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第1章「友情度0%」

私はルビーにお礼を言って、一緒に地面に落ちた火の精霊を確認する。
火の精霊は攻撃を受けて、目を回しているのか、動く気配がなかった。

「あら・・・私の火の精霊さんなのに、可哀想な事しちゃったわ。」
「ルエ!せっかくだから、風の回復魔法してあげたら?」
「そうね!この子だって、怒ったから、攻撃しちゃっただけだもんね!」

私は、ルビーに言われた事をすぐに実行に移した。
風属性の回復魔法、ヒーリング。癒しの風で、私は自分の
火の精霊に回復魔法を使った。
精霊に回復魔法を使うなんて、初めての体験だわ。

「これで大丈夫かな・・・?あ、目を覚ました!」

私は、火の精霊が、起きて、また空中に浮かんで安心した。どうやら、
回復魔法は無事に効いてるようだ。
風の精霊も、先ほどまでは散々追いかけ回していたのに、
今は、そっと距離を取って、火の精霊と私達を見ていた。

「大丈夫?私の火の精霊さん?回復魔法かけてみたけど?もう痛くない?」

私は普通に心配して、火の精霊にそう言った。火の精霊は、
もじもじしたような態度で、私の側にいる。
これって、もしかして、私の言葉に照れてる?

「ふふ。良かったね!ルエ!この子、ルエに心開いてくれたっぽいよ♪」
「本当?ルビー?」
「うん♪だって、この子、ルエに感謝してるもん♪
回復魔法かけてくれてありがとうって♪」
「そう?なら、良かったわ♪私の今後大事な、火の精霊さんだからね♪」

私は笑顔で、自分の火の精霊を見た。火の精霊は、じっと私の顔を見ると、
ペコリとお辞儀をするように動いた。その仕草はちょっと可愛い。
それに火の精霊も、よーく見ると、可愛い顔してるのね。

「カーバンクルの助けがあったと言え、ルエート。貴様は、
これで、三元素を使う資格は出来たわけだ。」

リヴァイアサンは、私に試験に合格したと言う感じで、話しかけてくる。
え?これで私は三元素使えちゃうかもしれないの?
だって、ただ精霊さん達と話しをしただけなんですけど?

「本当にこれで、私は三元素を使えるの?」
「そうだ。貴様は、今日で三元素の精霊と、しっかりとした繋がりを持った。
つまりは縁を結んだのだ。その縁を生かすも切るも、貴様次第よ。」
「なんか、凄いことが起きてるはずなのに、実感が湧かないわ。」

私は、本来であれば、数々のきつい試練と、死ぬような絶え間ぬ努力もせずに、
三元素を扱える存在になってしまい、気が抜けてしまった。
本当は凄い喜ばしいことのはずなのになぁ・・・
でも、父や母に言うにも言えないわよね。この歳で三元素を
突然、使えるようになった娘なんて怪しいもの。
それに、今日の体験をどう説明すればいいのよ・・・父が聞いたら、卒倒するわね。

「何だ?思ったよりも、ルエートは嬉しそうではないな・・・
それとも、まだ先ほどの事を怒っておるのか?」

リヴァイアサンは、何か誤解して、私の態度を気にしている。
そうじゃないんだよね。嬉しいのは嬉しいんだけどさ。
人間側にも、色々と事情があるのよ。リヴァイアサンには、
わからないでしょうけどね。
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