私は早朝から宿屋を出て、次の目的地としている、少し距離が遠い村へ行こうと
今日はしていた。なのに・・・予想外な事が起きてしまった。
いや、全然予想していなかったわけじゃないけどね。
でも、私の想像していたよりは早かったわ。

「ルエート！悪いがお前には、このまま順調に水の神殿には行かせないぜ！
ここで、少し足止め食らって貰おうか！」

私と学院で同年で、勝手に私を最大のライバルとして見てくる、
私にとっては、最も厄介な存在が、今日も授業があるはずなのに、
私の目の前に居た。

「ガルラ。あんたね・・・まじで、いつもしつこいんだけど。
しかも、水の神殿の使いである、私の邪魔をしたら、国から罪に
問われることもあるのよ？わかってるの？
後、その前に授業はどうしたのよ？大丈夫なわけ？」

私は朝から見たくない顔を見て、うんざりして、イライラも
あったので、捲し立てるように、ガルラに言った。
ガルラは、そんな私に一瞬だけ、たじろぐけど、すぐに、いつも
偉そうでうるさい感じの態度になった。
ガルラは私の好みじゃないけど、明るいオレンジの短髪と瞳で、
顔立ちは悪くないし、一応身分は貴族なのよね。
だから、一部の女の子にはモテるのに、勿体無いわねぇ。
私なんか相手してないで、そういう女の子を相手してあげればいいのに。

「う、うるさい！お前が水の神殿の使いに決まった日に、
急いで、卒業試験を全部クリアしたんだ！」
「ふーん、あっ、そう。やっと、クリア出来たのね、おめでとう。
私より、１年後だったけど。」
「こ、こいつ・・・本当に生意気な女だな！」

私はガルラを馬鹿にした顔で笑ってやった。正直、私はガルラとは良い思い出がない。
子供の頃は、わけもわからずに虐められたりしたし、今は、
ガルラの取り巻きの女の子達に嫌がらせも受けることもしばしばだ。
だから、私はさっさと学院の卒業に必要な試験を全部受けて、
必死の思いで合格した。
ま、ちょっとだけルビーに助けて貰ったとこもあるんだけどね。
そのおかげもあって、ガルラに関わることが無くなったので、
嫌な思いをすることも、かなり減ったのよね。
なのに、自分から、わざわざ来ないでよ、しかもこんな早朝から。

「生意気で嫌な女だと思うなら、来なければいいでしょ！
いつも勝手にライバル視してきて、嫌がらせして来てたんだから、
私があんたなんかに、好感がある態度を取るわけないでしょ！」
「うるさい！お前の母親が、俺の父に喧嘩を売るような態度を
日々取るから悪いんだ！」
「それはそれでしょ！だからって、あんたが親と一緒の事することないでしょ！ばっかみたい！」
「黙れ！生意気なクソ女！」

はぁ・・・何よこの幼稚な口喧嘩は。私はこれから、もっと道のりが
険しい旅をするって言うのに。
こんな、幼児の相手なんかしてられないのよねぇ・・・
どうやって、対応しようかしら？
ここで甘い対応をすると、今後も最悪はしつこく付きまとって
来るかもしれないしなぁ・・・
私が少し悩んでいると、リヴァイアサンの水の精霊が、私の目の前にパッと姿を現した。