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第5章「水の神殿の底の」

私とリヴァイアサンの水の精霊は、神殿の近くにある、いかにも怪しげな小屋の側に来ていた。
小屋の側に来た時点で、何か煙臭いし、お酒臭い。
それに、品性の欠片もない、笑い声に、時々、暴言まで聞こえてくる。

「キリアの言う通り、この小屋は一見は物置小屋に見えますが、
この小神殿の悪い神官達は、ここで、気兼ねなく悪事を働いているみたいですね。」
「はぁ・・・本当に馬鹿丸出しね。貴女が、人間を嫌いになるのも、わかっちゃう感じよ。
ここまでくると、同じ人間として、私まで恥ずかしいわ。」
「そんな!ルエート様はルエート様ですよ!あんな奴らとは違います!
確かに、私も最初は人間と一括りにしてましたが、ルエート様やグラン様、
それにキリアを見て、一緒にしちゃいけないと、今は思ってます!」
「うふふ。ありがとう!私も、今後は、精霊さん達が人間に
失望しないように頑張っていくわ!」
「はい!ルエート様なら、そんな存在になって頂けると、私達も信じてます♪」

私とリヴァイアサンの水の精霊は、お互いの顔を見て、微笑みあった。

「実は、あの小屋には、数個ほど、会話が保存出来る、小さい水晶を隠しておきました。
キリアに頼んだので、大丈夫だと思います。私も、こっそり確認しておきましたが、
ちゃんとありましたので!」
「す、凄い!流石!準備周到ね!」
「後は、そうですねぇ・・・その水晶を回収しなければですが・・・
ルエート様、一肌脱いで貰えますか?」
「ええ!もちろんよ!私は何をしたらいい?」

私は、真剣な顔で、リヴァイアサンの水の精霊の指示を待つ。

「折角ですから、今後、各地の水の小神殿に居るであろう、
悪い神官達がルエート様達に手が出せないように、見せしめにして、やりましょう!」
「え?!ど、どうすればいいの?」
「まず、ルエート様は、キリアに言われて、キリアの手伝いで、
この小屋に何かを取りに来た感じで、この小屋に入って貰えますか?」
「うん。」
「そしたら、大声で、神官達のしている悪事を言って、騒いで下さい!
で、彼らは、ルエート様に逆上すると思いますでの、
そこを私とルビー様でルエート様を守りたいと思います!
どうでしょうか?」
「私はいいわよ♪ルビーはどう?協力してくれる?」

私は自分の肩に乗っている、ルビーの顔を覗き込んだ。
さっきまでキリアが居たので、会話出来なかったが、ルビーは
やっとしゃべれる!と言った顔で、私の顔を見返して、
可愛い笑顔で、私の言葉に答えてくれる。

「もちろんだよ!ボクがルエに協力しないわけないよ♪
それに、ボクは絶対にルエを守るからね!安心して♪」
「ルビー♪いつも、ありがとうー♪大好きー♪」

私は肩に居たルビーの頭をナデナデしてあげて、更に抱っこして、優しく抱きしめた。
ルビーは「きゃははーくすぐったいよー♪」と可愛い声で私に言う。
リヴァイアサンの水の精霊も、そんな私達を優しく見守ってくれていた。

「では、ルエート様、お願いします。」
「わかったわ!任せて!」

私は、ルビーを抱きしめ、自分の気持ちを落ち着かせ、
リヴァイアサンの水の精霊の作戦を開始した。
あんまり、演技って得意じゃないんだけど・・・大丈夫かな。
とにかく、この小屋に居る、悪い奴らの悪事をしている時の声を
もっと証拠として集めないとだからね。
頑張らないとだわ!
私は、意を決して、小屋のドアを普通に開けた。
そこには、5、6人のそれなりのいい歳をした神官達が、
酒を飲みながら、違法な煙草も吸ったりしながら、トランプみたいなカードゲームで
お金を賭けて遊んでいる最中だった。
彼らは、いきなりドアが開いたので、一斉に私に顔を向け、目を丸くして驚いていた。
今頃は、ぐっすりと寝ていると思っていただろうから、余計よね。
私は、か弱い年相応の14歳の女の子振りを始めた。
どうか、無事にこの演技は上手くいきますように!!
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