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第4章「蠢く敵の影」

俺達は京都のある山奥で、引き続き修行をしていた。
午前の修行だけで、すでに疲れ果てて、地面に寝そべっている有様だ。
二四とゴートンなんかは、半べそ状態だ。
おいおい・・・まだ午前の修行が終わっただけなんだぞ?
しっかりしろ、お前達!と俺は心の中で思ったが、声に出すことは出来なかった。
そんな事を言おうものなら、俺が師匠からターゲットにされて、久しぶりの修行なのに、
もっとキツい修行にされたら、今日の俺も、流石に死ぬ。
当の師匠は、俺達を見て、深く溜息をついて、呆れている。

「やっぱり、十二は修行をサボっておったな?過去のお前なら、
そんなに倒れ込みはしなかったぞ?」
「すいません・・・師匠。」
「確かに、お前はトワと言う眷属を持ち、面倒を見ていた時期もあるのは、
仕方がないと言え、それでも、この体たらくだ。
最低でも、今日から1週間は拙者と修行をし直せ。良いな?」

師匠は有無も言わせぬ声で、俺に言ってくる。
ここで、嫌だと言えるわけがない。自分の生存に関わってくる問題だからだ。
俺の生存は、トワの生存にさえ繋がってくる。昔の様な無責任な態度を取る事はもう出来ない。

「わかりました。師匠。みっちりとお願いします。」

俺は、何とか立ち上がり、師匠の顔をしっかりと見た。
師匠も、俺の熱意が通じたのか、爽やかな顔で俺を見てくれた。

「いいだろう。今の十二には、守りたいものもあるようだからな。」

師匠は、俺の心中をすぐに察した。そういう時の師匠は話が早くて助かる。

「では、午後は、もう少しハードな修行にするぞ。お前達、覚悟はいいな?」

俺達は全員、静かに頷いた。師匠の気迫に変に声が出せない状況だった。

「今日は、模擬戦闘試合をして貰おう。二四や、ゴートンには、
今日は一番の最適な相手がいるからな!」
「まさか・・・まさかじゃないよね?」
「十二先輩と戦えと言う事ですか?六師匠?」

二四とゴートンは、嘘でしょ?みたいな顔をしている。
俺は、どうせ、いずれ戦わされるとは思っていた。
今日になるとは、思ってはいなかったが。けど、予定が早まっただけだ。
大した問題ではない。

「拙者といきなり戦ったのでは、お前達を殺しかねないからな。
その点、十二なら、いい感じにお前達と戦えるだろう。
十二にしても、拙者といきなり戦うのは気が重いだろうからな?」
「そうですね。正直、俺もいきなり師匠と戦うのは嫌です。」
「ええぇ・・・十二先輩もやる気満々なんですか?」

ゴートンは困った時に出る、苦笑いをしながら、下手に出て、
俺に聞いてきた。
俺は、真面目な顔で、ゴートンに言い切った。

「ゴートン。今からは、本当に冗談抜きで、死ぬ気でやらないと、お前、死ぬぞ?
俺も久しぶりに模擬とは言え、本気で殺し合うつもりで戦うからな?
お前がヘラヘラしているようなら、俺は、馬鹿にされたと思って、全力で殺しにかかるからな。
いいな?」
「は・・・はい。」

ゴートンは顔を真っ青にしつつも、俺が冗談など言ってないことをちゃんとわかったらしい。
二四も、気を引き締めた顔になっていた。

「お前達は、運がいいんだからな?いきなり師匠と戦わないで済んだんだからな。」

俺は、二四達を軽く睨んで、今から始まる修行に俺も気合を入れた。
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