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第5章「水の神殿の底の」

「ごめんなさい。僕は、君達になんてことをしようとしていたか。
君達は、僕の兄に感謝して、僕の心配までしてくれていたのに・・・」
「無理ないわ。キリアさん。上の立場の人の指示なら、
逆らえないのは、私達だってわかるもの。」
「ルエの言う通りです。どのみち、貴方が断っても、他の人にやらせたでしょうし、
断ったことを口実にして、キリアさんを神殿から追い出したでしょう。」
「受けたら受けたで、最後は罪をなすりつけて、切り捨てたでしょうしねぇ。」
「き、君達は、歳の割に凄く大人びいた考えをするんだね。」

キリアさんは、私達を見て、かなり感心している。
ちょっと、怖いとさえ思ってそうね。
そりゃ・・・親のゴタゴタに巻き込まれてれば、こうなっても
仕方がないと思ってくれそうだけど。
グランは、私達の今までの事も、ざっとキリアさんに説明し、
納得して貰った。めっちゃ、同情してくれたわ。

「君達が、ここまでしっかりしているのは、その為なんだね。
僕は、自分が恥ずかしいよ。僕よりも年下の君達の方が、よっぽど大人だ。考え方も態度も。
僕は、今回のことを引き受けたら、兄さんのいる神殿に移動させてやるなんて言葉を信じて、
非道な事をしようとしていた。こんな事を兄さんが知ったら、
きっと失望させていただろう。僕は最低な男だ。」
「そんな、自分を責めちゃいけないわ!キリアさん!
キリアさんの気持ちを利用して、悪用した奴らが一番悪いんだから!」
「ルエート様・・・」
「その通りです!!ルエート様!!!」
「へ?!」

私達の会話を聞いて、リヴァイアサンの水の精霊が、物凄く怒りながら姿を現した。
それを見て、キリアさんがびっくりしすぎて、椅子から倒れそうになった。
あら?もしかして、キリアさんは自分の精霊が見る人?

「キリア!貴方も貴方です!!せっかく、ルエート様達と同じで、精霊が見えるのに!
自分の水の精霊が悲しんでいるのがわかってるはずです!!」
「そうなの?」
「はい!」

私は、珍しく激おこしている、リヴァイアサンの水の精霊からも、
話を聞いてみることにした。
私は、キリアとの会話に夢中になってしまっていたけど、
よーく見てみると、リヴァイアサンの水の精霊の側には、キリアの水の精霊が、
悲しんだような顔で側にいた。
キリアのこれからしようとしていたことを、リヴァイアサンの水の精霊に
さっさと話しして、許して貰うとしてたみたいね。
恐るべしリヴァイアサンの水の精霊だわ。精霊同士では、
とっくに方がついていたみたい。

「ルエート様!私は今回は流石に許せないです!リヴァイアサン様には、
事は穏便に済ませよとご命令は受けていますが、それでも、
精霊が見える、心優しき才能ある者が、こんなにも蔑ろにされるなんて・・・」
「全くよね・・・私も、貴女の意見に賛成だわ。私も心の中では、思っていたの。
今回は、このまま黙っているのも、ムカつくって。」
「なら、ルエート様!今回は、ここの小神殿に仕えている、
悪い神官達を懲らしめませんか?」
「え?!そんなこと、出来ちゃいそう?」
「はい!私が全力でお力添えします!!」

リヴァイアサンの水の精霊は、くるりと優雅に身を回転させ、
私達に答えて見せる。
私とグラン、それにキリアは、ただただ口を開けたままになってしまった。
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