエートさんと
お呼びしますが、それでいいかしら?」
「はい!そうして貰えると嬉しいです!」

私は変に元気にミティシアに返事をすると、ミティシアはクスクスと笑う。
その笑い方も優雅で、どこぞの王女様のようだ。

「ふふ。わかりましたわ。では、そのようにしますね?ルエートさん。」
「あ、有難うございます!ミティシア様!」
「クスクス。ネレースの言う通りの方だわ。可愛くて元気があって、
水属性の気質も良い。
私の水の精霊もルエートさんに出会えて喜んでいるようです。」
「え?そ、そうですか?」

私はミティシアに言われて、目を丸くしてしまった。
この口ぶりからだと、ミティシアも自分の水の精霊が見ていそうな感じね。

「今年はこんなに素敵な使いが来たと言うのに、上層部の神官達には呆れるばかりです。
神官としての素質そのものが無い者さえ多い。
ルエートさん。何かあったら、絶対にネレースを頼って下さいね!
女性の悩みなら、私が聞きますから!」

今まで穏やかだと思っていたミティシアに、私はいきなり浴槽の中で手を握られてしまった。
ミティシアの目はキラキラと輝きながらも、私の味方になってくれると強く訴えていた。
私は自分が裸で恥ずかしいのもあったけど、新しい味方を発見して、
嬉しい気持ちにもなった。
今はもうリヴァイアサンの水の精霊がいないので、ちゃんとした判別は出来ないけど、
私の水の精霊さんは、嬉しそうにミティシアの水の精霊と遊んでいた。
あの感じを見る限りなら、ミティシアは味方だと思って良いわよね?
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