第5章「水の神殿の底の」
「キリル神官!!」
「え?まさか、ルエートさんにグランさんですか?!」
私とグランは、王子と私達がいる部屋に、恭しく入って来た、キリル神官に歓喜の声を上げた。
私達に気付いた、キリル神官も、目を丸くして驚いている。
王子と一緒に居るなんて、それはびっくりするわよね。
私が逆の立場でも、びっくりしたと思うもの。
それにネレースから、ここの小神殿に泊まらない方がいいと、
助言を受けていたのも知っていたでしょうしね。
「お?なんだい?ルエートは、この神官と知り合いなのか?」
「はい、アルヴェルド様。実は、この小神殿の前に、宿泊した小神殿で、
お世話になった方でキリル神官です。
私やグランに、とても親切で丁寧におもてなしをしてくださいました♪」
「ほうほう?そうなのか。」
「ルエートさん、あ、ではなく、ルエート様。大袈裟でございます。
私は、水の神官として、水の神殿の使いである御方に、相応しい対応を
させて頂いただけでございます。」
キリル神官は、王子の手前もあってか、丁寧な言葉で、私の言葉に釘を差す。
私は、そんな、大袈裟にしたつもりないんだけどなぁ。
あの朝食は、本当に美味しかったもの。グランも大喜びしたくらい。
「うん。ルエートが素直に、ここまで言う人物だ。人柄は問題なさそうだな。」
「恐れ多いことでございます。アルヴェルド様。私なぞ、まだまだ未熟な神官でしかありません。」
私の言葉に、笑顔になった王子は、キリル神官を興味有り気に見る。
それに、キリル神官は恐縮してしまったようね。
ここの小神殿に居た悪い神官達も、キリル神官の謙虚さを、
少しでも見習えば良かったのよ。
そしたら、こんなにも酷い状態にならなかったでしょうに。
「アルヴェルド様。実は、先にお話しさせて頂きたいことがございます。
話しをして、よろしいでしょうか?」
「うん。構わない。話すが良い。」
「この小神殿には、私の弟のキリアと言う、神官見習いがおります。
ですが、未遂とは言え、今回の水の神殿の使いである、ルエート様とグラン様に、
危うく危害を加えていたかもしれません。」
「ほう?それは、また物騒な話だな?」
「え?!いや、それは、そんなことは、なかったわ!そうよね?!グラン?!」
「え?!あ・・・はい!僕達は、キリアさんに何もされてませんよ?!」
私とグランは、キリル神官のいきなりの話に戸惑い、王子の前で、
挙動不審な返事をしまった。
もう!どうして、キリル神官は、そんな話をするの?
キリアは、確かに最初は、私達をハメようとしたかもしれないけど、
すぐに心を入れ替えてくれて、最後はむしろ協力者になって、
この小神殿の悪い神官達を捕まえる為の証拠を集めを私達と一緒にしたのよ?
だから、何も悪くないのに・・・
けど、キリル神官の顔を厳しいままだった。
「結果的には、ルエート様達に害がなかったにしても、私の弟が、
水の神殿の使いの者達に、手を出そうとしたのは事実でございます。
アルヴェルド様。私は、この小神殿の応援に来た者ではありますが、
身内に不祥事を起こした者が居れば、罪に問われるのは当然の事と思っております。」
「そうだな。お前の言う通りだ。キリル神官。」
「なので、弟だけでなく、私も一緒に断罪して下さい。お願い致します。」
「え?!」
キリル神官は、話が終わると、王子の前で深々と頭を下げて、そう言った。
これには、私やグランは言葉を失った。キリル神官からしたら、
それだけ気に掛けていたことだったのね。
けど、何度も言うけど、キリアは、王子から罰を受けなければならないほど、
悪い事などしていないわ。
それに、最初はあの悪い神官達の言う事を聞かなければ、
キリア自身だって危険だったかもしれないのよ?
誰が、それを責められると言うの?私は、少し悲しい気持ちになった。
これで、キリル神官とキリアが、裁かれたら、私は泣いてしまうわ。
いや、王子の前で、きっと泣き叫ぶかもしれない。
私が不安に思っていると、王子は、フッと笑い出した。
「キリル。お前は、弟のキリアから聞いた通りの男だな?」
「は、はい?」
王子の言葉に、キリル神官は、頭を上げ、不思議そうな顔をしながら、王子を見た。
「結論から、まず言う。お前の弟のキリアは、何も罪には問わない。
むしろ、今回はルエート達に協力した、一番の功労者だ。」
「で、ですが・・・」
「いいから聞け。キリル。よって、お前にも罪は何も存在しない。
逆に、お前は自分の弟を誇るがいい。
お前の弟は、自分だけが悪いのであり、兄のお前には、
何も関りの無い事だと、はっきりと言った。
兄は自分を庇う為に、何か言うかもしれないが、聞かないで欲しいともな。
そして、悪い神官達に、脅されたとは言え、ルエート達に危害を
加えそうになったことを、私に素直に全部話しをした。」
「そ、そうだったのでございますね。」
「それに、キリアが、悪い神官達に脅されてしたこと、キリア自身も、
命の危険があったことは、ルエート達が集めた証拠の中にも、ちゃんとあった。
それは私も確認している。だから、キリアを罪に問うことはない。
ロヴァール国の第一王子である、私が保証しよう。」
「ま、誠に有難うございます。アルヴェルド様。この恩は、一生忘れません。」
王子の言葉に、キリル神官は、また深々と頭を下げて、感謝する。
目には薄っすらと光るものがあり、私もつい感動してしまったわ。
弟の為に、一緒に罰を受けようとするなんて、キリル神官は、
本当に尊敬すべき人だわ。
やっぱり、こういう人が、小神殿のを治めるべきよね!
「え?まさか、ルエートさんにグランさんですか?!」
私とグランは、王子と私達がいる部屋に、恭しく入って来た、キリル神官に歓喜の声を上げた。
私達に気付いた、キリル神官も、目を丸くして驚いている。
王子と一緒に居るなんて、それはびっくりするわよね。
私が逆の立場でも、びっくりしたと思うもの。
それにネレースから、ここの小神殿に泊まらない方がいいと、
助言を受けていたのも知っていたでしょうしね。
「お?なんだい?ルエートは、この神官と知り合いなのか?」
「はい、アルヴェルド様。実は、この小神殿の前に、宿泊した小神殿で、
お世話になった方でキリル神官です。
私やグランに、とても親切で丁寧におもてなしをしてくださいました♪」
「ほうほう?そうなのか。」
「ルエートさん、あ、ではなく、ルエート様。大袈裟でございます。
私は、水の神官として、水の神殿の使いである御方に、相応しい対応を
させて頂いただけでございます。」
キリル神官は、王子の手前もあってか、丁寧な言葉で、私の言葉に釘を差す。
私は、そんな、大袈裟にしたつもりないんだけどなぁ。
あの朝食は、本当に美味しかったもの。グランも大喜びしたくらい。
「うん。ルエートが素直に、ここまで言う人物だ。人柄は問題なさそうだな。」
「恐れ多いことでございます。アルヴェルド様。私なぞ、まだまだ未熟な神官でしかありません。」
私の言葉に、笑顔になった王子は、キリル神官を興味有り気に見る。
それに、キリル神官は恐縮してしまったようね。
ここの小神殿に居た悪い神官達も、キリル神官の謙虚さを、
少しでも見習えば良かったのよ。
そしたら、こんなにも酷い状態にならなかったでしょうに。
「アルヴェルド様。実は、先にお話しさせて頂きたいことがございます。
話しをして、よろしいでしょうか?」
「うん。構わない。話すが良い。」
「この小神殿には、私の弟のキリアと言う、神官見習いがおります。
ですが、未遂とは言え、今回の水の神殿の使いである、ルエート様とグラン様に、
危うく危害を加えていたかもしれません。」
「ほう?それは、また物騒な話だな?」
「え?!いや、それは、そんなことは、なかったわ!そうよね?!グラン?!」
「え?!あ・・・はい!僕達は、キリアさんに何もされてませんよ?!」
私とグランは、キリル神官のいきなりの話に戸惑い、王子の前で、
挙動不審な返事をしまった。
もう!どうして、キリル神官は、そんな話をするの?
キリアは、確かに最初は、私達をハメようとしたかもしれないけど、
すぐに心を入れ替えてくれて、最後はむしろ協力者になって、
この小神殿の悪い神官達を捕まえる為の証拠を集めを私達と一緒にしたのよ?
だから、何も悪くないのに・・・
けど、キリル神官の顔を厳しいままだった。
「結果的には、ルエート様達に害がなかったにしても、私の弟が、
水の神殿の使いの者達に、手を出そうとしたのは事実でございます。
アルヴェルド様。私は、この小神殿の応援に来た者ではありますが、
身内に不祥事を起こした者が居れば、罪に問われるのは当然の事と思っております。」
「そうだな。お前の言う通りだ。キリル神官。」
「なので、弟だけでなく、私も一緒に断罪して下さい。お願い致します。」
「え?!」
キリル神官は、話が終わると、王子の前で深々と頭を下げて、そう言った。
これには、私やグランは言葉を失った。キリル神官からしたら、
それだけ気に掛けていたことだったのね。
けど、何度も言うけど、キリアは、王子から罰を受けなければならないほど、
悪い事などしていないわ。
それに、最初はあの悪い神官達の言う事を聞かなければ、
キリア自身だって危険だったかもしれないのよ?
誰が、それを責められると言うの?私は、少し悲しい気持ちになった。
これで、キリル神官とキリアが、裁かれたら、私は泣いてしまうわ。
いや、王子の前で、きっと泣き叫ぶかもしれない。
私が不安に思っていると、王子は、フッと笑い出した。
「キリル。お前は、弟のキリアから聞いた通りの男だな?」
「は、はい?」
王子の言葉に、キリル神官は、頭を上げ、不思議そうな顔をしながら、王子を見た。
「結論から、まず言う。お前の弟のキリアは、何も罪には問わない。
むしろ、今回はルエート達に協力した、一番の功労者だ。」
「で、ですが・・・」
「いいから聞け。キリル。よって、お前にも罪は何も存在しない。
逆に、お前は自分の弟を誇るがいい。
お前の弟は、自分だけが悪いのであり、兄のお前には、
何も関りの無い事だと、はっきりと言った。
兄は自分を庇う為に、何か言うかもしれないが、聞かないで欲しいともな。
そして、悪い神官達に、脅されたとは言え、ルエート達に危害を
加えそうになったことを、私に素直に全部話しをした。」
「そ、そうだったのでございますね。」
「それに、キリアが、悪い神官達に脅されてしたこと、キリア自身も、
命の危険があったことは、ルエート達が集めた証拠の中にも、ちゃんとあった。
それは私も確認している。だから、キリアを罪に問うことはない。
ロヴァール国の第一王子である、私が保証しよう。」
「ま、誠に有難うございます。アルヴェルド様。この恩は、一生忘れません。」
王子の言葉に、キリル神官は、また深々と頭を下げて、感謝する。
目には薄っすらと光るものがあり、私もつい感動してしまったわ。
弟の為に、一緒に罰を受けようとするなんて、キリル神官は、
本当に尊敬すべき人だわ。
やっぱり、こういう人が、小神殿のを治めるべきよね!