「ルエート様。こんな低俗な輩を朝から相手にされる必要はありません。
私にお任せして頂けないでしょうか？」

私の目の前に出て来た、リヴァイアサンの水の精霊が、
態度こそ穏やかそうではあってが、顔を少し引き攣っている。
ガルラの態度に明らかに嫌悪感を示してるわねぇ・・・
なんか、絶対に容赦はしないって感じさえ、私が感じるほど。

「いいの？でも、殺したりは・・・しないでね？」

私は、ガルラに気づかれないように、リヴァイアサンの
水の精霊のウンディーネにお願いしてみた。
リヴァイアサンの水の精霊は、私には、にっこりと微笑んで答える。

「はい！そこまでは致しませんのでご安心を♪けど、この手の輩はしつこいので、
殺しはしませんが、死にたいと思うほどの「恥ずかしい目」には
遭わせていいですよね？」
「うん・・・それなら・・・」

私は少し怖い笑顔で言う、リヴァイアサンの水の精霊に承諾してしまった。
あれ？これはこれで大丈夫だったかな？ま、いいか。
あのガルラなら、羞恥心で死ぬとかないでしょ。うん。

「さぁ！俺と勝負しろ！ルエート！」

ガルラは、無駄に高そうな自分の杖を、偉そうに振りかざし、
私に勝負を挑んで来た。
何も知らないって本当に可哀想よね。あんたが相手にしようとしてるのは、
私と言うよりも、あの有名な幻獣のリヴァイアサンの水の精霊なんだけど。
しかも上位の姿にまでなってる。

「私は、どうしたらいい？」

私は、小声でリヴァイアサンの水の精霊に聞いた。

「ルエート様は、スコールの魔法を使う振りをして下されば、それで結構です。
後は私の方で、ある魔法を使いますので！」
「わかったわ！じゃあ、お願いね！」
「はい！ぜひ、お任せを♪」

私はそうリヴァイアサンの水の精霊と打ち合わせをして、ガルラと対峙した。
ガルラは、どこからくる自信なのかわからないが、私に絶対勝てると思い込んでいる。
精霊が見えてもない癖に、よくそんな自信あるわね。
小さい頃は、私に勝てたから、今でも余裕で勝てるとか思ってるんでしょうね。
本当に阿保みたい。

「私は、今イライラしてるから、手加減出来るか、わからないけど、それでもいいのね？」
「何をふざけたことを。それを言うなら、俺もだぞ？お前がここで、
水の神殿の使いを辞退するなら、許してやらなくもないけどな？」
「お話にもならないわね。いいわ。勝負しましょ。」

私は真顔になって、ガルラを今度こそ戦う為に、睨み合った。

「ふん。素直に俺の言う事を聞けばいいものを。けど、俺は
最近のお前の実力を知らなかったからな。楽しみだぜ？ルエート。」
「あっそう。勝手に期待してなさいよ。馬鹿馬鹿しい。」
「いつまで、そんな口が聞けるかな？よし！いくぞ！！
ウォーター！！！」

ガルラは、私に向かって、水属性の基本的な攻撃魔法を使ってきた。
けど、その攻撃魔法は、リヴァイアサンの水の精霊に綺麗に吸収された。

「ふぅ。質の悪い魔力ですね。あの者に仕えている同族が、哀れでしょうがないです。
こんな子供の喧嘩にもならない勝負は、さっさと終わらせましょう。
ルエート様！スコールの魔法を！」
「わかったわ・・・スコール！！！」

私は、リヴァイアサンの水の精霊に小声で答え、その後で、
すぐ大きな声でスコールを使うフリをした。